よく日本人の宗教観が海外の反応ネタとして取り上げられることがあります。
受験の合格を菅原道真公のような神社に祈願し、結婚式は牧師を呼んで賛美歌を歌う、死ぬ時の葬式は仏教式だ、みたいな価値観です。
ここにクリスマスを祝い、ハロウィンを祝い、子どもが生まれれば神社で七五三だ、彼女ができなければ地主神社と鈴虫寺と、いろいろ入ってきます。
これらを総合して神はいないと思う「無神論」としていいのか? という問題が記事のテーマであり、カナダ人のスティーブが日本人の宗教観に面白い意見を聞かせてくれました。
この記事の目次!
Atheistic(無神論)とAgnostic(不可知論)
Atheistは無神論者ですが、どうも少し日本人がイメージするものと違うようです。
以下、敏感な話題でもあるので、カナダ人のスティーブと話したことで彼の意見であるというお断りを入れさせてもらいます。
Atheistは無神論者で「神が存在しないと信じている人」を指しています。神など存在しないのだ!と信じている人です。
この意味では他の宗教であっても「神」の存在を信じている人達に「そんなものはいない」と否定的、あるいは少し攻撃的になれる要素があります。
Agnostic(不可知論)とは?
いわゆる日本人の場合はどちらかといえばAgnosticだろうという意見です。
Agnosticは「不可知論(者)」とも訳され「神はいるとも、いないとも言えない、自分にはどちらも証明することは出来ない」という立場を指します。
わかりやすくいえば「わからない」といった態度を表明することです。
無神論者は明確に神は存在しないと否定しているのに対して、不可知論はもうちょっと中立のどっちつかずの立場です。
日本人でも信仰を強く持つ人は別ですが、たまに神社にいったりクリスマスを祝ったり、家に仏壇があったりもするけど、あまり信じる信じないを普段から考えないような、ステレオタイプな日本人の宗教観はAgnosticだろうという話です。
I am Agnostic.
(私はアグノスティクだ)
宗教を聞かれた時に上のように答えても別に奇妙に思われることもない、一般的な答えになるそうです。
このあたりは少し見解がわかれそうですが、こういった意見もあるという程度に参考にしてください。
スター・ウォーズのジェダイを「信仰」する人たち
オーストラリアの国勢調査の「自分の宗教」の欄にスター・ウォーズに登場する「ジェダイ(Jedi)」と記入する人が64000人いるそうで、無神論者の団体が絶対にそんなことは書くなよ。絶対にだ。とダチョウ倶楽部のように呼びかけているニュースがありました。
なぜ書いてはダメなのかといえば、ジェダイと書くと無宗教ではなく「定義されていない宗教(その他の宗教)」としてカウントされるので、実態より信仰が厚い国のように判断されるからです。
このような宗教のデータは、公共サービス、都市計画、地域施設などの指針にもなります。
例えばイスラム教徒が多ければ、公共の市役所などに礼拝ができるスペースを作ったりといった政策の判断材料にもなります。
これらは税金を使うことになるので、あまり判断を誤らせるような記述はしないでほしいといったことが、呼びかけにつながっています。
長くなりますがアプリ内で配信したニュースをそのまま掲載します。
According to the most recent census data 64,390 Australians identify themselves as having Jedi as their religion. That is slightly less than the number of Sikhs and a little more than Seventh Day Adventists.
(最新の国勢調査のデータによると、64390人のオーストラリア人が自らの宗教を「ジェダイ」と認識している。これはシーク教徒よりわずかに少なく、セブンスデー・アドベンチスト教会の信者より少しだけ多い)
There are many reasons for people to check the “other” box under “religion” and write in “Jedi.” Some do it as a joke or a snub to the government, while others truly believe in the principles of the Jedi faith.
(人々がチェックボックスの「宗教」で「その他」にチェックを入れ「ジェダイ」と書き込む理由は多くある。何人かはジョークだったり、政府への当て付けだったりするが、同時に何人かは本当にジェダイによる教義を信じている)
However, Atheist groups in Australia are concerned that the Jedi are making the country appear more religious than it actually is, and are encouraging people to put a check in the “no religion” box instead.
(しかし、オーストラリアの無神論者の団体が憂慮するのは、このジェダイが実際よりも国をより宗教的であると見せてしまうことだ。そして、人々には代わりに「無宗教」の欄にチェックを入れることを推奨している)
これはイギリスでも似たような状況で、調査ではキリスト教、イスラム教、ヒンズー教に次ぐ第4位になっていた時期もあったそうです。本場、アメリカではもっと多いのではないかと予想されます。
UK各地域のジェダイ率(2011年国勢調査)
人口の0.7%を占め、キリスト教、イスラム、ヒンズーに次いで4位だった2001年調査から半減(40万→17万)。この国からフォースが減っている。
※宗派質問に抗議の意味を込めて「Jediです」と答える人がいる pic.twitter.com/DELWYeYXUv
— Spica (@Kelangdbn) 2017年11月8日
ベトナムにて「宗教は?」と聞かれた
先日、ベトナムに行った時に、ガイドをしてもらった女の子に「日本人は仏教徒なの? あなたは?」みたいな質問をされて、少しとまどいました。
いちおう「Shinto(神道)」みたいな答え方をしましたが、自分が神道の「信者」なのかといわれると自覚はありません。
私はどこかの宗教を熱心に信仰もしていない、それでも家に仏壇があったりするタイプの、神社に賽銭箱があれば5円玉を投げてご利益もわからないままとりあえず手を合わせて祈る、ごく普通で一般的な感じです。
先日、法事ごとがあってお経を聞いていましたが「なげえ…」と内心では思っていました。超・南無阿弥陀仏みたいなので一撃で終わらせてほしいですね。イメージ的には覇王翔吼拳みたいなものが超・南無阿弥陀仏です。
では仏教徒なのかといわれると、親に聞けば宗派とか教えてくれるかもしれないけど、あまり興味はありません。
しかし、「自分は不可知論者なんだ」といって、かなり英語がうまい女の子でしたが、英語圏でない人に通じるとも思えなくて微妙な感じがしました。
DMM英会話の記事
DMM英会話のブログにこんな記事が出ていました。
「神様?信じてないよ」はNG!宗教についての質問には英語でこう答えよう。(DMM英会話/魚拓)
こんなことが書かれています。
「私?無宗教だよ。」と答えると、「・・・えっ?無宗教?」という反応のあと、沈黙が漂い、なんだか気まずい雰囲気になってしまうことがあります。なぜでしょうか。
個人的な狭い体験の中では別になったことないですね・・・。イスラム教の寺院や外国の片田舎の仏教の寺などにいる信仰の厚い人と話せばそうなるかもしれませんが、観光で来ている人や普通の国際感覚、経験があれば日本人的な「これといって信仰を持たない人」なんて世界には大勢いるので、いちいちそんな反応にはならないと思います。
(日本人は)実はかなり多くの人が、心のなかで、「人間の力を超越する大きなもの」の存在を、うすぼんやりと信じている。決して「何も信じていない」わけではないのです。
信仰と信じるはけっこう別物のように感じます。神社に行くけどそれをもって「信仰」といわれても納得できない感じはあります。
ポイントは、神道の特殊性を、いかにうまく説明するかという点に尽きると思います。800万も神様がいること、他の宗教を受け入れることも何ら厭わない非常に寛容な宗教であることを説明すると、「なんだ、そりゃ!」と興味を持ってもらえることでしょう。「日本ってなんだか次元が違う!すごい」と思ってもらえれば、大成功ですね!
800万って具体的な数字になっていますが八百万の神(やおよろずのかみ)のことでしょうか。「他の宗教を受け入れることも何ら厭わない非常に寛容な宗教」も事実そうですが、一歩伝え方を間違えれば、相手の宗教に非常に失礼な言い回しになりそうな危うさも感じます。
「海外の人は」「外国の方の場合」と書かれていますが範囲が広すぎるし、全体的にこの記事を書いた方の意見に賛同できなかったです。
無神論に関連して有名な空飛ぶスパゲッティーモンスター教とID説について簡単にですがまとめています。アメリカを中心とした出来事で、あくまでこの宗教・運動に参加しているのは少数派だとは思いますが、無神論そのものは決して珍しいものではないような気がします。