英語でも日本語でも「punk(パンク)」と何も状況設定せずにいえば、音楽ジャンルとしてのパンクロックを指して使われることが多いです。
それ以外にも「悪ぶっている人」といった名詞での使い方が存在していたり、動詞では「ひよる、びびる」のような使い方もあります。
パンクロックの存在に影響された言葉だと思いますが、もともとそんなにいい意味でも使われていなかった蔑称に近いニュアンスがある言葉です。
音楽としてのpunk
英語でも特に文脈なしで「punk」とだけいった場合には音楽ジャンルとしてのパンク(Punk Rock)だと思って間違いないと思います。
70年代後半から80年代に流行った音楽、ファッション、思想などのカルチャーの総称として「パンク」と呼ばれています。
反体制、反権威、個人主義、アナーキー(無政府主義)な部分がある思想です。音楽のジャンルのみを表すのではなく、カルチャーの総称という意味では「Hip Hop」と同じです。
パンクな服装の定義も国や年代によって変わるものだと思いますが、破れたジーンズやピアスなどのメタル系のアクセサリーの使い方に特徴が見られます。
They were a major band in the punk scene.
彼らはパンクシーンにおいてメジャーなバンドだった。
She has a wide range of punk albums.
彼女は広い範囲のパンクのアルバムを持っている。
UKとアメリカが盛んで、イギリスでは古くはセックス・ピストルズなど、アメリカではラモーンズなどが代表的なパンクバンドにあげられます。
日本でも流行ったグリーンデイやオフスプリング、日本のHi-STANDARDなどもパンクの系統でしょうか。このあたりは人によって見解が変わるかもしれません。
punk / punks(名詞)
パンクをやる人はpunks(パンクス)といいますが、そもそもは名詞で「ワルだけど弱いような人」を表す軽い蔑称です。
古くは売春婦や同性愛者、さらには若い犯罪者などにも使われていたようですが、今は「青二才、若造、チンピラ」のような、悪ぶっているけど臆病者、弱い人のような意味で使われます。
日本語ではあえてここは「シャバ僧」と訳してみたいと思います。
Get out of here punk, before I call the police!
警察を呼ぶ前に、シャバ僧は出て行け!
A bunch of punks tried to steal my bike, but I chased them away.
シャバ僧どもが俺のバイクを盗もうとしたけど追っ払ってやった。
アメリカの映画『ダーティー・ハリー』にクリント・イーストウッドの「Do I feel lucky? punk?」という有名なセリフがあります。
punk out(動詞)
動詞でも使える単語で、ビビってやめてしまうようなシャバ僧特有の行動様式を指します。ここもあえて「ひよる」と訳していきたいです。
Come on man, don’t punk out! Ask the girl on a date.
なあ、ひよるなよ。あの子をデートに誘えよ。
We got to the front of the line for the roller coaster but Billy punked out and left.
私たちはジェットコースターの前の列に座ったのに、ビリーはひよって逃げた。
これはchicken outでも同じ意味で、こちらも有名です。
Come on man, don’t chicken out! Ask the girl on a date.
(同じ意味です)
steampunk(スチームパンク)
スチームパンクとはイギリスで産業革命が起こった、ヴィクトリア女王の時代(1837-1901)などの当時のファッション様式と、蒸気で動くようなレトロなテクノロジーを組み合わせた独自のSFの世界観を指しています。
昔からジャンルとしては存在していますが、イベントも開催されコスプレ、映像も含めてジャンルとして世界的にファンのいるジャンルです。
イギリスではヴィクトリア朝、日本では明治・大正期、アメリカでは西部開拓時代の世界観をベースとして、当時としてはありそうでありえないレトロな機械が組み合わさった世界観が構成されています。
Steampunk style and cosplay, which combines Victorian aesthetics with 19th-century industrial elements, has grown in popularity in recent years.
スチームパンクのスタイルとコスプレは、ヴィクトリア朝の美学的思想と19世紀の工業の要素を組み合わせたもので、ここ数年で人気が高まっている。
cyberpunk(サイバーパンク)
サイバーパンクもSFのジャンルとして確立されています。だいたい近未来のデジタル化された社会が舞台で、機械に管理された政府やマシンに対して、反体制・反権力を描くような世界観が特徴的です。
古くはフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(Do Androids Dream of Electric Sheep?)』などもサイバーパンクの系譜に位置づけされ、わかりやすい有名作品では『マトリックス』などがあります。
Do Androids Dream of Electric Sheep? (S.F. Masterworks)
自転車などの空気がもれるパンクについては以下のfaltをご覧ください。