名詞の1つであるportrait(ポートレイト)は肖像画としてカタカナになっていますが、動詞のportrayは使い方がいまいちなじみのない単語だといえます。意味としては「表現する、描写する、見せる」です。
類義語としてはshowが最も近い単語だといえます。他にも混同されやすいdrawとの違いなどもふくめて取り上げてみます。
「描写、描写されたもの」を意味する名詞はportrayalとなります。発音も少し言いにくいので音声ファイルを確認してください。
この記事の目次!
portrayの使い方
ある特定の方法で何かを、もしくは誰かを描くことです。「~なふうに描く、〜のように表現する、~に見せる、~に描写する」といった感じです。「描写する」が最も感覚的に近いのかと思います。
発音は【pɔːrtréi】で過去形と過去分詞はportrayedです。
portrait(肖像画・ポートレイト)という名詞がありますが、動詞のportrayは特に「絵・絵画」に限定されるものではなく、言葉による説明や小説や彫刻、映画のような映像、演劇なども含まれてきます。
The book portrayed the former president as a selfish man.
その本は前の大統領を自己中心的な男のように描いた。
He didn’t like the way he was portrayed in the movie about his life.
彼は自分の人生についての映画での自分の描かれ方が好きではなかった。
映画の紹介文などにもよく登場して事実に基づいた作品などに対して「この映画はあの事件を〇〇として描いている」といった説明がされます。
以下は映画『ピーターラビット』が日本版と海外版で予告編の内容がまったく違うといったニュースからです。
The Japanese trailer portrays the movie as a heartwarming romance between the human characters in the British country-side, hardly showing the CGI animals at all.
日本の予告編ではその映画はイギリスの田舎での人間の登場人物たちの間の心温まるロマンスのように描かれていて、CGの動物はほとんど見られない。
アメリカ版はドタバタコメディの予告編なのに、日本版はピーターラビットを交えた人間同士の心温まるラブロマンスのような描かれ方をしています。
portrayとdrawの違い
この後に書きますがportrayと意味が近い言葉でいえばshowであり、drawはネイティブスピーカーの感覚では別物だといえます。
drawとはペン(pen)を使って「~を描く、描画する」ことです。この意味では絵具を使うpaintとも違い明確にペンを使った動作がdrawです。
I drew President Trump as a donkey.
私はトランプ大統領をロバとしてペンで描いた。
I portrayed President Trump as a donkey.
私はトランプ大統領をロバとして描写した。
大きな違いとしてportrayはshow(見せる)の意味が近いので「紹介する、見せる」といった意味になります。ここには動画、絵、文章、口頭の説明、絵本などあらゆるものが含まれるため、上のportrayの例文では媒体がはっきりしません。
drawはペンで描くことなので何かをゼロから生み出していることにフォーカスしたことになります。また手段はペンであることがわかります。
一方のportrayは生み出すことよりも、紹介のしかた、見せ方に焦点がある言葉だといえます。
したがって以下のような例文も成立します。
I portrayed President Trump as a donkey in my drawing.
私は自分のスケッチ画の中でトランプ大統領をロバとして表現した。
またshowの扱いと同じなので動詞でportrayを使う場合には以下のように主語を入れ替えることもできます。
My drawing portrays President Trump as a donkey.
私のスケッチ画はトランプ大統領をロバとして表現している/描写している。
しかしながらdrawは人間がする動作なので意思を持たない絵は自らdrawすることができません。
× My picture draws President Trump as a donkey.
portrayとshowの違い
showでも「描く、見せる」のように基本的には同じ意味になりますがportrayはどんなふうに描かれているのか、説明を伴った形で見せることなので少し違いがあります。
He showed the class the book.
彼はクラス(のみんな)にその本を見せた。
× He portrayed the class the book.
どんなふうにその本を見せたのかの説明がないのでこの表現は使えません。
○ He showed the book to the class as a good way to study English.
彼はその本を英語を勉強するのに良い方法だとしてクラス(のみんな)に見せた。
○ He portrayed the book to the class as a good way to study English.
説明をともなった描写という意味ではdescribeも共通する要素はありますが、describeはより文章・言葉・言語による説明・描写なのでまた少し性質が異なる単語です。
portrayのニュアンス
またどんなふうに描かれているのかの説明を伴うものの、portrayを使うと描かれていることが本当ではないかもしれないというニュアンスがでます。
The movie shows him as a womanizing alcoholic.
その映画は彼を女好きのアル中のように見せている。
その映画では彼は女好きのアル中のように描かれていますが、本当の彼の姿を描いているかどうかはわかりません。
The movie portrays him as a womanizing alcoholic.
その映画は彼を女好きのアル中のように見せている。
おそらく彼の特徴を誇張・脚色したり彼についての嘘、暗に事実ではないようなニュアンスになります。映画だったら撮影した監督の主観が強く入ってきている感じを受けます。
portrayal
名詞として「描写」「描写されたもの」を意味するのは「portrayal」という単語があります。発音は【pɔɚtréɪəl】です。
以下は実際のアカデミー賞のニュースからの抜粋です。
Meryl Streep received her 20th career nomination for her portrayal of the tone-deaf opera singer Florence Foster Jenkins.
メリル・ストリープは20度目のキャリアにおけるノミネーションを、音痴のオペラ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの人物描写によって受けた。
同じく2017年に騒動になったCMで、デモ抗議する人や暴動鎮圧の警察官にペプシを飲ませて「みんな仲良くなろうよ、ペプシのパワーで!」みたいなことを言ったら顰蹙を買いました。
Last week an ad for major cola brand Pepsi caused an uproar for its portrayal of protest to sell soda.
先週、大手コーラブランド「ペプシ」がコーラを売るための広告における抗議活動の描写で騒動を起こした。
portrait(ポートレイト・肖像画)
名詞ではカタカナになっているportrait(ポートレイト)がありますが、これはほぼ「肖像画」としての意味で使われることが多いです。
That is a beautiful portrait of the president.
あれは大統領の美しい肖像画だ。
She paints wonderful portraits.
彼女はすてきなポートレイトを描く。
portrait / landscape
portraitは少し美術系、写真系の専門用語っぽいので普通の人がそこまで使わないのは日本語の感覚に近いかもしれません。
しかし印刷の「縦方向、縦長書式」と「横方向、横長書式」を指して使われるので日常でも見かけるかもしれません。。パソコンでプリントアウトする時の縦と横であり、カメラやスマホなどでも使えます。
英語版のパソコンで印刷をやってみるとportrait / landscapeの選択ができます。
人物画(portrait)は普通は縦長になるし、風景(landscape)は横長になることが多いので、そこからとられた言葉です。
では写真を撮影するときに「ランドスケープで撮影してよ!」というかといえば、そんなことは言わないみたいです。