痛みを表す英単語はいくつかありますが、「ache」「pain」「hurt」の違いを中心に取り上げてみます。
ポイントとなるのは「動詞」「名詞」のどちらで使うのか? と、「痛み」でも心の痛みと、肉体的な痛みどちらに対して使うのかが、使いわけの要素になっています。
もちろん重なる部分やどちらでもいけるケースも多いですが、大きな視点で使い分ける際のガイドラインのようなものをネイティブスピーカーに確認して作成しました。
読み方については音声ファイルを用意しているのでタップして確認してください。
ache【éik】
pain【péin】
hurt【hə́ːrt】
sore【sɔ́ːr】
この記事の目次!
acheの意味と使い方
acheは肉体的な痛みを意味します。名詞で使った場合にはpainと比較するとやや軽い感じの痛みになります。acheの読み方は【éik】です。
I have a pain in my leg.
私は足に痛みがある。
acheは肉体的な痛みにしか使いません。心の痛みについては最後にまとめていますがpainとhurtを使います。
The break-up caused her a lot of aches.
(別れが肉体的な痛みを引き起こした?)
最近は心理的な失恋で何か肉体的な痛みを引き起こす可能性も事例も報告されていますが普通はこの表現はしません。
例外は「heartache」でこれは心臓の痛みではなく心の痛みを意味します。
体の部位 + ache(名詞)
acheは痛みを感じる身体の部分とつなげることで新しい名詞が作られることもあります。
Take this medicine for your toothache.
歯の痛みにはこの薬を飲んでください。
I always get headaches during typhoons.
台風の間はいつも頭が痛くなる。
She can’t eat curry, or she gets a stomachache.
彼女はカレーを食べられない。胃が痛くなるから。
辞書にはいくつか用法がありますが、上の例文のような特定の部位の痛みはfromではあまり表現しません。
▲I have an ache from my tooth.
このようにfromの表現は間違いではありませんが使わなくなっています。
acheを動詞で使う
基本的にはacheはあまり動詞では用いられません。
△ My feet ache.
△ My tooth aches.
文法上もまったく問題ありませんが、名詞で使われることが多いので上の例文のような動詞の使い方はあまり見かけません。この場合は後で紹介するhurtを動詞で使います。
〇 My tooth hurts.
歯が痛む。
また「軽い痛み」を比喩的にとらえて動詞で「~に心がうずく、~を欲しくてたまらない」といったacheの使い方が辞書にありますが、この使い方もほぼ会話表現では用いられていません。
△ I ache from hunger.
△ I ache for beer.
これらも間違いではありませんが、あまり使わない表現になっています。
painの意味と使い方
painとacheはどちらも「痛み」を意味し、多くの場合は名詞として使われます。名詞で使った場合はpain、acheどちらでも似たような意味になります。
I have an ache in my leg.
私は足に痛みがある。
Take this medicine for your tooth pain.
歯の痛みにはこの薬を飲んでください。
painはacheよりも、より強い痛みに対して使われます。したがって細かく書き直すと以下のような文章になります。
I have a pain in my leg.
= I have a strong ache in my leg.
また一般的にpainは悲しいときのような感情的な痛みに使うことができますが、acheは使えません。
The break-up caused her a lot of pain.
別れが彼女に多くの痛みをもたらした。
上の場合は失恋で傷ついたといった意味になります。これをacheでは普通は用いません。
動詞のpainの使い方
painが動詞の場合は、感情的な部分の痛みを表すことが多いです。感情的な痛みなので「苦痛を与える、~を苦しめる」と考えてもいいと思います。
It pains me to have to fire such a good employee.
あんな優秀な従業員を解雇しなければならないことは私をつらくさせる。
Your criticisms pained her greatly.
あなたの批判は彼女を大いに傷つけた。
また「~を苦しめる、~に苦痛を与える」の他動詞の使い方なので、相手・目的語が必要になってきます。
painful(形容詞)
painfulは痛みを表す形容詞ですが、こちらは痛みを引き起こす物事に対して使われます。「痛みをともなう、痛い、つらい」などを意味します。
There is a painful burn on my arm.
腕に痛みをともなうやけどがある。
He had to get many painful injections at the hospital.
彼は病院で多くの痛い注射を打たなければならなかった。
hurtの意味と使い方
読み方が少し難しいのでheartとの発音の違いをまず確認してください。カタカナにするとどちらも「ハート」になってしまいます。
hurt【hə́ːrt】
heart【hɑ́ːrt】
hurtはたいてい動詞で、痛みを引き起こす物事や痛みを感じる物事のために使われます。
つまりある物事・原因・理由が「痛みを引き起こしている、引き起こした」といった文脈で使うので、単に「自分が身体のどこかが痛む」といった意味で用いられることは少ないです。
活用は過去形、過去分詞ともに同じhurtです。
That exercise hurts my arms.
あのエクササイズは私の腕を痛めている。
My arms hurt from that exercise.
腕はあのエクササイズで痛めた。
I hurt my hand on the table.
テーブルの上で手を傷つけた。
This kind of food hurts my stomach.
この種の食べ物は私の胃を痛める。
またhurtは感情的な痛みに対しても使うことができます。
His comment hurt me.
彼のコメントは私を傷つけた。
経済や環境に対して使う
hurtは人間だけでなく「~を傷つける、~に損害を与える」といった意味でよくニュースに登場します。悪い影響を与えるような意味で使われています。
High taxes hurt the economy.
高い税金が経済に打撃を与えた。
Excessive driving hurts the environment.
過度の車の運転が環境に悪影響を与えている。
名詞のhurt
hurtが名詞で使われると、ほとんどのケースで感情的な部分の痛みを表現します。
Everyone was feeling a lot of hurt when John passed away.
ジョンが亡くなって、みんなが多くの痛みを感じていた。
Some people are afraid to break up with their boyfriends and girlfriends because of the hurt it causes.
彼氏や彼女と別れるのを怖がる人もいる。それが引き起こす痛みのために。
直訳しましたが、別れることで傷つくのが怖いという意味です。
soreの意味と使い方
soreは多くは形容詞として使われ、「痛い、ずきずき痛む、ヒリヒリする」を意味します。発音は【sɔːr】です。soar(上昇する、急騰する)と同音異義語です。
sore / soar【sɔ́ːr】
I have a sore back.
背中に痛みがある。
My eyes are sore from looking at the computer so long.
コンピュータをあまりに長いあいだ見ていたので目が痛い。
心の痛み、感情の痛み
一般的には感情的な痛みに対してはpainとhurtだけが使われます。
以下の例文はどれも「彼のコメントが彼女を傷つけた」を表します。
○ His comments caused her pain.
○ His comments hurt her.
○ His comments were painful to her.
(彼のコメントが彼女を傷つけた)
soreとacheは使われません。心の痛みを意味するheartacheは例外です。
× His comments made her sore.
× His comments caused her an ache.
soreは「怒り」を意味する古い言い方でもあるので上の例文は「彼のコメントは彼女を怒らせた」になってしまうため、この表現は使えません。