大文字小文字

英語の大文字と小文字の表記ルールと使い分け

COTONやAQUAといった名前の商品が発売された記事を書いたとき、ネイティブが書いたニュース文では「Coton」「Aqua」と小文字になっていました。

企業が決めた正式な商品名、ブランド名が大文字の「COTON」「AQUA」なので、ニュース文も大文字にした方が良いのではないかと提案しました。

しかしネイティブからの回答では「COTON」の表記は「noisy」と言われました。

文中で大文字で書かれると、すごく邪魔で気になってしまうそうです。

以前にもジャニーズのTOKIOの記事を書いた時に「TOKIO」が「Tokio」と表記されていました。日本人としては逆にTokioの表記は違和感があります。

以下、固有名詞の大文字・小文字の使い分けとルールについて興味深い話が聞けたので、ネイティブにヒアリングした結果をまとめたものを記載します。

文章・センテンスの中ですべて大文字で表記するケースはほぼない

頭の文字を並べた単語(PTA/USA/IBM/NASA/NATOなど)を除けば、普通は文章の中で固有名詞がすべて大文字で表記されることはありません。

コンピュータ会社のIBMはInternational Business Machinesの略なので、こういう名称がIBMと大文字で表記されることはあります。

しかしFacebookやGoogleのような会社が文中ですべて大文字でFACEBOOKやGOOGLEのように書かれることは普通はありません。

○ IBM is a big company.
✕ GOOGLE is a big company.

USAとNASAの違い(initialismとacronym)

頭の文字をとった略語(頭字語)でも扱いが2つに分かれます。

USAやIBM、PTAのような「ユー・エス・エイ」「アイ・ビー・エム」と個々のアルファベットで発音するタイプの略語(initialismまたは頭文字語と呼ばれます)は絶対にすべて大文字表記です。

逆にいえば「Usa」「Ibm」「Pta」「Fbi」と書くことはありません。

その一方で、頭文字をとって1つの単語として発音できるもの(acronymまたは頭字語といいます)は、場合によっては小文字で書くケースもあります。

NATOは「エヌ・エイ・ティー・オー」とは発音されずに普通は「ネイトー(ナトー)」と呼ばれます。

「NASA」は「エヌ・エイ・エス・エイ」ではなく「ナサ」です。

このような単語の場合は文章でNATO/Nato、NASA/Nasaのような両方の表記が可能性として考えられます。

ロゴなどのデザイン

「固有名詞の最初の文字は大文字にする」というのは、我々が学校で習った英語のライティングのルールで間違いではありません。

ただしロゴのデザインとして考えた場合は、より「絵」に近いものなので「すべて大文字」「すべて小文字」「先頭だけ大文字」などさまざまなケースが考えられます。

アメリカを代表する企業の公式ロゴを並べてみます。

アメリカの企業

facebookやtwitterのようにロゴをすべて小文字で表記するのが、ここ最近のIT企業のトレンドだったようですね。

ただしグーグルは先頭が大文字のGoogleです。けっこう流行に左右されるようです。

参考資料ですがイギリスを代表する企業のロゴをピックアップしたものです。ロゴに関しては大文字と小文字の使い分けは自由ですね。

logo3

企業名の文中での表記

先に書いたように「固有名詞の最初は大文字」というルールが一般的で、たとえ「facebook」「twitter」「amaozon」のように公式ロゴがすべて小文字で表記されていても文章中では先頭のみが大文字になります。

その逆も同様で公式のロゴがすべて大文字であっても先頭のみが大文字で書かれます(IBM、HMV、HTCなどを除く)。

ニュース記事でも、もちろんFacebook、Twitter、Amazonと表記されます。

また下のようなボタンでも「Share on Facebook / Follow us on Twitter」など文章・センテンスになっているものは、一般的に先頭が大文字になります(左側)

ただし、企業名の部分をロゴとして扱うならば、それは絵であるため、どんな表記も考えられます(右側)

logo2

日本人としては「どっちでもいいかな」と思いがちですが、ネイティブにすると生理的な部分で大文字、小文字の差を感じるようです。

世の中にはネイティブが書いているわけではない表記も多いので、例外的なものがあることも念頭に置いておいてもいいのではないでしょうか。

普通名詞と固有名詞で同じ言葉

普通名詞(一般名詞)と固有名詞で同じ単語になっているものがいくつかります。代表的なのは「Earth / earth」や「Moon / moon」などです。

一般的に大文字でEarthと書くと我々が住むこの地球を指します。この場合にはtheをつけたほうがいいですね。

似たような表記がいくつかあります。

We live on Earth.
We live on The Earth.
We live on Planet Earth.
我々は地球に住んでいる。

まれにearthは植物が育つ「土、土壌」の意味でも使われるので、その際には小文字で表現されます。

The earth here is very rich and good for growing crops.
=The soil here is very rich and good for growing crops.
この土壌はとても豊かで、農作物を育てるのによい。

moonとthe Moon

同様にMoonにも同じことがいえて、私たちがお月見をする夜空の月は大文字です。

The Moon is beautiful tonight.
今夜は月が綺麗だ。

もしそれが惑星をまわる「衛星」としてならば小文字になります。土星にはタイタンやエンケラドスなどの60を超える衛星(月)が存在しています。

Saturn has many moons.
土星は多くの衛星がある。

Our moon is called The Moon.
我々の衛星は「月」と呼ばれている。

The Holocaust

他にも固有名詞と普通名詞で同じ単語になっている言葉はたくさんあります。

例えば大文字でthe Holocaust と書いた場合は、第二次大戦中にナチスによって行われた大量虐殺を指します。

My grandfather survived the Holocaust.
祖父はホロコーストを生き延びた。

We visited a Holocaust memorial in Berlin.
私たちはベルリンのホロコースト記念館を訪れた。

小文字でholocaustと書いた場合は大災害、大惨事、破壊、全滅など人や物事の大規模な死や破壊を意味します。

Governments are working together to avoid a nuclear holocaust.
政府は一体となって、核による大惨事を避けようとしている。

If we continue to pollute the air, it may result in a major holocaust.
もし我々が大気を汚染し続ければ、大規模な壊滅の結果になるかもしれない。

The Mainland / Apple

他にもスコットランドのオークニー諸島には「(メインランド)」という固有名詞の島があってニュースに出てくると混乱します。mainlandには「本土」の意味もあるからです。

「スコットランドのメインランド」といった場合に、首都のエディンバラやロンドンがあるグレートブリテン島の「スコットランドの本土」を指しているのか、単にオークニー諸島の島の1つである「メインランド島」を指すのか、これも大文字と小文字で見分ける必要があります。

他にもリンゴを意味するならばappleですが、iPhoneなどを製造しているアップルコンピューターを指すならばAppleです。

こういった言葉は山のようにありますね。

Navigator / Superstar

企業や団体などが普通名詞を特殊な意味・使い方で使用しているケースがいくつかありました。

例えばFMラジオ放送局 J-WAVEでは自局のDJを『ナビゲーター(Navigator)』と呼んでいます。ショーン・Kさんがやっていたやつです。

navigatorはもともとは船の航海や飛行機に対して方向やルートを示す人を指します。車のカーナビも同じことです。

カタカナの「ナビゲーター」は案内役といった感じでさまざまなものに使われていますが、このままカタカナを英語にしてしまうと「ラジオのナビゲーターってなに?」と違和感が出ます。

本来はDJが自然だとは思いますが、J-WAVEがDJを「ナビゲーター」と呼称する以上は、こちらで勝手に名称を変えるわけにもいきません。ここでは大文字にすることで特定の意味、固有の意味で使っていることを表します。

Talks by some Navigators of the FM radio station J-WAVE are also scheduled for the event.
(FMラジオ放送局 J-WAVEのナビゲーターを迎えてのトークイベントが開催される予定。)

またアメリカのプロレス団体WWEでは所属選手のことをレスラー/プロレスラーとはいわず「スーパースター」と呼んでいます。

あまり知名度のない売れていない新人選手も、トリプルHやストーン・コールド・スティーブ・オースチンのような超人気選手もスーパースター(Superstar)です。

この場合、同じ言葉でもやはり書き分ける必要があります。

単に人気物だという普通の名詞の意味ならばsuperstarですが、プロレス団体WWEに所属する選手を指す固有名詞ならばSuperstarです。

The are many WWE Superstars in the game.
(試合の中に多くのWWEのスーパースターがいる)

Stone Cold Steve Austin is a wrestling superstar.
(ストーン・コールド・スティーブ・オースチンはレスリングの人気物だ)

このように一般名詞でも大文字になっていることで、何か固有の使い方、特殊な使い方をした固有名詞になっているのだとわかります。

人名と大文字

かなり特殊な事例だと思いますが、人名と固有名詞を勘違いして読み間違えそうになったことがあります。

アプリ内のニュースで韓国のパククネ大統領の事件を扱ったときの文章です。

President Park has apologized for her involvement and is cooperating with investigators.

これは「朴大統領は彼女の関与を謝罪し、捜査当局と協力していくという」といった意味です。

文章の書きだしは大文字になり、人名も最初は大文字になります。

President Parkは、韓国の政府機関を指す「大統領庭園」のような専門用語、固有名詞があるのかとずっと探していましたが、これはPark Geun-hye(朴 槿恵/パク・クネ)を意味する言葉です。

President Parkは「朴大統領」です。

そもそも、なぜ大文字と小文字があるのか?

素朴な疑問ですが『英語の素朴な疑問に答える36章』に書いてありました。

要約すると小文字が完成されたのはフランク大国のシャルルマーニュの時代(742年-814年)です。

この時代は文芸、芸術活動が盛んで多くの知識人たちが書きものをしましたが、当時は紙がなく「羊皮紙」とよばれる羊の皮をつかったものに書き残していました。

しかし、どんどん書くので羊皮紙が足りず書いては消してを繰り返していました。そこで考案されたのが文字そのものを小さくする方式です。

これによって書ける量が増えて、スピードもあがるといったメリットがありました。本当はもう少し複雑な歴史があり、ちょっとずつ考案されたようですがシャルルマーニュの時代に完成された経緯があります。

しかし、それは英語の話ではなく当時使われていたラテン語やフランク語の話です。これらが派生して現在のアルファベットを使う言葉の大文字、小文字の概念に引き継がれています。

全部大文字で書く手書き

スティーブの手書きの文字をはじめて見た時に、彼が小文字をいっさい使わないことにびっくりした記憶があります。

手書き文字

このように文章の先頭や固有名詞など大文字にすべきところを「大文字で大きく」書き、私達が小文字にする部分を「大文字で小さく」書いています。

すべて同じ大きさの大文字ではなく、文字の大きさで区別しています。上に紹介したティファニーのロゴなどが同じ方式です。

「この書き方は読みにくいし間違ってるから正しく書いて欲しい」と言ったのですが、間違ってないし正しいよと何度も説明されました。

私も日本の教育、学校では先頭は大文字、後は小文字といったルールが正しい英文の書き方だと習ったと伝えました。

彼はカナダで大学まで出ていますが、この書き方で小学校から注意されたことなんてないし、正しい書き方だと説明してくれました。

日本人には見慣れない書き方ですが、確かにアメコミなどでは全部セリフが大文字になっていたりします。

アメコミのセリフ画像(Googleイメージ)

彼以外にも英文をすべて大文字で書くネイティブにも何人も出会いました。

手書きだと大文字ですべて書く人がいる、しかも、それも正しい書き方であって決して相手が間違ったことをしているわけではない、ネイティブは全部大文字でも別に読みにくいとは思っていない、と頭の片隅に置いておくといつか役に立つかもしれません。

あるサイトでこの件に関して、ネイティブに対して読みにくいし正しく書けと、怒っている日本人がいらっしゃいましたが、ちょっと危うい感じもしますね。

以下、大文字・小文字に関連するライティング系の話題をまとめています。

 

例文に登場する主な単語と熟語
initialism 頭文字語 頭文字
acronym 頭字語

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