through(スルー)の使い方、throughoutとの違い

through
 

公開日: 最終更新日:2022.08.2

カタカナでもなじみのある「through(スルー)」は品詞としては動詞ではないので、カタカナの「話がスルーされた」のように使うことができません。

何かトンネルのようなものを通り抜けるイメージのある言葉で、このイメージがあればおおよその感覚はつかめると思います。使い方と例文を用意したので参考にしてください。

スペルも似た単語が多く混同しやすい言葉だといえます。発音ファイルを用意しているので聞き比べてください。

through【θruː】スルー
thought【θɔ́ːt】thinkの過去形、思考
though【ðóu】~だけれども、~にもかかわらず

through(スルー)は動詞ではない

カナダ人のスティーブは日本で暮らす中で「through」を動詞で使う日本人がけっこういることに気が付いたそうです。

これは「ラインがスルーされた!」のようにカタカナで動詞として使われることも原因だと思います。カタカナのスルーするについては別の記事『「スルーする」は英語でどういうか?』をご覧ください。

以下は動詞として使ってしまうありがちな間違いです。

Through the gate.
(動詞がない)

She throughed the tunnel to get to the sea.
(動詞がないし、過去形っぽくなっています)

上のように「~を通り抜ける」という動詞感覚で使うケースが多々ありますが間違いです。

基本的には前置詞(副詞、または形容詞)として使われ、他の動詞に組み合わさって何かを通り抜けるようなイメージで用いられます。

She drove through the tunnel to get to the sea.
彼女は海にたどり着くためにトンネルを自動車で抜けた。

Go through the gate.
ゲートを抜けろ。

Walk through the gate.
歩いてゲートを通り抜けろ。

drive(車を運転する)walk(歩く)go(行く)などの動詞に加えて、何かを通り抜けるthroughが使えます。他にも組み合わせは無数にありますがジャンプして通り抜ければjump throughです。

She broke in through the bathroom window.
彼女はバスルームの窓から侵入した。

throughの使い方

他にも物理的な動作だけではなく「~を通して」といったイメージでも使われます。いくつか特徴的なthroughの使われ方をご紹介します。

He found my address through(in) the office computer system.
彼は私の住所をオフィスコンピューターシステムを通して見つけた。

上の例文のケースなどは「in」で置き換えることも可能です。

This movie shows World War II through a child named Hans.
この映画は第二次世界大戦をハンズと名付けられた子供を通して見せている。

He lived through three wars.
彼は3つの戦争を生きた。

She looked through the window.
彼女は窓越しに(外を)見た。

look at the windowだと「窓を見た」となり視線の行き先は窓で止まっていますが、throughを使うことで窓を通り抜けてその先(外)を見たことになります。

thruとthroughの違い

thru

日本でもおなじみのドライブスルーをdrive-through restaurantのよう書かずに「Drive-thru」と省略するケースがあります。

この省略のやり方はほぼアメリカでのみ使われるような表現なので他の国ではあまり使いません。地理的に近いカナダであっても見かけないといっています。

基本的には省略形、ある意味で雑な書き方だといえるのでフォーマルな文章では避けたほうが無難です。

しかし、最近はスマホなどでメッセージを送る際にthroughは長いのでこのような省略も増えてきています。

特にこの表現を見かけるとすれば「Drive-thru(ドライブスルー)」や、スマホでのやり取り、かつ相手がアメリカ人といった限られた状況だと思います。

基本的には置き換え可能な言葉ですが、理由がないならばthroughを選択するのが無難だといえます。

参考:Thru vs. Through: What’s the Difference?

throughとthroughoutの違い

throughoutは初めから終わりまで、期間中ずっとなどを意味する言葉です。また場所にも使えるのでその場合は「〇〇全域、全土」などの意味になります。

使い方は以下を参考にしてください。

I worked throughout the summer.
夏の間中、ずっと働いた。

A cat was meowing throughout the night.
猫が夜通し鳴いていた。

Throughout the USA people are protesting.
アメリカ中で人々は抗議している。

以下は throughとの比較です。

She walked throughout the shopping mall.
彼女はショッピングモール中を歩いた。

She walked through the shopping mall.
彼女はショッピングモールを通り抜けた。

through the year / throughout the year

ただし意味としては近く、置き換えても問題ないケースもあります。

I went jogging through the year.
1年を通してジョギングをした。

I went jogging throughout the year.
= I went jogging all through the year.
1年を通してジョギングをした。

どちらも同じ意味ですが、ややthroughoutを使ったほうがずっと年間を通してジョギングをしていた感じが強調されます。「all through = throughout」が近い意味になります。

They talk about politics through the movie.
彼らは映画の中で政治について話している。

They talk about politics throughout the movie.
= They talk about politics all through the movie.
彼らは映画の中で政治についてずっと話している。

上の例文も同じです。throughoutを使ったほうが徹頭徹尾、映画の中で政治について語っている感じがします。



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