少し前に英単語のthrough(スルー)についての記事を書きましたが、throughは前置詞・副詞なのでカタカナの「スルーする」のように動詞としては使えません。
ではカタカナの「スルーする」はどう表現するのか? といった疑問も思い浮かびます。例えば「ラインを送ったのにスルーされた!」のような表現です。
今回はネイティブスピーカーに意見を聞きながらカタカナ・日本語の「スルーする」をどう表現するのか? を考えてみます。
throughそのものの使い方については『through(スルー)の使い方、throughoutとの違い』をご覧ください。
「スルーする」ってどういう意味?
若者言葉に代表される新しい日本語・カタカナ・和製英語を英語にする場合に困るのは、元々の定義がはっきりしない点です。人によって意味する点や使い方が違います。
「スルーする」が何を意味するのか? については少し横において、例えば「ラインを送ったけどスルーされた!」みたいな状況が考えられます。
スティーブに確認してみると、メールやラインのようなものをスルーされた場合には、相手がどのような気持ちでスルーしたかによって少し表現が異なるそうです。
例えばシンプルに「ignore(無視する)」「disregard(無視する)」を使うこともできます。 ignoreは人、モノに対して使いますが、disregardは人に対しては用いません。
カジュアルな感じでは「brush off」なども「無視する」を意味する表現の1つです。
I sent a text but she ignored it.
メッセージを送ったけど、彼女は無視した。
I sent a text, but she brushed it off.
メッセージを送ったけど、彼女は無視した。
They disregarded my advice.
彼らは私のアドバイスを無視した。
上の「ignore」あたりを使うと一般的な「無視する」なので、おそらく嫌われている、彼女は返事をしたくないなどのネガティブな感情が見て取れます。
埋もれて忘れられる(=スルーされる)
しかし、単にラインやメールをよくもらう人で埋もれてしまったり忘れてしまったりする可能性もあります。
I sent a text but it got lost.
メッセージを送ったけど、どこかにいってしまった。
get lostは「迷子になる」のような表現ですが、メッセージが多く来るので埋没してしまったような印象を与えます。結果として返事が来ない=スルーされたとなります。
I sent a text but it went over her head.
メッセージを送ったけど、彼女は意味がわからなかった。
go over someone’s headは「ちんぷんかんぷん」のような意味です。ラインでジョークを送ったけど、彼女は意味を理解できなかったなどを意味します。
当然、反応は期待できないのでスルーされたといった意味に近くなります。ラインで面白いことを狙って送ってみたけど、いまいち伝わらなかった状況では使える表現です。
このように「ラインをスルーされた!」のようなケースでも無数に訳が考えられます。
もちろん原因がわからない場合は単純に状況を描写して「返事が来ない」「彼女は返事をしなかった」と表現する方法があります。
I sent a text, but she didn’t reply.
メッセージを送ったけど、彼女は返事をしなかった。
roll with the punches
これは批判をかわす、困難を乗り切るといった意味です。批判をよけると考えてもいいと思いますが、批判は実際に受けているけど流すような感じの言葉です。
これも日本語としては「そんな批判、スルーしなよ」みたいなカタカナ表現がされる場合には可能です。
She is really good at rolling with the punches.
彼女は本当に批判をスルーするのがうまい。
この表現は本当に物理的なパンチをかわすような行為にも使えます。
Toki rolled with Raoh’s punches.
トキはラオウのパンチをかわした。
Toki dodged Raoh’s punches.
トキはラオウのパンチを避けた。
ドッジボールのdodgeは「避ける」の意味ですが、roll withを使うとかすっているぐらいの感じはあります。まさに北斗剛掌波をよけるトキの動きです。