「無視する」のignoreとdisregardの意味の違い

ignore

ignore(イグノア)とdisregard(ディスリガード)はともに「無視をする」といった意味になりますが、この2つは類義語ではあるものの使い分けがされています。

しかし、その差についてはネイティブスピーカーのカール、スティーブと2時間ぐらい話し合っていましたが日本人には感覚的にとらえにくい部分も多いです。

意味が重なる部分もあるので置き換えられるケースもあれば、置き換えると変になるケースもあります。

ややこしさの原因はなんだろうかと考えていましたが、根本的にignoreとdisregardは本質は違うものの、結果・現象としては同じことが起こってしまう点と、日本語の「無視する」がなぜ無視したのか? という原因や動機を考慮しない言葉だからだと思います。

ignoreの意味と使い方

ignore

ignoreは日本語の「無視する」に感覚として近く、日常会話の範囲内で使うことができる言葉です。発音は【ignɔ́ːr】なので読み方は「イグノァー」ぐらいでしょうか。

英語の意味としては「気が付いているけど気が付いていない選択をする」といった意味になり、意図的に注意を払わないことを自ら選ぶことです。ただし無視した理由については日本語の「無視する」と同様にさまざまで不明です。

例文

The class ignored the little boy.

クラスはその小さな男の子を無視した。

例文

Many people ignored crossing signals.

多くの人が信号を無視する。

現代アメリカ英語のコーパス(言語のデータベース)を調べてみると「ignore」が使われる名詞は以下のような言葉が代表的です。

上位から順番にfact(事実)、people(人々)、problem(問題)、law(法律)、issue(問題点、論点)、thing(物事)、reality(現実)、way(方法)、man(男)、warning(警告)となります。

文脈としては真実、人々、問題、法律、論点などを「ignore」していることになります。

disregardの意味と使い方

disregard

disregardの意味は「注意を払わないこと、考えないこと、気にかけないこと」です。発音は【dìsrigɑ́ːrd】です。

日本語で考えると「無視する」と似ていますが、これは「考慮しない」「軽視する」と考えてもいいかもしれません。

裏の意味として「重要と思っていない」と感じられる節があります。

例文

They disregarded my advice.

彼らは私のアドバイスを無視・軽視した。

例文

Many people disregard crossing signals.

多くの人が信号を無視する。

カナダ人のスティーブによると「人間に対しては直接は用いない言葉だと思う」といった意見がありました。またフォーマルな言葉であり日常会話から少し外れた堅い雰囲気のある言葉です。

カールがコーパスを調べてくれましたが、人間に使わないこともないそうです。

主にdisregardが使われる名詞はlaw(法律)、life(人生、生命)、right(権利)、truth(真実)、rule(ルール)、safety(安全性)、fact(事実)、people(人々)、jury(陪審員)、state(声明)などです。

法律、生命、真実、ルール、安全などがdisregardされています。言葉の組み合わせから考えても日本語の「軽視する」が近い感じがしますね。

ignoreとdisregardの違い

ignoreは何かに気が付いていても気が付かないふりをするという動作、選択を表した言葉です。なぜその選択をしたのかは不明です。とるに足らない些細なことだった可能性や、重要だとわかっていながら気分が乗らなかった可能性もあり、動機は不明です。

disregardは注意を払わないことであり、結果としてはignoreと同じ現象・動作が起こっていますが、そこにはおそらく本人がそれを重要ではないと思っている節や同意していない部分が感じられます。

例文を比較してみます。

例文

〇 Some drivers disregard the safety of others.

△ Some drivers ignore the safety of others.

何人かの運転手は他の人々の安全を無視・軽視する。

この場合は「disregard」がベターであり、信号や交通ルールはもちろん知っているけど軽くみたり、注意深くない性格だったりと、他の人の安全を配慮しないタイプの人です。

ここでignoreを使う人もいると思うという前提での話ですが、こちらは「他人の安全なんて無視しようぜ!」といった悪い人間をイメージさせます。

例文

〇 Some drivers ignore warning signs.

〇 Some drivers disregard warning signs.

何人かの運転手は警告サインを無視・軽視する。

この場合はわずかに「ignore」がいいのではないかといった意見もありましたが、どちらでもOKです。

ignoreだと「スピード落とせ」のような警告を運転手は見て(おそらくちょっと考えて)(おそらくそのメッセージの重要性もわかったうえで)そして意図的に無視するという選択をしています。

disregardだとフォーマルであり、警告サインが何を言っているか気にかけていない、どうせたいしたことは言ってないだろうとあまり考えていない感じがします。

このように意味としてはすごく近く、置き換えても極端に変になるわけではないので、逆にそこが使い分けの難しさでもあります。

例文での比較

もう少し状況を作ってみます。「道の向こうに彼女を見つけたので、私は叫んで手を振った。しかし、彼女は無視した」です。

例文

I saw her across the street, so I called out and waved, but she ignored me.

I saw her across the street, so I called out and waved, but she didn’t see me.

例文

▲ I saw her across the street, so I called out and waved, but she disregarded me.

(この場合はdisregardは明らかに変)

ignoreだと「彼女は私に気が付いていたけど、彼女は気が付いていないふりをした、気が付いていないという選択をした(と私は思った)」となります。

seeを使うと「彼女は私に気が付いていなかった(と私は思った)」となります。

この状況ではdisregardを使うと変になります。文脈に合いません。

私を無視してるの?

もう少し状況にあわせえて例文を検証してみます。以下は「私を無視するの?」です。

例文

Are you ignoring me?

Are you disregarding me?

ignoreだと「私はここにいるのに、あなたは私がここにいないかのように振る舞うの?」であり、まるで気が付いていないかのように行動することです。

disregardだとおそらく「私のニーズや私の意見などをなぜ考慮しないの? なぜ私を気にかけてくれないの?」といった意味に近くなります。存在は認知しているはずです。

メールは無視してください

ほぼ同じ意味になるケースも考えられます。間違えて送ってしまったメールなどです。

例文

Please disregard the last message.

Please ignore the last message.

最後のメールは無視してください

この場合はdisregardのほうがフォーマルな感じがします。意味としてはignoreだと「メールを見ると思うけど、それを見ない・存在しないという選択をしてください」です。

disregardだと「そのメールは考慮に入れないでくださいね」といった意味になります。

コーパスによる頻度の比較

2時間ぐらい話し合っても言葉の違いの本質がつかみにくく、やや釈然としない腑に落ちない部分があります。しかし明確に使い分けられている言葉だといえます。

結局は多くの言葉の組み合わせに触れることで自然な英語を感じ取って感覚を磨くしかないのかなと思います。

以下は上でちらっと紹介したかかる名詞のトップ10を抜粋してみました。

ignoreが用いられる名詞トップ10
1[FACT(事実)] 399
2[PEOPLE(人々)] 244
3[PROBLEM(問題)] 144
4[LAW(法律)] 124
5[ISSUE(問題点・論点)] 109
6[THING(物事)] 105
7[REALITY(現実・現実性)] 103
8[WAY(方法)] 91
9[MAN(男、人間)] 86
10[WARNING(警告)] 81

disregardが用いられる名詞トップ10
1[LAW(法律)] 82
2[LIFE(生命・人生)] 76
3[RIGHT(権利)] 60
4[TRUTH(真実)] 55
5[RULE(ルール)] 48
6[SAFETY(安全性)] 45
7[FACT(事実)] 41
8[PEOPLE(人々)] 35
9[JURY(陪審員)] 28
10[STATE(声明)] 27

以下は両方で用いられているような言葉での比較を出しています。

disregard / ignoreの比較
[SAFETY(安全性)] 45/14
[ENVIRONMENT(環境)] 14/6
[LIFE(生命・人生)] 76/36
[TRUTH(真実)] 55/36
[JURY(陪審員)] 28/22

jury(陪審員)などは両方の言葉で同じぐらい使われていますが、safety(安全)だと3倍ぐらいdisregardが使われていることになります。

つまり「disregard safety」の組み合わせのほうが、「ignore safety」より3倍ぐらい多いことを意味しています。

視点を切り替えてみます。

ignore Vs disregardの比較
[PROBLEM(問題)] 144/2
[KID(子供)] 30/0
[NEWS(ニュース)] 26/0
[DIMENSION(寸法・次元・面積)] 25/0
[PRESSURE(プレッシャー)] 25/0
[SCIENCE(科学)] 25/0
[BILL(請求書・お札)] 23/0
[POSSIBILITY(可能性)] 40/1
[DEVELOPMENT(発展・開発)] 19/0
[ADULT(大人)] 19/0

逆にbill(請求書)などもignore bill(請求書を無視)は存在するけれど、disregard bill(請求書を軽視)は使われていないことになります。

   


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