majesty(マジェスティー)、excellency(エクセレンシー)、highness(ハイネス)、honor(オーナー)は地位の高い人への尊称で、日本語では陛下や殿下などにあたる言葉です。
特殊な言葉なので、普通の人はあまり使うことはないと思いますが、映画などでは見かける可能性はあるのでまとめておきます。
この記事の目次!
majesty(マジェスティー)
日本でも同じ考え方ですが、身分の高い人に対して直接「あなた(you)」と呼びかけるのは失礼にあたります。
私たちが天皇陛下に面と向かってお会いしたときでも「”あなた(you)”は英語がお上手ですね」や、所在を訪ねるときに「”彼(he)”は京都御所に到着しましたか?」とはいわず「陛下」と呼びます。
陛下の「陛」とは宮殿の階段にあたり、「陛下」とは「階段の下」を意味するそうで、そう呼ぶことで直接的に高貴な人を呼ぶのを避けています。
英語ではこれがmajestyにあたり「尊厳、威厳、威光」といった意味があります。
majesty【mǽdʒesti】
英語の場合に三人称の「he」にあたるのが「his majesty(マジェスティー)」です。もし本人に直接よびかける「you」ならば「your majesty」となります。
His majesty played tennis.
陛下はテニスをなさった。
Does your majesty want to play tennis?
陛下はテニスをされたいですか?
イギリスのエリザベス女王ならば「her majesty」となります。日本の天皇陛下は三人称は正式にはHis Imperial Majestyと記載されています。
いまいちな例文ですが、使い方として厳格なルールがある極めてフォーマルな英語で、スティーブも正確には使ったことがないし、よくわからないと言っています。
元々はイギリス英語なので、イギリス人のダンならもう少し詳しいかと思いますが、それでも普通のネイティブでも正確な運用のルールを知っている人のほうが珍しい特殊な言葉です。
excellency(エクセレンシー)
他にも地位の高い人に対しての尊称、敬称はいくつかあるのでご紹介します。
excellency【éksələnsi】
「閣下」と訳されることが多くexcellencyについては君主・国王ではない国家元首(大統領や首相など)や、政府高官(外務大臣、大使)などに用いられています。
本人が言っていますがデーモン小暮閣下の尊称は閣下にあたる「excellency(エクセレンシー)」なので、デーモン小暮に会って英語で話すときは「you」ではなくて「your excellency」を使うのがマナーです。
highness(ハイネス)
「殿下」と訳されることが多く、皇族・王族などに対して使われます。
highness【háinis】
イギリスのチャールズ皇太子の尊称は殿下にあたる「His Royal Highness(ロイヤルハイネス)」です。
日本では現在の天皇陛下は「His Imperial Majesty」と呼ばれていますが、皇太子時代は「His Imperial Highness」でした。
また日本の佳子内親王、佳子様も「Her Imperial Highness」です。
honor(オーナー)
市長や裁判官などに対して使われます。裁判官に対するhonorは映画の裁判のシーンなどで見かけるかもしれません。
honor【ɑ́nər 】
Objection Your Honor! The defense is leading the witness!
意義あり、裁判官! 弁護人は証人を誘導しています!
Your Honor, I object! The defence is badgering the witness!
裁判官、異議をうったえます! 弁護人は証人に執拗に迫っています!
holiness(ホリネス)
holinessは宗教的な立場のトップにいる人に対して用いられる言葉で、最も有名なのがローマ法王です。もしローマ法王と会って話すならばYouではなくYour holinessとなります。
holiness【hóulinəs】
かつてブッシュ大統領だったと思いますがローマ法王に対して「sir」と呼びかけて失笑を買っていました。
sirは男性への丁寧な呼びかけになっていますが、もともとは勲爵士と準男爵の称号にあたります。ローマ法王にいうのはマナーを知らない失礼な行為です。
宗教的なトップなので、ダライ・ラマなどにも用いられています。
実際に使用された場面の動画
こういったルールは特殊な人々の英語なので別に覚える必要はないと思います。
実際に使われている場面をご紹介します。カズオ・イシグロ氏がノーベル賞受賞の晩餐会でのスピーチの冒頭で使用しています。
0:35~のシーンからでご来場の人に「みなさま」と呼びかけていますが、その中には国王、国家元首、皇族クラスの人がいるためいくつかの尊称が「Your Majesties, your Royal Highnesses, Excellencies, fellow laureates, ladies and gentlemen.」のように複数形で用いられています。
fellow laureatesは「仲間の受賞者達」で出席している他分野のノーベル賞受賞者を指しています。
ladies and gentlemenも元々は階級に由来する表現で、平民より少し上の爵位を持った人を指していました。ただ、この場にはladies and gentlemenよりもさらに上の階級の人が大勢いるので、言葉の意味合い的にもladies and gentlemenだけで済ませると失礼です。
外務省によるガイドライン
外務省が「国際儀礼の基本講座」のようなものをいくつか公開しています。以下に抜粋してみますが要するに「外国の高位、高官への敬称・呼称は、正確性を期すために、使う前に必ず確認することが大事です」と書いています。
敬称は国によって使用の範囲が異なっているため、正確を期すには、一人一人についてその都度確認するほかありません。 通常、政府要人に対しては、「閣下」に対応する語として His(または Her)Excellency(略して H. E.)が使われていますが、例えば、米国では同国の高官に対しては The Honorable(略して The Hon.)を用い、他国の大統領、首相、大使などに対してのみ His(または Her)Excellency を用いるものとされています。
ご興味がある方は以下のPDFファイルも参考にしてください。
国際儀礼の基本講座 ~その13~ (外務省)