jail、prisonともに「牢屋、刑務所」などと訳されて犯罪をして捕まった際に入ることになる施設を意味します。
この2つの言葉の違いをネットで調べてみるといろいろな解説が見られます。アメリカ政府や州が管理するか? 自治体が管理運営するか? といった運営元の違いや「日本でいう拘置所と刑務所の違い」も多いです。
他の国では少し事情が違うし、日常使いの会話は行政の管理問題とは少し別ものです。今回はそういった「法的な管理団体の分類」「国ごとの厳密な違い」などではなく、あくまで日常会話の中での英語圏での使い分けとして書きます。
この記事はイギリス人のダンと、カナダ人のスティーブにヒアリングを行いながらまとめています。また関連する用語やスラングも多いので整理してみました。
刑務所を意味するJailとPrisonの違い
イギリス人のダンは「ジェイルもプリズンも一緒だよ」と言っていましたが、詳しく聞いてみると日常会話の中では以下の感覚的な使い分けがあるみたいです。
何で選ぶのかといえば刑期の一般的な感覚での「長い」「短い」です。どの国のネイティブであっても、以下の基準によって使い分けを行っているようです。
jail = 刑期の短いもの(人によっては長いものにも使う)
prison = 刑期が長いもの(短いものにはあまり使わない)
イギリス人でもカナダ人でもアメリカ人でも、会話の中で刑務所、拘置所にあたるものが出てきたとしても「あいつが入ったのは連邦政府の管轄だからプリズンと表現しよう」とかは、まったく思っていないそうです。
少なくとも、そこが言葉選びの基準にはなっていないということです。
○ He went to jail for a night.
▲ He went to prison for a night.
一晩(for a night)刑務所に入ったよと伝える時に、プリズンに短期間で入ることは感覚的にないので少し変な表現になります。
jailは日本語の感覚でいえば留置所(や拘置所)に近い存在だと思います。刑務所に入る前に待機する警察署内の場所であり、罪が軽い場合は刑務所に行かずに留置場だけで帰ってくることができます。
ある犯罪者が20年間刑務所に入っていたニュースで、イギリス人のダンとカナダ人のスティーブが話しあった結果、最初はjailという単語を使っていたんですが、20年以上入っているのでjailを消して「prison」にすべて置き換えたことがあります。
刑務所に入るを英語でいうには?
刑務所に入るという表現はスラングや隠語が生まれやすいのもあってさまざまな表現があります。TOEICには出ないと思いますが、映画などではたまに聞かれます。地方や国、年代にもよって変化がありますが以下が代表的なものです。
go to prison
go upstate
do time
do hard time
be locked up
He’s doing time for robbery.
彼は強盗で刑務所に入っている。
He’s doing three years for robbery.
やつは強盗で3年ムショにぶち込まれている。
「go upstate」などはアメリカのどこかの州の北側に刑務所があったので「州の北に行った」みたいな語源になるそうです。
あまり重要ではない表現で、スラングに近いものですが「食事」の意味として以下のような場合に使われます。
Three hots and a cot.
3食とベッド=牢屋・刑務所
「牢屋」を意味する言葉で、普通の人は使わない表現です。食事の意味でhotが使われています。
刑務所の部屋そのものはcellが使われます。
serve(服役する)
刑務所での「刑期を務める、服役する」の意味で使われています。ほかにも「食事などを提供する、人に仕える」などおなじみの意味も当然あります。
She served 10 years for murder.
彼女は殺人で10年服役した。
After serving 5 years in prison, I was released on parole.
5年服役した後で、私は仮釈放された。
脱獄(Jailbreak)の意味は?
本当に牢屋から脱走することを意味するケースもありますが、iOSなどを不正に改造してアップルが行っている様々な規制・制限を解除する行為を指すことも多くなりました。
ちょうど牢屋から抜け出して自由になる様子から脱獄(Jailbreak)の言葉が用いられています。
Jailbreaking is the act of altering an iPhone’s operating system so that apps not available in the Apple-regulated App Store can be downloaded and installed.
脱獄はiPhoneのOSを改造する行為で、そのためアップルがアップストアで規制する、使うことができないアプリをダウンロード、インストールすることができる。
これよってゲームを裏側から不正に操作したり、キャラクターを強くしたりといった行為から、できないはずのカメラのシャッターを無音にする、ホーム画面のアイコンを自由配置したりもできます。
場合によってはアップルが禁止しているアダルトアプリを動かすようにもなれます。セキュリティーが甘くなる可能性が高く、またアップルからの補償などがいっさい受けられなくなるど、デメリットも多い行為です。
アップル側も脱獄されないように作っていますが、一部では需要があるようで、iPhone 7が発売されると世界中でこぞって脱獄に挑戦する人があらわれました。
一般的に個人で改造して楽しむ分には「脱獄」そのものは犯罪ではないとされています。アップルの規約違反ではありますが、デメリットをわかってやっている人も多くいます。
脱獄モノ映画
映画やテレビドラマで「脱獄モノ」は定番の人気ジャンルです。
古くは『大脱走(The Great Escape)』や、大ヒットした『ショーシャンクの空に(The Shawshank Redemption)』などが有名です。
数年前にはアメリカのTVシリーズで『プリズン・ブレイク(Prison Break)』が大ヒットしました。
無実の罪で収監された兄を助けるため、弟がわざと刑務所に入るというところから物語はスタートします。ツッコミどころも多いですが、それを補うだけの面白さがあるのでぜひご覧ください。
関連用語として保釈金を意味するbailの使い方は以下の記事にまとめています。
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