英語で偽物、偽のを意味する言葉はカタカナでもよく見かける「fake(フェイク)」を代表に、豊富でそれぞれの言葉に特徴や使われる傾向があります。品詞もそれぞれ違います。
このぺージでは「fake」「false」「counterfeit」「forgery」「knock-off」「pseudo」「replica」の言葉を中心にネイティブスピーカーに聞いて違いをまとめています。
中には置き換えても問題ない言葉同士もあるので、近い意味を持っているものもあります。使い方は例文を参考にしてください。
この記事の目次!
fake(フェイク)の意味と使い方
カタカナでも広く使われている「フェイク」は偽の、嘘のといった意味です。明らかに意図的に嘘をつくような悪意を多少なりとも感じさせる言葉です。
後に紹介するknock-offとcounterfeitといった言葉も「fake」で表現しても問題はありません。
I’m sure her Gucci bag is a fake.
きっと彼女のグッチのバッグは偽物だよ。
The gang was caught spending fake $100 bills.
ギャングは偽の100ドル札を使って逮捕された。
fakeは動詞・名詞・形容詞のどれでも使うことができる言葉です。
That painting is a fake.
名詞:あの絵は偽物だ。
The brand-name clothes all turned out to be fakes.
名詞:そのブランドの服はすべて偽物だと判明した。
His fake watch looks real.
形容詞:彼の偽物の時計は本物のように見える。
That is a fake mirror they use to catch shoplifters.
形容詞:あれは偽の鏡で、万引き犯を捕まえるために使っている。
マジックミラーのようなもので鏡のようで向こうから覗けるやつのことです。
動詞では「~をでっち上げる、偽造する」のような意味になります。
We faked that we were sick and skipped class.
動詞:私たちは病気だとでっちあげて授業をさぼった。
He got warning from the ref for faking an injury.
動詞:彼は怪我のフリをして審判から警告をもらった。
どうしてもfakeには嘘をついているようなネガティブな感覚をともなってしまうので、場合によっては次に紹介する「false」を使ったほうが適切なケースがあります。世界的に「fake news」が問題になっています。
deepfakeの使い方
AIを使って2つの画像や動画の一部を交換することで本物のように見せかける画像や動画のことで「ディープフェイク」と呼ばれます。実際は偽の画像だったり偽の人物だったりします。扱いは名詞です。
A deepfake of Queen Elizabeth made a speech last Christmas.
エリザベス女王のディープフェイクがこの前のクリスマスにスピーチをした。
Better technology is needed to identify deepfakes.
より良い技術はディープフェイクを見抜くことが必要とされる。
falseの意味と使い方
falseもよく使われる言葉ですが、偽のというよりも「間違った、誤った」「人工の、模造の」と考えるほうが現代の英語の感覚に近いです。
false【fɔls】
The company was reporting false information.
その会社は誤報を伝えていた。
She took off her false eyelashes.
彼女はつけまつげを外した。
Many people need false teeth in their old age.
多くの人々は歳をとると入れ歯が必要になる。
fakeとfalseの違い
入れ歯を表す際には「false teeth」と「fake teeth」が考えられます。感覚としてfakeは意図的にだまそうとしている悪意ある感じがすごく出ます。
「入れ歯」は本物に見せかけて、見ている人に本物の歯だと信じさせようとしている点では確かにだましてはいますが、fakeで書くと明らかに嘘をついている悪意ある感じもします。
falseも昔はそのような悪意ある騙し方に使われていたそうですが、現代の感覚では薄くなっています。
He has false teeth.
彼は入れ歯だ。
He has fake teeth.
彼は偽の歯だ。
fake teethと書くと何か(悪意を持って)意図的にだまそうとしている感じがします。また相手に対してfake teethという失礼です。
His story is false.
彼の話は間違っている。
His story is fake.
彼の話は嘘だ。
これも同じくfalseで書くと「間違った話、誤りのある話」ですが、fakeで書くと明確にだまそうとして言っている感じがします。
He discovered his doctor was fake.
彼は主治医が偽物だと発見した。
上の場合だと偽の医者だった、資格を持っていない偽物だったといった意味です。
△ He discovered his doctor was false.
(間違ったことを言った)
上のfalseだと少し変ですが、何か間違ったようなことを言ったような感覚がします。盲腸でないのにあなたは盲腸だといったりです。
ものによってはartificial(人工的な)などの言葉も使うことができます。
falsifiedの意味と使い方
falsifiedで「偽造された」のような意味になります。
The STAP data was falsified.
STAP細胞のデータは偽造だった。
動詞ではfalsifyで「変造する、改ざんする、偽る」の意味です。これらは明確に騙すような行為です。
The president falsified his poll numbers.
大統領は投票数を偽造した。
以下の例文を比較すると意味としては明確に違ってきます。
The data was false.
データは間違っていた。
The data was falsified.
データは改ざんされていた。
ただし、「falsified」も「falsify」も、どちらもちょっとフォーマルな言葉であって日常会話ではあまり使いません。また文書の改ざんをイメージさせる言葉だそうです。
「fake(偽物)」や「lie(嘘)」のような似た意味の言葉があるので、普通はこっちを使っても問題ないと思います。
The STAP data was fake.
The STAP data was a lie.
The president faked his poll numbers.
The president lied about his poll numbers.
(先の例文と似たような意味です)
knock-offの意味と使い方
knock-offはたいてい「偽物の商品・偽造品」に対して使われ、プラダやシャネルに代表されるブランドもののバッグや時計などが代表的です。
He was arrested for selling knock-off Rolexes.
彼は偽物のロレックスを売って逮捕された。
I’m sure her Gucci bag is a knock off.
きっと彼女のグッチのバッグは偽物だよ。
counterfeitの意味と使い方
counterfeitはより「書類」「お金」に対して使われやすい「偽造」に近い言葉です。「書類」「お金」などに使われやすいだけで絶対ではありません。
counterfeit【káuntərfìt】
The gang was caught spending counterfeit $100 bills.
ギャングは偽の100ドル札を使って逮捕された。
His license to sell alcohol was a counterfeit.
彼の酒類販売の許可書は偽物だった。
prevent(防止する)とよく一緒に見かけます。
The government has announced a redesign of ¥10,000, ¥5,000 and ¥1,000 bank notes, adding new technology features to prevent counterfeits.
政府は、偽造紙幣を防ぐための新しい技術的な特徴を加えた、新デザインの1万円札、5000円札、1000円札を発表した。
forgeryの意味と使い方
forgeryはよく「サイン・署名」に対しての偽物に使われます。
forgery【fɔ́rdʒəri 】
The president claims his signature on the contract was a forgery.
社長はこの契約の署名は偽物だったと主張している。
動詞のforgeは「鍛造する、プレスする」と偽物などを「偽造する、でっち上げる」の意味で使われます。
My son learned how to forge my signature when getting notes from his teacher.
私の息子は先生からの通信ノートをもらう時に、私の署名を偽造するやりかたを学んだ。
ここでのnotesは先生から親への通信メッセージのことで、読んだ証拠として親の署名をもらいます。しかし、学校での態度など悪いことも書かれるケースもあるため、子どもが親のサインをまねて見せないことがあるようです。
They forged the money.
彼らはお金を偽造した。
The shield was forged from gold.
この盾は黄金から鍛造された。
置き換えも可能
これら紹介したものは「使われやすい傾向がある」といったレベルで絶対ではありません。中にはいくつかは置き換えも可能なものもあります。
His license to sell alcohol was a forgery.
彼の酒類販売の許可書は偽物だった。
He was arrested for selling counterfeit Rolexes.
彼は偽物のロレックスを売って逮捕された。
pseudoの意味と使い方
疑似の、よく似たなどの意味があります。文脈によってはペテン、中身のないなどネガティブな意味にも受け止めることができます。
発音はsjúːdouでカタカナでは「シュードウ、スードウ」になります。聴いてもらえるとわかりますがPの音が発音されていないのでご注意ください。
pseudo【sjúːdou】
pseudo 3D
(擬似3D)
His name is a pseudonym.
彼の名前は偽名/ペンネームだ。
It is a pseudo business.
彼のビジネスはニセモノだ
replica(レプリカ)の意味と使い方
何かを正確にコピーしたものを指しカタカナの「レプリカ」と同じで、「レプリカ、模写、複製」を意味します。
普通は機能しないものが多く、同じサイズかは文脈によります。
He was arrested for robbing a bank with a replica gun.
彼はレプリカの銃で銀行を襲って逮捕された。
おそらくこの銃は機能しません。銃のレプリカはおそらく銃と同じサイズです。
He built an exact replica of Kiyomizu Temple using toothpicks.
彼はつまようじを使って清水寺の正確なレプリカを造った。
常識的に考えて本物の清水寺と同じサイズではありません。
「scale replica」はスケール、サイズが違うレプリカのことです。ただし、文脈で明らかな場合は「scale replica」と言わなくてもいいかもしれません。
つまようじで実物大の清水寺を作れるわけがないので、わざわざscale replicaといわなくてもわかるからです。
fake / false / counterfeit / forgery / knock-offの使い分け
fake / false / counterfeit / forgery / knock-offを置き換えても問題ないか? どれがベストかをネイティブに選んでもらったので使い分けの参考にしてください。
全体的に見ると「fake」は意図的であることを臭わせますが犯罪系にはオールラウンドに使えそうです。
偽札・偽造紙幣
「あれは偽札だった」を意味する場合です。〇がついているのが自然です。△は間違いとはいいませんが一般的ではありません。
〇 That bill was fake.
〇 That bill was counterfeit.
△ That bill was a forgery.
△ That bill was a knock-off.
(間違いではないが一般的ではない)
上の例文はどれも明確に相手を騙すことを意図したような偽札です。
That bill was false.
(意味がはっきりしない)
偽のニュース・フェイクニュース
「あれはフェイクニュースだった」です。この場合もfakeが無難です。falseを使うぐらいならwrongのほうがベターという意見です。
That news was fake.
あれは偽のニュース・フェイクニュースだった。
△ That news was false.
= 〇 That news was wrong.
あのニュースは間違いだった。
That news was counterfeit.
That news was a forgery.
That news was a knock-off.
(間違い)
偽の絵画
「あの絵画は偽物だった」です。この場合はfalse以外は意味が通ります。
That painting was fake.
That painting was counterfeit.
That painting was a forgery.
△ That painting was a knock-off.
あの絵画は偽物だった。
That painting was false.
(絵ではなく、物体だった?)
絵と思っていたら本当だったとか、ちょっと特殊な文脈ならあるかもしれません。
偽のカバン
「あのカバンは偽(のブランド)だった」です。
That bag was fake.
That bag was a knock-off.
あのカバンは偽物だった。
△ That bag was counterfeit.
△ That bag was a forgery.
(あまり一般的ではない)
That bag was false.
(カバンではなかった?)
つけまつ毛
「彼女のまつ毛は偽物(つけまつ毛)だった」です。この場合はfakeだと否定的であり、面と向かって言うには少し失礼です。
Her eyelashes are fake.
(否定的な印象を与える)
〇 Her eyelashes are false.
= ◎ She is wearing false eyelashes.
(下段の例文がベター)
通常は「false eyelashes(つけまつ毛)」という言葉の組み合わせが一般的なので、そういう使い方をしたほうが無難です。「eyelashes are false」でも間違いではありません。
Her eyelashes are counterfeit.
Her eyelashes are forgery.
Her eyelashes are knock-off.
(意味がよくわからない)