何かの技術などがまずい様子や下手なことを表すには「bad」や「poor」を使うことができます。
その一方で副詞のpoorlyやbadlyになると意味が大きく変わってくることがあります。
このあたりの混乱を避ける意味でも単語を整理してみます。あわせてちょっとマニアックな比較級の問題にも触れています。
この記事の目次!
poor = bad
poor(貧乏)は確かに「貧乏、金がない」といった金銭的な状況を表す言葉ですが、それ以外にも単純に「bad」とほぼ同じ意味で使われることが多いです。
poor health(不健康)やpoor manner(ひどいマナー)ほかにもpoor movie(ひどい映画)などです。
映画の場合などは、無理に「貧相な・貧弱な」といった「貧乏」からくるイメージを意識しているわけではなく、単純にひどかった映画、つまらない英語という意味でしかありません。
He is a bad runner.
= He is a poor runner.
貧困の意味で使われていない場合のpoorは単純にbadと考えても問題ありません。上の例文はひどいランナーだ、下手なランナーだといったネガティブな意味です。
badly
副詞のbadlyは「悪く、まずく、下手に」の意味もあります。
He runs badly.
(彼は下手に走る)
それ以外に「かなり、とても、非常に」の意味で使われるケースが多いです。very muchやvery stronglyの意味です。
この場合は「かなり、とても」の強調の意味なので、必ずしも悪い意味、ネガティブな意味で使われているとは限りません。
I badly want water.
(とても、水がほしい)
動詞を修飾する副詞の形になると意味がガラっと変わります。こうなると次に紹介するpoorlyも含めて2つは同じ意味でなくなります。
He wants a new car badly.
= He wants a new car very much.
「彼は新しい車をとても欲しい」といった意味になるので、別にネガティブなニュアンスはありません。どのくらいほしいかといった程度を意味する言葉です。
poorly
一方でpoorlyは「貧しく、乏しく、みすぼらしく、下手に、まずく、不完全に」などネガティブな意味でしか使われません。
物事のスキル・技術などについて話すならば、poorlyを使ったほうが混乱はしません。
I played tennis poorly.
(下手にテニスをプレーしてしまった)
He runs poorly.
(彼は下手に走る)
以下のような例文が作れるので確認してみてください。badlyが必ずしも悪い意味ではないのが不思議な感じがしますね。
I badly wanted the championship, but I played tennis poorly.
(かなり優勝したかったけど、下手なテニスをプレーしてしまった)
この件については「terribly(ひどく)」やdeadについても同じことがいえるのであわせてご覧ください。
比較級のworse
あまり見かけませんが、この理屈は比較級のworseにも当てはめることができます。
He runs more poorly than me.
He runs worse than me.
上の例文はともに技術的に「彼は私より悪い、下手」といった意味での純粋な比較級として使われています。
しかしworseを「とても」などの「程度に対しての比較」として使うことも可能です。
He wants a new car worse than me.
= He wants a new car more than me.
この場合は彼のほうがより新しい自動車を欲しがっていることを意味します。
この何かを強調する意味でのworseは日本の辞書に掲載があまりありません。海外の辞書を調べてみると副詞(adverb)の項目に掲載があります。
worse : with more severity, intensity, etc.; in a greater degree.(dictionary.com)
確かにあまり見ない使い方ですが事実として存在しています。
関連項目としてhardlyもありますので合わせてご覧ください。