1つの文章で「赤い/大きな/紙の/風船」のように英語で形容詞が並ぶときには、その語順にルールがあります。
ネイティブスピーカー同士の場合は少しでも順番が違うと違和感がある点と、みんな特に習ったわけでもないのに、自然と順番を守っている不思議さがあります。
以下、基本的な形容詞の語順・順番に関するルールをご紹介します。
この記事の目次!
形容詞の順序
以下の要素から前に並んでいきます。必ずしも絶対ではなく、いくつか例外がありますが基本的にはこのルールに従っています。
本当はこのような長い文章はあまり見かけませんが、ルールに従って書くと以下の通りです。長方形のナイフとはなんだと思うかもしれませんが、例え話なのであまり気にしないでください。
You can have a lovely little old rectangular green French silver whittling knife.
あなたは、かわいいい・小さな・古い・長方形の・緑の・フランスの・銀の・削り用のナイフを持っている。
①opinion(主観・意見)
最初に来るopinion(主観・意見)とは、lovely(愛らしい)、beautiful(美しい)、wonderful(素敵な)のように、その個人の意見、主観的な評価のことです。
その人の意見であって、他の人はそう思っていない可能性があります。
②size(大きさ)
2番目に来るのはサイズで、little(小さな)やbig(大きな)などが代表的です。
他にもtall(高い)やhuge(巨大な)、small(小さな)large(大きな)など、わりとよく登場する単語がここに入ります。
③age(新旧・年齢)
3番目はold(古い)やnew(新しい)young(若い)などの他にも、hot(熱い)やcold(冷たい)もここに含まれます。
④shape(形・形状)
4番目は形のことでrectangular(長方形の)やflat(平らな)square(四角の)round(丸い)などが該当します。
⑤color(色)
5番目は特に問題ないと思いますが「色」を示す言葉が入ります。
red(赤い)やblue(青い)などさまざまな色が入ってきます。
⑥origin(起源)
起源とはどこの国や地域から来たのかなど、そのものの由来を指すような言葉です。例えばJapanese(日本の)やSwedish(スウェーデンの)などのような言葉です。
国名だけではなくAsian(アジアの)やVictorian(ビクトリア朝の)European(ヨーロッパの)なども該当します。
ここに入るのは文法としては「固有形容詞」と呼ばれるもので、固有名詞から形容詞になったもの、国名や人名で普通は大文字から書き始めます。
⑦material(素材・材質)
7番目は素材、材質などをあらわす言葉が入ります。silver(銀の)wooden(木製の)が該当します。
ここは専門的には物質形容詞と呼ばれるものが入ります。
⑧purpose(目的・用途)
最後が目的にあたるようなものです。日本語でいえば「〇〇用」などの話で、running shoes(ランニングシューズ)やwedding gift(ウエディングギフト)などの動名詞になっているものも入ります。
またそのまま名詞が来てschool bus(スクールバス)やjewel box(宝石箱)などのようになります。
ネイティブは無意識にやっている
イギリスのBBCカルチャーの編集者であるマシュー・アンダーソンさんが形容詞の語順・並び順についてツイートして人気になっていました。
しかもポイントになっている面白さは「順番をちょっとでも間違えると頭のおかしい人に思われる」と「ネイティブスピーカーは意識したり特に習った記憶もないのになぜか理解している」の2点です。
マシュー・アンダーソンさんもツイートには以下のように書いています。
Things native English speakers know, but don’t know we know: pic.twitter.com/Ex0Ui9oBSL
— Matthew Anderson (@MattAndersonBBC) 2016年9月3日
Things native English speakers know, but don’t know we know:
(英語のネイティブスピーカーが知っていること。しかし、知っていることを知らない)
英語のネイティブスピーカーはみんなちゃんと正しく使っていますが、正しく使っていると意識もしないし特別に考えてもない、習った記憶もないけど、なぜか知っています。
間違えると違和感が出る
ニュースにあるように順番をちょっとでも間違えると頭のおかしい人に感じられるそうです。
That’s a big old cat.
I like her big blue cotton sweater.
That’s an old big cat.(誤)
I like her cotton blue big sweater.(誤)
カナダ人のスティーブにいわせると、上のように少しでも入れ替わると明らかな違和感が出て「この人、ちょっとおかしいんじゃないか?」と思うぐらいになるそうです。
知識が足りない、勉強不足といった「そんなのも知らないの?」といった違和感ではなく、そのおかしさは「どこかに頭でもうったの?」や「クスリでもやってんの?」といった正常ではない、根本的・生理的な部分での不可解さだそうです。
日本語でも助詞「が」「を」「に」「の」「と」の使い方など自然と覚えており感覚的に間違うことはありませんが、これを間違えるようなものでしょうか。
もちろん私達ノンネイティブが間違えるのは問題ないでしょうが、ネイティブ同士だと明らかに変だという話です。
ツイッターで驚いているネイティブ達はこの語順を無意識にマスターしており、指摘されるまでみんな気がつかなかった点です。
スティーブからの補足を加えると、この編集者のちょっとでも語順を間違えると頭がおかしく感じるということには同意するけど、いくつかの言葉は入れ替え可能だと思うとのことです。
特に③ageと④shapeが資料によって順番にばらつきがみられるケースがあります。
例外のパターン
例外というかネイティブスピーカーによって見解がわかれそうなケースがあります。面白かった事例としてご紹介してきおきます。
柿の種で有名な亀田製菓が、JAXAの承認を得て柿の種が宇宙食に認定されました。
Popular rice crackers, Kaki No Tane, have received approval from JAXA as a “Space Japanese Food.”
人気の煎餅である柿の種が、JAXA(宇宙航空研究開発機構 )から「宇宙日本食」としての承認を得た。
この宇宙日本食をそのまま並べると「Space Japanese Food」となります。これがネイティブスピーカーには違和感が出ます。space(宇宙用)は用途・目的なので一番最後です。
規則にそって並べ替えると「Japanese(起源) space(目的) food」とするのが正しい自然な語順です。以下の文と同じ理屈ですね。
It’s a Japanese coffee mug.
日本のコーヒーカップ
It’s a coffee Japanese mug.
(この並びは奇妙)
「コーヒー・ジャパニーズ・マグ」は違和感がある人も多いと思いますが、そのレベルでスペース・ジャパニーズ・フードはおかしいです。
しかし、一般的に前に来る方が強調され、この場合は「宇宙の」日本食であることが重要なので「Space Japanese Food」でもいいのではないかといった意見もあります。
一般的な日本食について話している前提があり、そこであえて「宇宙用」であることを強調する文脈にするならば可能ではないかといった話です。
There are many kinds of Japanese food, including Kaki No Tane, which is a ‘space Japanese food’.
多くの日本食があり、柿の種もそうで、それは宇宙・日本食だ。
また別の考え方として「Japanese Food」がほぼ1単語に近い強い結びつきがあるので、そこを崩さなくてもいいのではといったケースです。
green great dragon
他にも何かの映画のキャクターで「great dragon(グレートドラゴン)」がいました。これは龍のランク、地位で普通のドラゴンより上位の存在です。
これが役名としては「green great dragon(緑のグレートドラゴン)」として登場していました。
この並びはおかしくて形容詞の語順に従って並べるならば主観・意見であるgreatを先に出して正しくは「great green dragon」とすべきです。
しかし、それはもう「great dragon」という存在で、その中の緑色ならばgreen great dragonもOKではないかといった話になりました。
このように確かにどう扱うか、意見がわかれそうなものも存在しています。