映画関係のニュースでよく使われる言葉で「リブート(reboot)」があります。最近はカタカナで「リブート」の表記があちこちで見られるようになりました。
厳密な定義はありませんが、言葉の意味と実際にどう英単語として使うのかを確認してみました。もともとは「再起動」などの意味があります。
人によって定義や使い方に差があり、原作へのリスペクトがあるかどうかなど、確認しようがない定義を主張する意見もあって、あくまで参考程度にお考えください。
日本では「リブート」といってもあまりピンとこないのでリメイクが多く使われているようです。
remake(リメイク)
日本語でもおなじみの「リメイク」は、映画などで古い作品を違う俳優や新しい特殊効果、映像技術を使って作りなおすことです。
ストーリーは基本的に同じ内容であるか、ちょっと新しい要素が加えられていたりします。
またホラー映画の『リング』のハリウッド版『The Ring』や、ゴジラのハリウッド版『GODZILLA』のように版権を買ってその国のキャストやストーリーなどを調整したものもリメイクと呼ばれます。
こちらは単発の映画などに用いられることが多いです。
Charlie and the Chocolate factory is a remake of 1971’s Willy Wonka and the Chocolate Factory.
(『チャーリーとチョコレート工場』は1971年の『夢のチョコレート工場』のリメイクだ)
The remake of Total Recall had Colin Farrel instead of Arnold Schwarzenegger.
(『トータルリコール』のリメイクは、シュワルツェネッガーの代わりにコリン・ファレルが出演した)
reboot(リブート)
ストーリーは前回の作品とはちょっと違う内容、全体を通して別の解釈になっているケースがけっこうあります。また単発作品ではなく続き物に使われやすい言葉です。
『スーパーマン』や『バットマン』なども、なぜスーパーマンは地球にいるのか、ジョーカーはどうやって生まれたのかなど、みんな知っていることでも最初からやり直してシリーズ化していきます。
Superman and Batman have been rebooted several times.
(『スーパーマン』や『バットマン』は何度もリブートされている)
スーパーマンの古い映画に対して、『マン・オブ・スティール 』がリブートにあたります。バットマンも古くから実写化されていますがクリストファー・ノーランの三部作『バットマン ビギンズ』などがリブート作品にあたります。
Young Black Jack is a reboot of Osamu Tezuka’s classic Black Jack series.
(『ヤング ブラック・ジャック』は手塚治の名作『ブラック・ジャック』のリブートだ)
『ヤング ブラック・ジャック』は手塚治の『ブラック・ジャック』の若き日を描いた作品ですが、これもリブートとして考えてもいいみたいですね。
手塚治虫は若い時代の『ブラック・ジャック』のエピソードを断片的にオリジナル作品の中で触れていますが、そこを膨らませた物語が『ヤング ブラック・ジャック』です。手塚治虫はもちろん関わっておらず、新しい監督、漫画家によって解釈されたリブート作品と呼んでも差し支えないそうです。
アニメの『エヴァンゲリオン』が4部作の映画として公開されていますが、これもストーリーを最初からやり直した珍しいアニメのリブート作品です。
2016年の春に配信したニュースで、アメリカの人気ドラマ『プリズン・ブレイク(Prison Break )』の続編の撮影がはじまるといった内容に「リブート」が出てきました。
シリーズは終了していますが、ここで新作が「リブートではない」といった形で紹介しました。『プリズン・ブレイク』も、もう一度最初から「なぜ死刑が宣告されたのか、なぜ刑務所に入るのか」から似たような配役でやればリブートになりますが、今回は続編にあたるのでリブートではありません。
This is not a reboot of the series, but a 10-episode continuation of the original story featuring all of the original cast.
(これはリブート版ではなく、オリジナル・キャストによる新たなストーリーで全10話の続編になる予定だ)
revival(リバイバル)
上の2つに比べるとそこまで使われませんが、続編を指すケースが多いです。
劇場などの公演でストーリーの続きをやる場合に用いられます。今回の『プリズン・ブレイク』も時系列はオリジナルの続きなので、この言葉が使われています。
カタカナだと同じ公演、古い映画などをもう一度同じ内容で復活するようなイメージがありますが、ストーリー的な続編、その後を描く言葉にも使えます。
ただカタカナで使われている「同じ内容を劇場でもう一度公演する」の意味で使っても間違いではないみたいです。
Ken Watanabe is in a revival of The King and I on Broadway.
(渡辺謙はブロードウェイの『王様と私』のリバイバル公演に出演している)
prequel (プリクエル)
最近、リブートほどではないですがprequelも見かけることがあってこれは「前日譚」のような意味です。
ある物語があって主人公の若い頃や子どもの頃を描いたようなものを指します。
英単語としては以下のように使われます。
Monsters U. is a prequel of Monsters Inc.
(『モンスターズ・ユニバーシティ』は『モンスターズ・インク』の前日譚だ)
Indiana Jones and the Temple of Doom was a prequel of Raiders of the Lost Ark.
(『インディ・ジョーンズ・魔宮の伝説』は『レイダース・失われたアーク』の前日譚だ)
The Star Wars Prequel trilogy is not as good as the original trilogy.
(『スターウォーズ』のプリクエルの三部作は、オリジナルの三部作ほど良くはなかった)
『スターウォーズ』は例としては分かりやすいようにも感じますが、実際は最新の三部作(789)にとったらオリジナルの三部作(456)が前日譚にあたり、公開順も変則的なのでどれを指すのか非常に混乱します。