英語で「髭(ひげ)」を表す言葉は豊富で、生えている位置によって「beard(あごひげ)」や「moustache(くちひげ)」のように異なる単語を持っています。〇〇ひげ、と部位との組み合わせで表現される日本語より覚えにくい言葉だといえます。このページではさまざまな英語でのひげの種類を整理しています。
近年「Movember(モーベンバー)」と呼ばれる、11月にひげを生やすことで男性のがんについて意識向上を促すイベントが海外で流行っています。髭にまつわる細かな情報も整理してまとめました。
この記事の目次!
clean shaven(きれいに剃った状態)
clean shavenが「ひげ・毛髪などをきれいに剃った」となります。
He looks totally different when he’s clean shaven.
髭をきれいに剃ったときには、彼はまったく違って見える。
five o’clock shadow
朝そっても夕方には濃くなるひげのことです。直訳すると「5時の影」みたいな意味です。
He looked tired and had a five o’clock shadow.
彼は疲れているように見え、うっすら髭が生えていた。
beard(あごひげ)
beardが「顎髭(あごひげ)」です。有名なシュークリーム店の「ビアードパパ」の看板を見てもわかるようにbeardが「あごひげ」です。
有名人でいえばサンタクロース、リンカーン、デイビッド・ベッカムなどです。
beard【bíərd】
He had a beard like Abraham Lincoln’s.
彼はエイブラハム・リンカーンのようなあごひげを生やしていた。
次に紹介する「moustache(口髭)」との関連になりますが、上の写真の一番左の男性のように口髭がある人はだいたいつながっている顎髭もあります。顎髭だけあって口髭がまったくないのは本当にリンカーンぐらいです。
口髭と顎髭が両方あっても、いちいち個別には言わずにだいたい普通は「beard」に集約・優先して言うことが多いです。
髭を蓄える場合は「grow」を使います。
I’m going to grow a beard during my vacation.
私は休暇中に髭を生やすつもりだ。
moustache(くちひげ)
mustacheとも書かれますが「口ひげ」のことです。唇と鼻の間にあるひげです。カタカナだと「マスタシュ」のようになります。
有名人ではQueenのフレディ・マーキュリーやアドルフ・ヒトラーなどです。
moustache【mʌ́stæʃ】
A short moustache went out of style after Hitler wore one.
ヒトラーがたくわえていた後は、短い口髭は時代遅れになった。
アドルフ・ヒトラーのようないわゆる「ちょび髭」はtoothbrush moustacheやHitler moustacheのように呼ばれることがあります。
Hitler had a toothbrush moustache.
ヒトラーはちょび髭を生やしていた。
Michael Jordan had a Hitler moustache.
マイケル・ジョーダンはヒトラーの髭があった。
ピンと跳ね上がった髭(カイゼル髭)は「handlebar moustache」とも呼ばれます。自転車などのハンドルに形が似ているからで、広い意味ではプロレスラーのハルク・ホーガンのような直角にくちもとまで下りているような口ひげも含まれてきます。
Hulk Hogan has a handlebar moustache.
ハルク・ホーガンはハンドルバーの髭をしている。
後で紹介するMovemberとの関連でいえばオーストラリアではmoustacheをスラングで「mo」と呼ぶこともあるそうです。しかし北米ではこの使い方は見られません。
stubble(無精ひげ)
「無精ひげ」にあたる言葉で、数日ほったらかした後の短い硬い髭です。読み方は「スタブル」みたいな感じです。
stubble【stʌ́bl】
The stubble on his face felt like sandpaper.
彼の無精ひげはサンドペーパーみたいだった。
sideburns(もみあげ)
「もみあげ」のことです。左右あるので複数形で使われることが多いです。有名人でいえばエルビス・プレスリーが代表的で、エルビスのようなもみあげは「Elvis sideburns」とも呼ばれます。
People in the 70s had really big sideburns.
70年代の人たちは、本当に大きなもみあげをたくわえていた。
goatee(やぎ型のひげ)
あごひげの中でも、全体に広がっているのではなく、唇の下あたりのあごのところにだけあるひげです。
文字の意味では「ヤギひげ」ですが、日本語で一言で言い表す言葉があるのかはちょっとわかりませんでした。日本の有名人だとラグビーの五郎丸選手などがこのやぎひげです。
Brad Pitt often has a goatee.
ブラッド・ピットはしばしばヤギひげをする。
whisker(動物の髭)
whiskerは猫やネズミなどの髭のことです。人間のbeardやmoustacheを指して使われないこともありませんが古臭い表現になっています。
whisker【hwískər】
The cat’s whiskers touched my face.
ネコの髭が私の顔に触れた。
My grandpa has food in his whiskers.
祖父の髭に食べ物がついていた。
Movember(モーベンバー)
モーベンバーはもともとは男性特有のがんである前立腺がん、精巣がんなどについての意識向上を目的としたチャリティー活動です。女性のピンクリボンは乳がんの啓発キャンペーンとして知られていますが、それの男性版のようなイメージです。11月の頭にひげをそって、11月中は剃らないといったものです。
2004年代にオーストラリアのメルボルンで始まった運動で、そこからヨーロッパ、アメリカに広がっていき、少し前のデータでは2012年の時点で世界で10億円以上を集める大規模なイベントになっています。
現在では世界20ヵ国以上で展開されていますが、日本で知名度があるかといえば、まだまだな感じです。
この運動が始まったオーストラリアではmoustacheをスラングで「mo」と呼ぶので、November(11月)とかけた名称になっています。
Movember(公式サイト)
2012 Movember Growth Video / Australia(YouTube)
Official髭男dismとdandy(ダンディ)
英語には「dandy(ダンディ)」という言葉があります。
dandyism(ダンディズム)も言葉としてありますが「Official髭男dism」と「dandyism」はスペルもちょっと違うのでどういう関係なんでしょうか。「dism」と「dyism」でYが抜けています。
dandyは古臭い言葉で現代の英語では本来の意味では使われていません。
カタカナの「ダンディ」は男っぽい、男臭い感じがしますが、英語のdandyは服装・ファッションに気を使うおしゃれな感じで、どちらかといえば華やか、きらびやかなイメージです。現代の感覚でいえばより服装に気を使っている女性のような雰囲気が近いです。
dandyという単語が現代で使われるとすれば「great」の意味ですが、だいたい皮肉として使われるので「ああ、すごいね」みたいな感じです。
He gave me a dandy present.
彼は私にすごいプレゼントをくれた。
That’s a dandy excuse.
そいつはすごい言い訳だ。
言い方にもよりますが上段は本当にすごいの意味で、下段は皮肉だと思います。
dandyism(ダンディズム)はdandyとはこういったものだといった哲学、考え方です。
Dandyism was popular in 19th century London and Paris.
ダンディズムは19世紀のロンドンやパリで人気だった。