コロナの自粛で話題になったフレーズの「stay at home(ステイ・アット・ホーム)」と「stay home(ステイ・ホーム)」はどう違うのか? といった部分についてネイティブスピーカーに意見を聞いて整理してみました。
結論からいえば基本的には同じ意味なのでどちらを使っても問題ありません。しかしレアケースで意味に差がでるパターンもあります。
また「stay at home」のほうがややイギリスで好まれる表現、「stay home」はアメリカで好まれる表現といった差はあります。
この記事の目次!
「stay home」と「stay at home」は基本的には同じ意味
基本的には「stay at home(ステイ・アット・ホーム)」と「stay home(ステイ・ホーム)」は同じ意味だと考えても問題ないと思います。例えば以下のような文章はどちらで書いても同じ意味になります。ニュアンスとしても同じだといえます。
It was raining so I stayed home yesterday.
= It was raining so I stayed at home yesterday.
雨が降っていたので昨日は家にいた。
If there’s an earthquake, stay home.
= If there’s an earthquake, stay at home.
もし地震があったら、家にいなさい。
homeは名詞の「家」としても、副詞の「家で、家庭で」としても使えます。
副詞でのhomeの使い方は以下のようなものです。同様の扱いにはabroad(海外で)などがあります。
I’m home.
私は家にいる。
He works abroad.
彼は海外で働いている。
したがってhomeを名詞でとるか、副詞でとるかの違いはあるものの「stay at home」と「stay home」は多くのケースで置き換え可能です。
しかし、次に紹介するレアなケースでわずかに違いが出る可能性があります。
「stay home」と「stay at home」の違い
stayは2つの意味があります。
1つは「動かない」の意味です。したがってstay homeは「家から動かない、家にとどまる」といった意味になります。裏を返すと「外出しない」です。
stay at homeとあった場合には多くはstay homeと同じく「家から動かない、家にとどまる」と考えても問題ありません。多くの場合には同じ意味で使われています。
しかし、stayにはもう1つの意味の「滞在する、一時的に住む、泊まる、宿泊する」があります。
この「滞在する、泊まる」の意味で使われる場合には前置詞の「at」がかならず必要になります。「stay at hotel(ホテルに宿泊する)」のような組み合わせです。
非常にレアなパターンですが「stay at home」が「家から動かない、家にとどまる(外出しない)」ではなく、レアケースの「家に宿泊する、家に泊まる」の意味で使われているパターンもあるかもしれません。
A:Are you going to stay at your brother’s house after the concert tomorrow?
A:明日のコンサートのあとはお兄さんの家に泊まるつもり?
B:No, I’m going to stay at home.
B:いや、(兄の家ではなく)家に泊まるよ。
上の場合はコンサートのあとは、兄の家でもなくホテルでもなく、家に戻ってそこで眠るという意味になります。
A:Are you going to stay at your brother’s house when we see the concert tomorrow?
A:明日のコンサートを見るときにはお兄さんの家に泊まるつもり?
B:No, I’m going to stay home.
B:いや、家にいるよ。
この場合は家でじっとしている、外出しない、つまりコンサートに行くつもりはないという意味になります。
非常にレアなケースですが「stay at home(家に宿泊する、家に泊まる)」と明確に言わないといけないケースもあります。しかし無視してもよさそうなぐらいレアなケースではあります。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
ネットではアメリカ英語とイギリス英語の違いといった差が指摘されていますが、基本的にはどちらも広く使われている表現ではあります。
しかし、1800年ぐらいから現代までの書籍に登場する「stay home」と「stay at home」の回数を調べると、確かに違いがみられます。
以下はアメリカでの「stay home(青色)」と「stay at home(赤色)」の比較で、1970年代を境にして「stay home」の登場回数が逆転しています。
一方でイギリスでの使われ方は「stay at home(赤色)」がずっと使われていますが1970年代から「stay home(青色)」も使われ始めています。
したがって「stay at home」がイギリス英語によった表現だというのは指摘としては正しいです。また「stay home」は1900年代に入ってから広がった表現です。
これは予想ですが「home」の副詞での使い方がおそらく近代になってから使われだした用法で、伝統に忠実なイギリス英語では敬遠される傾向があったり、崩すアメリカ英語では好まれて使われたりといった経緯があるんじゃないでしょうか。
参考:stay at home か stay home か(hellog~英語史ブログ)
エリザベス女王が国民に呼びかけた動画『‘We will meet again’ – The Queen’s Coronavirus broadcast(YouTube)』が公開されていますが、この動画ではエリザベス女王は1:07でstay at homeを使っています。これもstay homeでいっても特に問題ないので、意味としては同じです。
I also want to thank those of you who are staying at home.
= I also want to thank those of you who are staying home.
また私は自宅で待機しているみなさんに感謝を言いたい。
stay-at-home
複合形容詞で「在宅の」を意味し、普通は子育てをしている状況に使われますが、仕事や楽しみのための場合もありえます。この形容詞のstay-at-homeの場合には「stay-home」ではなく、常に「stay-at-home」となります。
His wife makes more money so he became a stay-at-home dad.
彼の妻がより多くのお金を稼ぐので、彼は在宅(専業主夫)の父親になった。
She considered many stay-at-home jobs like translator or freelance designer.
彼女は翻訳家やフリーランスのデザイナーのような多くの在宅の仕事について考えていた。
× She considered many stay-home jobs like translator or freelance designer.
× His wife makes more money so he became a stay-home dad.
(間違いです)