映画やアニメなどでおなじみの中指を突き立てるポーズは「the middle finger」「the finger」または「the bird」と呼ばれ、アメリカを中心とした欧米では相手への最大級の、極めて侮辱的、攻撃的なサインとして知られています。もともとは男性器を現した形に由来するものだと言われています。
英語での名前
動詞では「give」「flip」「flip off」で「中指を立てる」として以下のように表現されます。目的になる相手を伴う場合は位置に気をつけてください。
I give the finger.
I flip the bird.
I flipped him off.
I flipped him the bird
訳は同じで「中指を立てた」「彼に中指を立てた」ぐらいです。give the fingerで動詞で中指を立てる挑発的な行為をすることを意味します。
She gave me the finger and told me to leave.
彼女は中指を立てて、出ていくように言った。
Someone cut me off on the highway so I gave him the finger.
誰かが高速道路で割って入ってきたので、中指を立てた。
二本の腕でやるのは数字の11に見立てて「finger eleven(フィンガーイレブン)」と呼ぶこともあるそうですが、これはどこまで一般的な名称かわからないので雑学程度の知識です。
日本人との感覚の違い
洋の東西を問わず映画、ドラマ、アニメ漫画でも見かける動作です。
日本人がやる場合は「外国人をマネたジェスチャー」といった冗談ですが、欧米の文化圏で意味を知っている人に向けてやるのは最大の侮辱、喧嘩を売る行為になります。
どこの国ではという範囲は明確ではありませんが、おそらくアメリカを中心とした文化圏という意見でした。同じ英語圏でもこのサインに対する意識・とらえ方は微妙に異なります。
例えばカナダではアメリカと同じぐらいに攻撃的になるけれど、イギリスでは攻撃的ではあるものの、アメリカ人が感じるほどではないといった意見もありました。
オーストラリア人のカールに聞いても攻撃的なサインではあるのは間違いないけど「アメリカを中心としたカルチャー」という点には同意していました。
アメリカの映画が世界中に広まっているので総じて攻撃的な意思表示のサインであるとみなされますが、わずかながらに差が見られます。
このサインに対する意識の違いは本当に文化の差で、おそらく「日本人が考える以上にこのサインに特別な意識がある」と考えてよいのではないでしょうか。
その意識の差を文章で説明するのは難しいのですが、気になったエピソードをご紹介します。
カナダ人のスティーブに中指を立てる動作の意味の確認も兼ねて、まさにこの記事のために話していた時です。
例え話や説明でも中指を立てない
スティーブと意味を確認していた時の会話です。自然に「こういう風に中指を立てる動作を外国人はよくやるよね」や「こういう感じで中指を立てて天井に~」といった会話になって、実際に私は中指を立てて見せたりします。自然な会話内のジェスチャーです。手の動きで表すサインがテーマの話題なんで、実際に作って形とかを確認します。
この場合でもスティーブは、中指を立てるジャスチャーをやりたがらないし、説明上、必要だと思って作る時でもためらいが見える、作ったとしてもすぐに崩すといった感じです。
一緒に仕事しているし、昨日今日に会った仲でもなく、説明する上で必要な行為なのに、ナチュラルに動作を嫌がっている、避けているのが彼の動作や態度を見ているとわかるんですよね。
日本人が鼻をかく動作
日本人がたまにやる、鼻の頭がムズムズして中指1本で掻く動作があります。自然とそうなってしまう時があります。
スティーブが言うには、それを見るとここは日本で相手に敵意がないのは充分にわかっているんだけど、いまだに少しドキっとすると言っていました。
他にも顔のパーツ、目頭や頬っぺたが痒くてかくとき、自然と中指になってしまうケースがありますが、中指でほっぺたをクイクイっと掻くと非常に挑発的に見えます。
またテーブルの上に広げた資料を指さすときには、普通に人差し指を使いますが、これを中指でやる人がたまにいますが、こういうのも少しぎょっとする瞬間があるそうです。
軽々しくやるものではない
この動作に対する意識の差は染み付いているレベルであって、なかなか日本人には理解することが難しいかもしれません。単なるサイン、ジェスチャーのレベルは越えているように思います。
アメリカの映画やプロレスラーなどもやっているので軽々しく感じますが、実際のところはかなりシリアスな行為です。冗談でやったら相手に殺されても不思議でないぐらいの侮辱だという意見です。
これに比べると親指を逆さにするブーイングのポーズ(thumbs down)は、ネガティブな意志表示ではあるけど、比較にならないぐらい問題ない行為だといっています。
日本でも立小便をさせないように鳥居のマークを描いてあるケースを見かけますが、あそこに立小便をするのが憚れるのは日本人の深層の意識が強いです。鳥居と中指を立てるのは種類としては違いますが、各国の歴史・伝統が作り上げた深い部分での意識の差であり、外国人が知識として学ぶことはできても、自然な感覚として感じとるのが難しい領域の1つかもしれません。
イギリスでは裏返しのピースサインも相手に侮辱的になるのでイギリス行かれる方は覚えておいて損はないかもしれません。最近はアメリカ式の中指を立てるやり方に地位を奪われている感じもありますが、伝統的に相手の手の甲を向けるピースサインが侮辱のジェスチャーになっています。
あわせてセットで語られることも多い「fuck」という単語についての考え方、捉え方は以下の記事にまとめています。
偶然の一致
海外で話題になっていたのは日本の手話で(sign language)「兄」「弟」「兄弟」を意味する動作が、たまたま同じだったことです。
この動画への面白いコメントがありました
“I use that sign at a lot of people who act like my brother.”
「このサインはうちの兄弟みたいな態度をとってくる、いろんなヤツに使ってるよ」