英語の辞書で調べてみてもhygieneとsanitationは「衛生」の類義語であり、基本的には同じ意味で両方をいったりきたりして堂々巡りになります。
辞書の定義とは別にネイティブスピーカーに感覚的な使い分け、cleanとの違いも含めて確認してみました。
それぞれ形容詞がありhygienicとsanitaryがあります。カタカナだとまだsanitary(サニタリー)だけやや飲食店の専門用語ながら日常でも耳にする機会があります。
hygieneとsanitationの違い
この2つの違いについてネイティブスピーカーの意見を聞いてみると感覚的にはhygieneは個人の身体などについての衛生に使われるのに対して、sanitationはより「公衆衛生」の用語として使われ社会のインフラとしての水やトイレの問題について用いられる傾向があります。
明確に使い分けがされるケースとしては、ごみ収集などを行う人をsanitation worker(清掃作業員)とは呼ぶけれど、hygiene workerとは呼びません。
He is a sanitation worker.
彼は清掃作業員だ。
He is a hygiene worker.
(この言い方はしない)
また市役所などの課で存在するのは「Department of Sanitation(衛生課)」です。Department of Hygieneも言葉としては存在していますが、大学や病院などの衛生学科などを指す言葉になっているので意味合いが異なります。
他にも歯科衛生士は「dental hygienist」と呼ばれますが、これも決まった形の言葉です。
こういった明確に使い分けがされている言葉もありますが、一般的にはhygieneが個人の衛生、sanitationが公衆衛生に対して用いられる傾向があるといったぐらいで、言葉の定義としては非常に共通する要素が多いです。
hygieneの意味と使い方
hygiene(ハイジーン)は「衛生」を意味し、発音は【háidʒiːn】です。
hygieneはcleanであることとほぼ同じですが、cleanが様々な対象に使えるのに対してhygieneは身体や生活習慣よりの意味合いがあります。
英語のウィキペディアでは「病気の蔓延を防ぎ健康を維持するための習慣」とまで明言されています。
He has good hygiene.
彼は良い衛生習慣を持っている。
Brushing your teeth is good hygiene.
歯を磨くことはよい衛生習慣だ。
Not washing you hands is bad hygiene.
手を洗わないことは悪い衛生習慣だ。
例えば車に泥をひっかけられたらシャツが汚れますが「生活習慣としての衛生、清潔さがない」というのとは別の話です。
その視点から言うと「bad hygiene」ではありません。hygieneはあくまでも生活習慣などを描写する時に使い、一時的な汚れ/綺麗はdirty/cleanを使います。
以下は実際のニュースで日本人はoral hygiene(口腔衛生)つまり口の清潔さ、衛生に気をつかうべきだというニュースがありました。
72% also answered that they thought Japanese should be more meticulous about oral hygiene.
また72%は日本人は口の衛生にもっと気を配るべきだと思うと答えた。
hygienic(形容詞)の意味
形容詞では「衛生的な、健康によい」です。発音は【hàidʒiénik】です。
Many workers are needed to keep hospitals hygienic.
病院を衛生的にしておくために多くの従業員が必要だ。
Many people died during childbirth a long time ago, because the conditions were not hygienic enough.
ずっと以前にはたくさんの人々が出産中に亡くなった、なぜなら環境が十分に衛生的ではなかったからだ。
sanitationの意味と使い方
sanitation(サニテーション)は個人の衛生より「公衆衛生・公共の衛生」に対して使われる言葉で、きれいな水やトイレなどインフラになっているようなことに関して用いられる傾向があります。
これは途上国などの衛生問題などについてのニュースでよく見かけます。
He works in the sanitation department at City Hall.
彼は市役所の公衆衛生局で働いている。
Our charity is working on improving sanitation in developing countries.
私たちのチャリティーは発展途上国での公衆衛生の改善に取り組んでいる。
sanitary(サニタリー)の意味
形容詞はsanitary(サニタリー)でカタカナではこちらのほうがまだ耳にする感じがします。「衛生的な、衛生の」といった意味です。
This experiment was done under sanitary conditions.
この実験は衛生的な状況で行われた。
cleanとの違いでいえば、わかりやすく考えるとcleanは「nice(快い、良い)」の意味で綺麗で清潔だという言葉です。一方のsanitaryは衛生的で「safe(安全)」なことに寄った表現です。どちらも清潔感があることに変わりはありませんが、感覚的な基準が違います。
途上国には衛生的なトイレがないことが問題になっていますが、必要なのは「sanitaryなトイレ」です。これは掃除が行き届いた「cleanなトイレ」が必要になっているのとは意味合いが異なります。
以下の例文2つは、状況としては似たようなトイレだと思いますがベースとなる表現の感覚が異なっています。
They have sanitary public restrooms.
彼らは衛生的な公衆トイレを持っている。
They have clean public restrooms.
彼らは綺麗な公衆トイレをもっている。