up toは会話表現でもよく登場する言葉で「~次第だ」と「最大で〇〇だ」といった意味で使われることが多いです。
また挨拶などにも登場する表現や、何かよからぬことを考えている時などにも使えるなど、幅広い使い方があります。
ネイティブスピーカーに作成してもらった例文をまじえて使い方をご紹介していきます。
It’s up to you(あなた次第だ)
何かの決断、決定が誰かにゆだねられていることを意味します。
特に「It’s up to you.(あなた次第だよ)」はさまざまな場面で見かけることができます。
A: What do you want to eat tonight?
B: I don’t know. It’s up to you.
A: 今夜、何が食べたい?
B: わかんない。あなた次第だよ。
もちろんyouの部分を他の人に変えれば、その人次第だといった意味になります。
It’s up to my mother whether I can go to the concert or not.
コンサートに行けるかどうかは、うちの母親次第だよ。
知らないこと、たくらみ
何かよくわからないこと、話し手の知らないことをやる、という意味にもなります。
What is your brother up to these days?
最近、弟はなにしてんの?
I wonder what she’s up to now.
彼女は今、何をしているのか疑問に思う。
基本的に「知らないこと」全般に使えますが、up toはよく「何か悪いことを考えている」「たくらんでいる」としても使われます。
She’s up to no good.
彼女は何かよからぬことをやっている。
Whatever you’re up to, you better stop it before the boss comes back.
お前がやろうとしてることはなんであっても、ボスが戻ってくる前にやめたほうがいい。
What are you up to?
何をしてるの?
最後の例文は子供が何か疑わしいことをやっているときなどによく登場します。
挨拶で使う
up toは挨拶でもよく見かける表現で「最近、どうよ?」みたいな意味になります。
What are you up to today?
Have you been up to much?
最近、どうよ?
少しニュアンスに差がでる以下の表現を比べてみます。
What have you been up to?
What have you been doing?
いっている内容は似ています。
up toを使った上の例文は今まで何があった? といった前回の会ったときから、今までの流れの中で何があったか聞いています。前回会ったのが10年前なら10年の間のことです。
下はアクション、行動を聞いているので「最近、何かあった?」みたいな質問です。下の方がより短いスパンになります。
文章の違いを比較
比較用に以下の文章を掲載しておきます。先生と生徒の会話と思ってください。
A: Which one are you up to?
B: Number 5.
A: どこまでやった?
B: 5番までやった。
A: Which one are you doing?
B: Number 5.
A: どこをやってるの?
B: 5番をやってる。
up toで聞いているので、最初の例文は1~4もやったことになります。しかし、下側の例文は1~4については不明です。
up to my [身体の部分] in
「~で溢れている、いっぱいいっぱいだ」を表す時に使われる表現で、身体のパーツを入れ込みます。
I can’t go out this week. I’m up to my knees in homework.
今週は外に出れない。宿題がヒザまで溜まってるんだ。
Don’t bother Tom. He’s up to his elbows in problems.
トムを邪魔しないで。彼はヒジの高さまで問題を抱えてるの。
After winning the lottery my mom is up to her eyeballs in money.
宝くじに当たった後は、うちの母親は目までお金のことで溢れている。
好きな身体のパーツを入れることが可能ですが、何点か注意すべき点があり、1つはどれも比喩表現なので実際にそこまで達しているわけではありません。
さらに身体の部分を入れ込みますが、基本的にはどれも同じぐらい「いっぱいに溢れている」の意味になります。
例えばkneeはひざ、elbowはひじですが、2つを比べてひざが低い位置にあるから大丈夫だというわけではなく、どれも同じぐらいに溢れており、話としてはどれも切羽詰まった状態です。
例文のように目・眼球あたりまで使えるそうですが、これは話し手の選択なので自由に選ぶことができます。
そこまで度合いを表しているわけではなく、いっぱいいっぱいだという事実を伝える表現です。
up to 数字(最大で)
これも「~まで」の延長にある考え方で数字を後ろにともない「最大で~まで」などショッピングなどでよく見かけます。
You can get up to 90% off.
あなたは最大で9割引まで手に入れられる。
We can win up to $10,000 in this lottery.
この宝くじでは最大で1万ドル当たる。
ニュースではトナカイの速度を表現するのに登場しました。run up toという熟語ではなく、単にrun(走る)とup to(~まで、最大で~まで)の組み合わせです。
Reindeer have a high tolerance for cold and can run up to 80 kilometers per hour.
トナカイは寒さに強く、最高時速80kmで走ることができる。
maximum(マキシマム)という単語もありますがあまり一般的でなくなります。
You can buy clothes for up to 70 percent off during this sale.
=You can buy clothes for a maximum of 70 percent off during this sale.
セール期間中は服を最大で70%オフで買うことができる。
maximumを使ったらダメだというわけではありませんが、使わないといけない理由もなく、up toを使った表現のほうがより一般的でよく見かけます。
数字以外に使う
金額や数字以外にも使えないことはないそうですが、別の意味に誤解されることもあります。
数字以外に使うと「~まで」の意味が強くなって日本語で「最大で」の意味が薄れていきます。以下の例文を参考にしてください。
I read the book up to the part when his brother died.
私はその本の兄が死ぬパートまで読んだ。
I only watched the movie up to the fight scene.
その映画の格闘シーンまで観たよ。
上のような例文の場合は「最大で」と考えてもいいのですが単純に「~まで」といった意味になります。
また他の動詞との組み合わせによっては混乱を招きます。
I walked up to the painting.
上のような例文の場合は「その絵まで歩いた」といった意味の「walk up(歩み寄る)」などの言葉もあるため単純に「その絵まで歩いた」としか読まれない可能性があります。
特に北米の英語はupが「eat up」「meet up」のようにやたらつくので自分の伝えたい意図で伝わらない可能性があります。
もう少し例文を書いておきます。
①This ticket will take you up to Canada.
②This ticket can take you as far as Canada.
「このチケットは最大でカナダまで行ける(選択によっては途中のハワイやアメリカ本土にも行ける)」の意味を伝えるときに①を使うと、この意味で伝わらない可能性があります。
単に「カナダまで行ける」といった意味でも読めるし、文章として少し曖昧な部分が残ります。それを意味するなら②を使ったほうが誤解が少なく伝わりやすいだろうという意見です。