slingは動詞で使うと肩にカバンなどをぶら下げるような動作を指します。しっかり固定されているわけではなく「吊り下げる」といった意味になります。
名詞では赤ちゃんを抱く布や、骨折した時に腕をつるす日本の三角巾にあたるような医療道具を指したりします。他に日常で使われるslingを取り上げてみました。
発音は【slíŋ】で過去形・過去分詞ともにslung【slʌ́ŋ】とするのが一般的です。ただし、「俗語」の意味があるスラングはslang【slǽŋ】なので字が違います。
sling【slíŋ】つるす
slung【slʌ́ŋ】slingの過去形・過去分詞
slang【slǽŋ】俗語・スラング
slingの動詞での意味
slingは動詞で使うとカバンなどを肩や椅子などにひっかけるような動作、つるすといった意味でよく使われます。
リュックサックのようにがっちり背負うのではなく、肩に軽くかけるような行為です。
He slung the bag over his shoulder and left.
彼はバッグを肩にかけて、立ち去った。
The bag was slung on a chair.
バッグが椅子にかけられていた。
sling bag(スリングバッグ)
はっきりした定義は不明な部分もありますが、日本でいう「ボディバッグ」に近い、1本の紐を肩からかけるようなバッグを「sling bag」と呼んだりするそうです。
比較的、新しい商品なので名称が定まっていない感じや、定義が曖昧な部分もありますが、英語圏では「sling backpack」や「sling bag」といった名称が見られます。
これも意味合いとしてはslingするように背負うことができるバッグの総称ぐらいの扱いです。
sling(医療)
もう1つ、名詞では腕を骨折などした時に腕をつるすひものようなものを指します。日本では三角巾がよく使われますが、構造的には同じです。
ギプス(英:cast)ではなく、ギプスを支えるための道具です。
He injured his elbow and had to put his arm in a sling.
彼は肘を怪我して、腕をスリングに置かなければならなかった。
通常、骨折などをした場合の医療用を指すことが多いですが、赤ちゃんを支えるお母さん用の抱っこ紐のようなものを指して使われるケースもあります。
She is carrying her baby in a sling.
彼女は赤ちゃんを抱っこ紐に入れて運んでいます。
このあたり日本語でも赤ちゃん用のひも、布を「スリング」と呼んだりもします。
投石具(スリング)
もう1つの意味は、いわゆる石を飛ばす道具、「投石具」を指します。大昔の石・岩にひもをつけて遠心力を使って遠くまで飛ばす戦闘の道具がsling(スリング)です。
これはミケランジェロのダビデ像が有名で、よく見るとダビデは左手にslingを持っています。後ろから見るとわかりますが背中にはひもが走っており、右手で石を握っています。
ダビデが巨人ゴリアテとの戦いに臨み、岩石を投げつけようと狙いを定めている場面を表現しています。
slingshot
私たちにまだなじみのある、ゴムで挟んで飛ばすパチンコはslingshotと呼ばれます。子供用の遊び道具ですが、本気でやるとけっこう危険な道具です。
He broke the window with a slingshot.
彼はパチンコで窓を割った。
Singapore Sling(シンガポールスリング)
スリングと聞いて有名なカクテルである「シンガポールスリング」を思い浮かべる人も多いかもしれません。
ジンとチェリーブランデーを使った、ラッフルズホテルのオリジナルレシピが有名です。世界中でバリエーションも含めて飲まれています。
ただ、調べた限りでは動詞のslingとはあまり関係がなさそうです。日本語版のウィキペディアにはドイツ語のSchlingen(飲み込む)が由来だとする説が書かれていますが英語版にはこの話はありません。
もともと北米でジンやテキーラなどのスピリッツを、ソーダや水で割ったものをsling(スリング)と呼んだそうです。ジンなら「ジン・スリング」となり、そのバリエーションでシンガポールで生まれたスリングなのでシンガポールスリングとする説があります。
このあたりの説や由来ははっきりしませんが、つるすといった動作と直接のつながりはなさそうです。