skill(スキル)とability(アビリティ)はどちらも「技能、能力」と訳される言葉ですが、細かい違いがあるので取り上げてみます。
以下はネイティブに意見を聞きながらskill(スキル)とability(アビリティ)の違いをまとめたものです。中には置き換えても成立する文章もあります。
skill(スキル)とability(アビリティ)の違い
skill(スキル)はその人が何かをするための知識や才能のことで「技術、技能」といった訳がよくあてられます。
一方でability(アビリティ)は人が何かをできる状態のことを表します。以下のように入れ替えたとしてもどちらでも成立するものもあります。
○ The program aims to improve people’s digital skills.
○ The program aims to improve people’s digital abilities.
そのプログラムは人々のデジタル技術の改善を狙っています。
しかし、明らかにskill(スキル)とability(アビリティ)では違いが出てくるものもあります。
下の例文は「彼は目が見えなくなった」ということが伝わるのでOKです。
After the accident he lost the ability to see.
事故の後、彼は見る能力を失った。
「見ること」には特別な知識は必要ないので、skillを使うのは変です。
▲ After the accident he lost the skill to see.
(とても変です)
「訓練が必要なもの」と「生まれつきのもの」
skillは、習得するのに練習や教育が必要なものを指すことも多く、またabilityはたいてい初めから自然に持ち合わせているものを指します。
しかし、abilityもskillと同じように練習や教育によって身につけられたものを表すこともできます。
以下の例文はそれぞれ、「彼女はとても速く数える方法を習得した」、「彼女は元々とても速く数えられる」と取ることができます。
One of her skills is counting very fast.
One of her abilities is counting very fast.
彼女の技能・能力の一つは、とても速く数えることだ。
しかし、次の例文のような、何かを習得できる能力が備わっていないものが主語のものにskillを使うのは不自然です。
マシン・機械がもっているのはスキルではなく、アビリティーになります。
△ One of the machine’s skills is counting very fast.
○ One of the machine’s abilities is counting very fast.
その機械の能力の一つは、とても速く数えることだ。
これから技術を習得する、というニュアンスの文に関しては、skillを使う方がベターです。
◎ The program aims to improve people’s digital skills.
○ The program aims to improve people’s digital abilities.
そのプログラムは人々のデジタル技術の改善を狙っています。