国歌斉唱中に胸に手を当てるのはアメリカの習慣

国歌斉唱
 

公開日: 最終更新日:2022.03.9

よく国歌斉唱の際に胸に手を当てている光景(Put your hand over your heart.)を見かけますが、これはアメリカの習慣とされています。

サッカーの国歌斉唱などで見かけますが、基本的にはカナダやイギリスではそのような習慣がありません。 今回はこの胸・心臓の上に手を置く動作を取り上げてみます。

国歌斉唱中のアメリカのマナー

胸に手を置く アメリカの公式な行事で読まれる『Pledge of Allegiance(忠誠の誓い)』とよばれる宣誓文を読むときには、この動作をするようにアメリカの国旗を扱う法律の中で明言されています。

したがってこの右手を心臓の上に置く動作は非常に「アメリカっぽい動作」として認知されています。イギリスやオーストラリアなどには習慣・ルールとしては存在していません。

アプリ内のニュースではこの動作をアメリカ大統領であるドナルド・トランプ本人が忘れてしまっていて、メラニア夫人に腕で小突いて気づかされる場面を取り上げました。

When the national anthem began to play, Slovenia-born Melania and 11-year-old Barron both put their hands over their hearts.
国歌の演奏がはじまったとき、スロべニア出身のメラニア夫人と11歳のバロン君は、ともに胸に手をあてた。

Melania had to remind the President of the United States to do it too by nudging him with her arm.
メラニア夫人はアメリカ合衆国大統領にそれをすることを、彼女の腕で彼をこづいて思い出させないといけなかったのだ。

他の国の人がまったくやらないわけではありませんが、ネットを調べてみると日本人が国歌の最中に胸に手を当てるのはおかしいといった意見も見られました。

国歌斉唱中の膝をついての抗議

一般的にアメリカにおいて国歌斉唱中に期待されるマナーとしては以下の3点ぐらいがあります。

・起立する(standing)
・帽子を脱ぐ(removing one’s hat)
・胸に手を置く(putting a hand over their heart)

国歌の最中において、最低限のマナーとされるのが「起立する」ことです。他の2つに関しては、大統領のような正式な場に出席する公人は別としても、わりと柔軟に考えられているそうです。

2016年にNFL(アメフト)の選手である、コリン・キャパニックが国歌斉唱中に膝をついて国に対して抗議を示す行為をしました。これは黒人差別問題(Black Lives Matter)に関連しての話で、黒人差別を引き起こしているアメリカは尊敬できない、といった態度の表明でした。

これはNFLの選手、ファンの間でも意見が割れている行為で、ひざまづく行為に対して全員が賛成しているわけではありません。 国歌や国に対して敬意を払う気持ちを持つ選手もいて、そういう選手は立ったままです。

しかし、チームメイトがひざまづく行為をしても、それは尊重して行為そのものを否定しているわけではありません。自分の信条と相容れないだけです。 そこでひざまづく選手と立った選手が腕を組むことで、チームメイトへの尊敬と自分の信念の両方を立てているといった動作を行っています。

ただトランプ大統領が「国歌斉唱中に立たないサノバビッチをゲームから排除しろ」といったことで、この運動が反トランプとして逆に広がっていった側面があります。メジャーリーグやスティービー・ワンダーのコンサートでも、この国歌斉唱中に膝をつく行為が見られました。

national anthem(国歌)

anthemは何かの集団、グループを象徴する歌のことで通常、文脈なしでいえば「国歌」を指します。文脈をはっきりさせたい場合は「national anthem(国歌)」と表記することもできます。

The Canadian anthem is very simple.
カナダ国歌はとてもシンプルだ。

Some newer countries hire famous songwriters to make their anthems.
いくつかの新しい国は有名なソングライターを国歌を作るために雇う。

The Olympic Anthem is written in Greek.
オリンピック賛歌はギリシャで作られている。

他にも社歌を「corporate anthem」と呼んだりします。もうさすがに歌われていないと思いますがIBMの社歌など歴史があります。 多少、演奏と歌がぐだってる感じと妙なテンションの高さもありますが実際に聞くことができます。

「Ever Onward」は「限りなき前進」という意味です。歌詞は、「限りなき前進の精神が我々を飛躍させてきた。もっとさらに前進していこう。」といった感じの内容です。 IBM創業者であり、人工知能ワトソンの名前の由来になったT.J.Watsonの名前も出てきます。

sports anthems

普通のポップソングの中でも「大作」を意味するものとしてanthemが用いられます。厳密に定義はありませんが大作、スケールの大きな作品、長い作品を指すようです。

例えるならばQueenの『Bohemian Rhapsody』『We Are The Champions』のようなものが浮かびますが、人によっては違うというかもしれません。

その中でもスポーツイベントなどで頻繁に用いられる重厚な作りの曲は「sports anthems」と呼ばれたりします。 具体的に曲名をあげるとQueen 『We Will Rock You』、ゲイリー・グリッター『The Hey Song』、オジー・オズボーン『CrazyTrain』、ザ・ホワイト・ストライプス『Seven Nation Army』あたりがsports anthemsにあたるそうですが、人によっては違うというかもしれません。



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