1セントを表す「ペニー」という呼び方はアメリカ英語とイギリス英語では使用法が少し異なります。ちょっとややこしいので、それぞれアメリカ、イギリスでのペニーまたはその複数形のペンス、ペニーズの使い方について整理してみました。
アメリカの硬貨:penny(ペニー)
アメリカで「penny(ペニー)」は1セント硬貨のことです。なぜペニーと呼ぶのかの由来については明確ではありませんが、他のヨーロッパ言語では、オランダ語の「penning」、ドイツ語の「pfenning」といった同様の単語があります。
アメリカ英語で硬貨の枚数を数える際に、複数枚のペニーを表す言葉は、 アメリカ英語では複数形は「ペニーズ(pennies)」のみです。
米:I have three pennies in my pocket.
私のポケットの中にペニーが3枚入っている。
アメリカでの「penny」は物体としての硬貨そのもののニックネームでしかなく、お金の単位は「セント」となります。
米:That candy costs 80 cents.
あのキャンディは80セントかかる。
△ That candy costs 80 pennies.
(80枚の1セント硬貨がかかる(?))
上の例文のように「80 pennies」は80枚の1セント硬貨であり、イコールで80セントと同等なのでいちおう間違いではありません。ジョークとしてこのような言い方はあるかもしれませんが、普通は言わない感じの表現です。
イギリスのpenny(ペニー)
イギリス英語だと「penny」は「お金の単位」と「物体としての硬貨そのもの」の両方の意味で使えます。コインに対して「ペンス(pence)」と呼んでも問題ありません。
米:I have three pennies in my pocket.
英: I have three pennies in my pocket.
英: I have three pence in my pocket.
私のポケットの中にペニーが3枚入っている。
ただ通貨の単位として使った場合の複数形は「ペンス」のみとなるため、「ペニーズ」とするのは変です。
英:That candy costs 80 pence.
△ That candy costs 80 pennies.
あのキャンディは80ペンスかかる。
「ペニーレーン」通り
それほど関係ありませんが、イギリスのリバプールにある「ペニーレーン」と呼ばれる通りは、あまり目立った特徴のない通りですが、1967年にビートルズが同名の曲を発売してヒットさせたことで有名になりました。
The Beatles – Penny Lane(YouTube)
ポール・マッカートニーの幼少期の日常を描いた曲であり、歌詞にも髪の毛を切った人の写真を並べている床屋さんがペニーレーンにはあるといった日常が描写されています。
このペニーレーンという名称が奴隷貿易の商人で、奴隷貿易推進派だったジェームズ・ペニーに由来するのではないかと批判を受けて、リバプール市のジョー・アンダーソン市長に対して名称の変更を求める騒動になっています。この場合は人名になります。
ジェームズ・ペニーは1799年に亡くなっており、アメリカの初代大統領のジョージ・ワシントンと同時代の人物です。日本だと徳川10代将軍の前後で、東洲斎写楽などが登場した時期です。
ただし、この通りの由来になっているかどうかは不明であり、今後さらなる調査が行われるそうです。しかしブラックライブマター運動に関連して「ペニーレーン」の通りの看板が塗りつぶされる事件が起こっています。
ビートルズの曲がヒットした時もファンによる落書きがあったそうなので、なんの変哲もない通りですが、何かと世界的に話題になる場所ですね。