日本でいう「団塊の世代」「新人類」「ゆとり世代」などと同じような、アメリカを中心としたある年代からある年代に生まれた人を指す世代の区分けがあります。
代表的な区分けは以下の通りです。だいたいこのあたりとされているだけで、そこまで厳格ではなく、世代の傾向を表す際に使われます。
これらの単語はアメリカのニュース報道などでも見かけることができます。
この記事の目次!
baby boomers
第二次世界大戦が終わった後に世界的なベビーブームがありましたが、この頃に生まれた世代を指します。生まれ年は1946年~1960年代中盤ぐらいです。
日本では「団塊の世代(1947年~1949年生まれ)」がかぶっており、日本の団塊の世代も「第一次ベビーブーム」と呼ばれています。
この世代が生んだ子供が「エコーブーマー (echo boomers) 」と呼ばれます。
generation X
ジェネレーションXとは1975年のベトナム戦争あたりまでに生まれた70年代を中心とした世代です。1960年代後半~1970年代後半ぐらいの範囲です。
幼いころにキューバ危機やベトナム戦争とかぶり、成人したころにはソ連の崩壊などを目にしています。
やや世界的にしらけムードがあり日本では「新人類」「しらけ世代」に相当する年代です。
これらの用語がアメリカ限定ではなくある程度、世界的に共有されている感じがあります。もちろん各国の事情は個別にあると思います。この「ジェネレーションX」という名称を考案したのはカナダ人作家のダグラス・クープランド(Douglas Coupland)で著作『Generation X: Tales for an Accelerated Culture』が世界的にヒットしています。
millennials / generation Y
1980年代~1990年代を指して使われる世代です。
generation Xの次にあたるので「generation Y」といった別名もあります。またbaby boomers世代の子供であることから「エコーブーマー (echo boomers) 」とも呼ばれます。
これらの別名とmillennialsがどこまで年代・概念を一致共有しているかは曖昧です。
millennialsは10代の頃にネットやデジタル機器を触って育った世代を表します。成人する頃に911のテロ事件を経験しています。日本ではゆとり世代(1987年~00年代半ば)が世代的にはかぶっています。
アメリカでは毎年11月25日から「ブラックフライデー」と呼ばれる小売店舗のバーゲンが始まります。かつては小売店舗に行列ができましたが近年はちょっと勢いが落ちており、原因はこのミレニアル世代がネットで買い物をするため小売店舗に行かなくなりつつあることだそうです。
以下はその代わりに「サイバーマンデー」と呼ばれるネットのバーゲンセールが盛り上がっている様子を伝えたニュースからです。
While this year long line-ups could still be found, many millennials are staying home and instead doing their shopping online, in what has become Cyber Monday.
今年も買い物客の長い列が見られた一方で、多くのミレニアル世代は家にいたままで、ネットで買い物をしている。これはサイバーマンデーと呼ばれる。
OK boomer(オッケーブーマー)とは?
2019年の秋から冬にネットを中心に流行ってるのが「OK boomer」というフレーズです。
言葉を日本語にすると「わかったよ、ベビーブーム世代(のおじさん、おばさん)」「もうわかったよ、上の世代の人」みたいな区切りになります。
20代半ばの世代(millennials)から60代の世代(baby boomers)に向けた生返事だといえます。以下のような会話と言葉の構造は同じです。
Father:”You have to study hard to get into a good school…”
父「必死に勉強して、いい学校に入らないと…」
Teenager:”OK dad. Can I leave now?”
10代「わかったよ、おやじ。出て行っていいかな?」
この「おやじ」の部分を「ベビーブーム世代のおじさん、おばさん」に置き換えた、やる気のない返事です。
環境問題に端を発した問題ですが、さまざまな分野に広がってジェネレーションギャップを象徴する言葉として使われつつあります。
アメリカではベビーブーマーの親たちにあたる「Greatest Generation」と呼ばれる第二次世界大戦に参加したような世代があります。この世代は戦争で大きな犠牲を払ったので、一般論として広く尊敬されている世代です。やがて戦争が終わりベビーブームが来ます。
ベビーブーマーたちは単に「Greatest Generation」からの遺産を受け継いだだけであり、現在において表面化している環境問題・社会問題はベビーブーマーたちが対処しなかったことが引き起こした問題だと、ミレニアル世代目線では認識される傾向があります。
現役で社会に出て社会を支えるミレニアル世代は、ベビーブーマー達からいろいろと「最近の若いやつは…」といった小言・批判を言われますが、ミレニアル世代に言わせると「お前らは何もやってこなかったからだろ」といった意見になりがちです。そこで登場したのが今回のOK boomerです。
OK boomerが使われた例
ネットで広まりつつ、実際にニュージランドの議会で使われてニュースになっていました。以下は実際に「OK boomer」と国会で言っている場面です。
演説しているのは25歳の若手のクロエ・スワブリック議員です。うしろのおじさんがいい味を出してますが、演説しているクロエ議員が所属する政党の代表だそうです。
25-year-old New Zealand lawmaker Chlöe Swarbrick was giving a speech supporting a climate crisis bill when she was heckled by an older member of Parliament. She simply said, "OK boomer," and kept talking, unfazed. https://t.co/LKgoViy9WB pic.twitter.com/RYzRAaXPAJ
— CNN (@CNN) November 6, 2019
環境問題など顕著ですが、ミレニアル世代が物心ついて社会人になった時には、今の状況ができあがっていたはずであって、60歳以上の人が「最近の若いやつらは~俺たちの時代には~」と批判してもお門違いだという意見です。
むしろ、この過去20~30年で社会で意思決定権があったのは、今の60代以上の人々であって、その人たちは何をしてきたのかといった不満が出てきます。
ここから先を生きていく時間はミレニアル世代のほうが圧倒的に長い事実もあります。それなのに演説中に上の世代からヤジが飛んでくる状況が「OK boomer」につながっています。
generation
generationは「世代」という意味でカタカナでも広く使われています。ゲーム機などの「次世代機」のような使い方も英語でも可能です。
His music really resonates with the younger generation.
彼の音楽は本当に若い世代に響いている。
I’m going to wait for the next generation of consoles to come out.
私は次世代の据え置き機が出るまで待つつもりだ。
他にも世代を表す画像がありますのでご紹介しておきます。世代の名称については基本的な概念、考え方は同じですが名称には少しばらつきがみられます。
「generation Y」「generation Z」も誰かが流行らせようとしている感じもあって、一般的には「ベイビーブーマー → ジェネレーションエックス → ミレニアルズ」あたりが定着していると考えても特に問題ないと思います。
次世代に引き継ぐ
英語でも何かを次に託すことを「バトンを渡す(pass the baton)」の表現はありますが、それよりも一般的なのが「pass the torch」です。
たいまつ、トーチのことで、オリンピックの聖火も「Olympic torch」と表現されます。
When I retire I’ll pass the torch to him.
引退するときは、彼にトーチを渡すだろう。
バトン(pass the baton)でも間違いではなく言う人もいると思いますが、トーチのほうが広く使われています。
おやつカンパニーのお菓子のベビースターのキャラクターが約30年使われてきましたが、次の時代にバトンを渡すという発表がされたニュースからです。
The company said, “we want to pass the baton on to a new generation,”
その会社は「私たちは新しい時代へとバトンタッチしたい」と語った。
日本語ではバトンタッチが一般的ですが、英語ではpass the torchのほうが自然です。
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