イニシアチブは「主導権」などの意味としてカタカナ英語でも聞かれる言葉ですが、英単語のinitiativeとは少し意味合いがずれているように感じました。
英語では「構想、戦略」の意味か、何かを率先してやるような「自発性」といった意味で使われることが多いです。語源はinitial(イニシャル)と同じで、何かを始めようとする力といった意味につながっています。
ここでは英単語としてのinitiative(イニシアチブ)の使い方を例文にまとめています。
この記事の目次!
構想、戦略
英語での「initiative(イニシアチブ)」は問題を解決するための構想、戦略といった意味でよく使われます。「plan(計画、新たな取り組み、構想)」に近い言葉です。発音もカタカナ読みとは違います。
initiative【iníʃətiv】
The government announced an initiative to rebuild Kumamoto.
政府は熊本再建の計画を発表した。
The government is considering a new initiative to combat pollution.
政府は汚染と戦う新しい構想を検討している。
The government is beginning a new initiative to reduce alcoholism.
政府はアルコール依存を減らす新しい戦略を開始している。
The ads are part of an initiative to raise awareness about breast cancer.
その広告は乳がんの認知を向上させるための構想の一部だ。
The government’s latest initiative to improve the economy was a success.
政府の最新の経済を改善する戦略は成功だった。
The education initiative will allow students to use tablets in class.
その教育構想では生徒に授業でタブレットを使わせるだろう。
これは東アジアにおける通貨危機に備えて外貨を融通するための合意である「チェンマイ・イニシアティブ」などの言葉にも使われています。タイのチェンマイで始まったもので日本語にするなら「チェンマイ構想、チェンマイ戦略」といった感じになります。
やる気、自発性
また英語では「motivation(やる気、自発性)」に近い意味でも使われることがあります。何かを率先して自ら行うような気持ちのことです。日本語だと「自発性」が近いです。
Young people don’t have initiative.
若い人々は自発性がない。
She was quickly promoted because of her initiative.
彼女はすぐに昇進した。なぜなら彼女の自発性のためだ。
He showed a lot of initiative as a student.
彼は生徒として、多くの自発性を見せた。
take initiative
take initiativeの形で登場することも多く、意味は「率先してやる」「すすんで行動を起こす」です。何かを言われる前にやることです。
She always takes initiative at her company.
彼女はいつも会社でイニシアチブをとる。
この例文が意味するのは、彼女は会社でいつも率先して物事に取り組んでいる、言われなくても自ら問題解決などにあたっているといった良い意味で使われています。
もう少し例文を書いてもらいました。
My boss said his computer was broken so I took the initiative and called a repair person.
ボスがコンピューターが壊れたといったので、私は率先して、修理屋を呼んだ。
On her first day of work, Sally took the initiative and introduced herself to everyone.
仕事の初日、サリーは率先して、みんなに自己紹介をした。
英語表現としては「take the initiative and ~」のように文章を切って、andで何をやったかつなげるケースが多いです。
辞書には「指導力を発揮する」での掲載もありますが、文脈によって意味する内容が異なります。根本的には「率先して行動する」です。
主導権?
全体的に「initiative」に対していえるのは何かを良くするための「積極的な活動、計画、試み、態度」のことを指しています。先に紹介した意味も、積極性が感じられます。
日本語の「主導権」でも間違いではありませんが、日本語の「主導権がある」は、「こっちが立場が上だ」「こちらが手動で物事を決めていく」といった意味で、少し力関係に触れるようなニュアンスに寄っている感じがします。権力的な傲慢さも感じさせます。
自ら率先してやるという意味では「initiative」と「主導権」は同じですが、言葉に染み付いたイメージがちょっと違います。
「うちの家庭は嫁さんが主導権を握っているよ」みたいな文章ではinitiativeは使わないそうです。普通に以下のように言います。
My wife always decides where to go.
妻はいつもどこに行くのかを決めるんだ。
これも主導権があるといえますが、嫁さんがちょっと強引で自分の行きたいところに行くと決めているだけであり、良くしようと思っている感じでもないので、こういうのをinitiativeとは言わないという話です。
イニシアチブも含めてカタカナのビジネス用語としてよく使われるけど、実際のところ意味がわからない言葉を英単語として使えるのかといった視点でまとめた記事があります。
英語としてどう使うのかをまとめた記事なので、カタカナビジネス用語に出くわす方はご一読ください。