バリアフリー(barrier-free)の意味を英語で考える

 

公開日: 最終更新日:2020.09.23

バリアフリー(barrier-free)という用語は完全な和製英語ではありませんが、日本や他のいくつかの非英語圏の国でのみ使われている用語だといえます。英語では段差をなくしたり、誰にでも使いやすくする手法などは日常会話においては「accessible」などを使って表現されます。

また英語のbarrierは自分たちを守る防御壁の意味ではなく、障害物といった意味になるので、根本的なところでカタカナと英語でのbarrier(バリアー)の感覚が違います。

ここでは「ユニバーサルデザイン」の考え方も含めて、英語でのバリアフリー(barrier-free)という用語の使い方をまとめています。

barrier(バリアー)の意味と使い方

barrier(バリアー)の意味と使い方

そもそもカタカナの「バリアー」と英語の「barrier」に対する根本的な考え方が少し違います。

カタカナで「バリアー」といえば身を守る防御壁「砲撃にそなえてバリアーを張れ!」「無敵のバリアー」みたいな自分を守るものといったイメージがあるため「車椅子の人々のバリアーをなくす」「バリアフリーの社会」みたいな使い方に少し違和感があるかもしれません。「身を守る防御壁がないの?」とカタカナの感覚ではなりえます。

英語ではもともとの意味が、何かの行動や進行を妨げる「障害・障害物」みたいな意味になります。駐車場の入り口にあるバーや鉄柵などもbarrierだといえます。

例文

The soldiers created a barrier in front of the entrance.

兵士たちは入り口の前にバリアーを張った。

例文

The cream provides a barrier against germs.

そのクリームは細菌に対してのバリアーを提供する。

英語の「barrier」は何かがスムーズに行動、進行できなくするための「障害」です。それによって誰かを守ることにもなる可能性は確かにあります。

兵士たちにとっては自分たちを守る防御壁のようなものですが、敵の兵士からすれば建物の侵入を難しくする障害物です。クリームは人間を守っていることになりますが、細菌からすれば単なる障害物です。

以下の例文などは「言葉の壁、ラングエッジ・バリアー」ですが、特に誰かを守っているわけではなく「障害物、障害壁」といった意味です。

例文

He had to deal with a language barrier when living in India.

インドに住むときに、彼は言葉の壁を処理しなければならなかった。

カタカナのバリアー

この理屈がわかれば基本的には以下の文章を読み間違える可能性は低くなります。カタカナのバリアー(防御壁)だけで理解してしまうと、読み違えてしまいます。

例文

The new tax was a major barrier for small businesses.

その新しい税金は小さな企業にとっての大きなバリアー(障害・障害物)だった。

「税金は小さな企業を守っているバリアー」ではなく、小さな企業にとっての「障害」だったと解釈するのが自然です。この税金があったから小さな会社は自由にビジネスができなかったという話です。

「小さな企業を守っている防御壁・バリアー」ならばもう少しはっきり書く必要があります。

例文

The new tax provided a barrier against foreign companies to help small businesses.

新しい税金は、小さな企業を助けるための、外国の企業に対しての障害・バリアーを提供した。

barrier-free(バリアフリー)の意味と使い方

barrier-free(バリアフリー)の意味と使い方

barrier-free(バリアフリー)という言葉についていえば「free」には「~がない」といった意味があり「シュガーフリー」のような使い方と一緒だといえます。

しかし意味不明な和製英語ではありませんが、日本で使われているbarrier-free(バリアフリー)はやや日本独自の英語だといえます。

たとえばネイティブスピーカーに以下のような文章を読んでもらっても、その真意がはっきりとわからないと思います。

例文

★ This restaurant is barrier-free.

このレストランはバリアフリーだ(?)

この場合の日本語訳は「レストランには段差がないよ」といった感じですが、barrierには障害といった意味しかないのでネイティブスピーカーが上の英文を読んでも「障害がないとは?」と具体的に何を指しているのかよくわからないかもしれません。

barrier-free(バリアフリー)を英語でどういうか?

例えばウィキペディアの日本語の「バリアフリー」の項目は英語では「Universal design(ユニバーサルデザイン)」に転送されています。この英語の「Universal design」のページにbarrier-freeの使用状況やコンセプトについて触れらています。

The “Barrier-Free” concept
Barrier-free (バリアフリー, bariafurii) building modification consists of modifying buildings or facilities so that they can be used by people who are disabled or have physical impairments. The term is used primarily in Japan and non-English speaking countries (e.g. German: Barrierefreiheit; Finnish: Esteettömyys), while in English-speaking countries, terms such as “accessibility” and “handicapped accessible” dominate in regular everyday use. An example of barrier-free design would be installing a ramp for wheelchairs alongside or in place of steps. In late 1990s any element which could make the use of the environment inconvenient was considered a barrier, for example poor public street lighting.In the case of new buildings, however, the idea of barrier free modification has largely been superseded by the concept of universal design, which seeks to design things from the outset to support easy access.(Wikipedia)

訳文

バリアフリーの概念

バリアーフリーの建物の改造とは、建物や施設を身体に障害のある人々に使われるようにするために改良することである。この用語は主に日本と非英語圏の国々(ドイツ、フィンランドなど)で使われており、英語圏の国では「accessibility」や「handicapped accessible」などが日常生活においては支配的である。例えばバリアフリーのデザインとは、車椅子のために階段に沿ってスロープを設置、または階段をスロープにすることである。1990年代の後半に、環境的な不便さのあらゆる要素、例えば貧弱な公衆街路灯なども「barrier(障害)」と見なされた。しかしながら新しい建物についていえば、このバリアフリーへの改良の考えは広く「ユニバーサルデザイン」にとってかわられている。これは着工の段階から使いやすさを求めるものである。

英語のページなのになぜかバリアフリーと、日本語表示までしてくれています。このウィキペディアの記事があっている前提でいうならば「バリアフリー」は日本を中心に使われている用語だといえます。しかし、ドイツやフィンランドなど非英語圏でも使われていたり、英語圏でも少し見られる言葉なので、意味不明な和製英語でもありません。

バリアフリーの概念は英語では「accessibility」や「handicapped accessible」として日常会話では使われています。

「バリアーフリー」が既存の建物の障害物を取り除くといった意味によっているのに対して、新しい建物は作る段階から誰でも使える使いやすさを追求しているので、それは「ユニバーサルデザイン」の考えだとされています。

ただし「ユニバーサルデザイン」もちょっと業界用語っぽいところがあって、英語圏でも全員が理解している概念だとは言い難いです。

例文

★This restaurant is made with a universal design.

(普通の人がどこまで意味を理解しているかは不明)

そうなるとウィキペディアが言うように、日常会話ではこういった概念を表すには形容詞のaccessible(アクセスしやすい)といった言葉が使われます。

カリフォルニアは車椅子の人でも海辺が楽しめるビーチが多くあり、日本では鎌倉の由比ヶ浜が同様の取り組みをしています。日本では「barrier-free beach(バリアフリーのビーチ)」といった表現がされますが、海外ではこのようなビーチは「accessible beach」で表されているケースが多いです。

handicapped accessibleは「障害のある人のアクセスのしやすさ」ですが、handicappedという言葉は人によってはデリケートな表現だとして、使用を避けることがあります。

例文

We want the museum to be accessible to everyone.

We want the museum to be handicapped accessible.

私たちはミュージアムをバリアフリーにしたい。

ただしaccessibleは「アクセス可能である、アクセスしやすい」といったかなり広い意味でしかなく「陸の孤島ではない」「駐車場がある」「駅の近くにある」「ネットですぐに見つかる」みたいなものもaccessibleの範疇に含まれてきます。

上の例文では「障害のある人にスロープなどをつける」といった行為も確かに含まれてきますが、そこまで具体的にイメージできないかもしれません。その場合はもう少し文脈が必要です。

例文

We installed ramps because we want the museum to be accessible to everyone.

私たちはスロープを設置した。なぜならミュージアムを誰でも利用可能にしたいからだ。

スロープも和製英語ぎみの使い方で英語ではrampといいます。以下の記事にまとまっています。



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