complete(コンプリート)は「完了する、終える」といった意味で、カタカナでも広く使われている言葉です。ゲームの世界などでは「全部を集める、コンプする」のような使い方をされますが「全部を集める」といった意味はないので注意が必要です。
動詞で使った場合には「〇〇を完了する」として何を完了するのか、目的語をとる必要がある他動詞になります。しかし、一部で例外的な使い方も見られるので整理してみました。completeとcompletedの違いなど、細かい部分を掘り下げると複雑な単語だといえるかもしれません。
この記事の目次!
completeの動詞での使い方
completeは動詞で使った場合には「(何かを)完了する、仕上げる、終える」となります。
complete【kəmplít】
他動詞の扱いになるので「何を終えたか?(目的語)」を伴う必要があります。「名詞」または「-ing(動名詞)」を目的語にとることができます。
I completed painting the house.
私は家を塗るのを終えた。
The company completed construction.
その会社は工事を終えた。
They completed filming the movie.
彼らは映画撮影を終えた。
△ I completed doing my homework.
= I completed my homework.
宿題を終えた。
上のように「何を終えたか?」を考える場合に、「宿題を完了した」と「宿題をやることを完了した」の両方が考えられますが、この場合は名詞の「my homework」を完了する、で十分です。
finishとcompleteの違い
意味としてはfinishと同じです。以下の文章は似たような意味です。
I completed my homework.
I finished my homework.
I’ve done my homework.
宿題を終わらせた。
finishが「終える」で、completeが「完了する」だと考えるのに近く、文脈があると少しだけニュアンスに差が感じられるケースもあります。
The company finished construction for the day.
その会社はその日の工事を終えた。
The company completed construction for the day.
その会社はその日の工事を完了した。
completeだとその日の予定していた部分までを終えたのに対して、finishだとそういった情報があまりありません。
またcompleteは少し堅い言葉なので、日常で使うと大げさになることがあります。
〇 I finished breakfast.
△ I completed breakfast.
(朝食に使うには大げさです)
カタカナの「コンプリート」の使い方
カタカナでは「ゲームのアイテムを全部コンプした(コンプリートした)」といった使い方がされます。英語では「全部を集める」みたいな意味がありませんので、そのまま英語にはできないです。
セガサターンの発売された1057本の全ソフトを集めた人が話題になっており、カタカナの感覚で「セガサターンのソフトをコンプリートした」と以下のように書くと違った意味で伝わりそうです。
He completed every Sega Saturn game.
(ゲームを全部プレーしたと読まれる)
上の例文だとプレーして全部を終わったと読まれる可能性が高いです。したがってcompleteを動詞で使う場合は目的語「何をコンプリートするか? 何を完了するか?」に注意する必要があります。
He completed his collection of every Sega Saturn game.
(ゲームをすべてそろえた、持っているの意味)
I completed getting every character and item in the game.
私はそのゲームのすべてのキャラとアイテムを集めるのを完了した。
completeは「全部を集める」ではなく「終える、完了する」なので、「”収集”を完了する」「”全キャラを手に入れる”のを完了する」などはっきりさせる必要があります。
集めることや手に入れることを完了すれば「全部集める」になりえますが、completeだけだと「何を完了したか?」が重要になります。
また無理にcompleteを使う理由もありません。普通にgetなどで十分に表現できます。
I got every character and item in the game.
そのゲームのすべてのキャラとアイテムをゲットした。
mission complete(ミッションコンプリート)の意味
「mission complete」あるいは「mission completed」は「任務完了」のような意味で、映画などで聞くことができる表現です。
ミッションコンプリート(mission complete)をどう解釈するのかですが、先に説明したようにcompleteは他動詞なので目的語を伴う必要があります。
これを文法的にどう解釈するのか? は、軍事系の略語だと考えるのが妥当だといった意見でした。無線などの音声が悪い環境でも情報を端的に伝える必要がある軍隊で「任務完了」を2単語で伝えるための表現が「mission complete」あるいは「mission completed」なのだと思います。
他動詞なのか自動詞なのか、あるいは形容詞なのかと考えるのがあまり良い方法ではなく、厳しい環境の中で生まれた例外だと考えるのが自然ではないでしょうか。しいていうなら、このcompleteは形容詞だといった意見でした。動詞で解釈するならば三単現のSが必要になるはずです。
completeの自動詞の使い方は可能か?
completeは他動詞なので目的語をともなう必要があるのは間違いないんですが、事実として自動詞っぽく使われているように見えるものがあります。代表的なのは上にあげた「mission complete」ですが、それ以外にも以下のような文章があるのはあります。
The download completed five minutes ago.
ダウンロードは5分前に完了しました。
When the virus scan completes you can use the computer again.
ウイルススキャンが完了したときに、再びコンピューターを使えます。
これらについてはいろんな解釈ができますが、1つの意見として「complete(itself)」の省略したものではないかという話です。
上の例文のようなダウンロードやウイルススキャンなど「自動的に完了するタイプの動作」「自己完結するタイプの作業」に対して自動詞っぽく使われますが、実は目的語に(oneself)をとっているという話です。
これは自己完結しないタイプの主語に使うと明らかに変で意味が通りません。
I completed ten minutes ago.
The mission completed ten minutes ago.
(意味がよくわからない)
別の考え方としてはミッション、作業、任務系の言葉にcompleteが自動詞っぽく組み合わさるケースで「mission complete」からの派生だといった見方もできます。
completeは他動詞であるという認識は間違いありませんが、いくつかの原因で自動詞っぽく見えるものがある点は覚えておいてもいいかもしれません。
形容詞のcompleteの使い方
形容詞のcompleteは「全部そろった、完全な」の意味で、DVDなどの全巻がそろった「コンプリートボックス」のような使い方が英語でもされます。
I have the complete set of Prison Break DVDs.
私はプリズンブレイクのDVDの完全セットを持っている。
Here is the complete ranking of movies for the year.
これはその年の映画の完全版ランキングです。
トップ10だけといった部分的ではなく、完全なものだという意味です。
(be)complete with / come complete with
(be)complete withは何かを含むことで「〜を備えた、〜付きの」を意味します。
The book is a detailed history of World War II, complete with interviews of former soldiers.
その本は第二次世界大戦の詳細な歴史についてで、元兵士のインタビューが載っている。
It is a beautiful apartment complete with an oven and large balcony.
それはオーブンと大きなバルコニー付きの美しいアパートです。
「complete with」は「come with」と組み合わされて「come complete with」のような形で強調するために使われることもときどきあります。
The computer comes complete with a mouse and keyboard.
そのコンピュータはマウスとキーボード付きだ。
The meal comes complete with a drink.
この食事にはドリンクが1杯ついてくる。
上のような例文をbe complete withで書くと少し誤解される要素があります。
The meal is complete with a drink.
この食事はドリンクで完了だ。
ドリンクがなければ完了しないといった意味になり、最後にドリンクが運ばれて終わり、あるいは最後にドリンクを飲めばこの食事は終わり! と言っている感じもします。
「ついてくる、付属する」の意味では「come complete with」が無難なので以下の記事もあわせてご覧ください。
completeとcompletedの違い
completeとcompletedをどう使い分けるのか? はけっこう難しい問題のようにも感じます。あくまで使い方の目安程度に考えてください。
completeは動詞であり形容詞であり、形がまったく同じです。
completedは動詞の過去形であり、過去分詞でもあり、そのまま形容詞に使うこともできます。
Construction of the building will be complete next month.
(形容詞)建物の工事は来月に完了するだろう。
Construction of the building will be completed next month.
(動詞)建物の工事は来月に完了するだろう。
上のような例文はどちらでも可能で意味も同じですが、文章の形が動詞っぽいので、completedの形を使う人が多いだろうといった意見でした。
形容詞として見た場合にはどちらも使うことができますが、少しニュアンスに差が出るという意見です。
以下は叙述用法と呼ばれる使い方でのcomplete / completedです。
The plan is complete.
= そのプランは完了している。
= そのプランは完全だ。
completeを使うと2つぐらいの解釈が可能で「プランは完了している、終わっている」と「プランは全部そろったもの、一式だ、欠けているものはない」のどちらでも読めます。
The plan is completed.
= そのプランは完了している。
completedを使った例文だと完了しているとなります。過去形だったら受動態で考えて「完了された」と解釈することもできます。
以下は限定用法でのcomplete / completedです。
This is the complete works of Shakespeare.
これはシェイクスピアの全作品だ。
This is the completed works of Shakespeare.
(集められた感じがする)
上の場合は基本的にcompleteを使うほうが多いといった意見でした。completedは誰かによって集められた感じがするそうで「~された」といった意味合いが濃くなります。
しかし、結局は目の前にある物としては「マクベス、ベニスの商人、ロミオとジュリエット…」などシェイクスピアの全作品があるのはどちらも同じです。
completionの使い方
complete(完成させる、仕上げる)の行為で、「完了、完成、終了」などを意味します。
He will be paid after the completion of the repairs.
彼はその修理の完了後に支払われるだろう。
Completion of the building is expected next month.
そのビルの完成は来月と予想されている。