カタカナでは「スリルがあった」「スリリングな展開の試合だった」のように使いますが、英語でもっとも近いのがexciteでほぼ同じ意味です。
英語では必ずしも恐怖や生命の危険に基づいた感覚ではないといった前提の違いがあります。
ここではthrilling(スリリング)やthriller(スリラー)といった関連する言葉についても例文付きで使い方を取り上げています。
thrillの動詞での意味と使い方
動詞でthrillを使った場合にもっとも近い言葉がexciteで「~をワクワクさせる、興奮させる」といった意味です。
This movie is sure to thrill audiences.
この映画は観客をきっと興奮させる。
He thrills me with surprises every week.
彼は私をサプライズで毎週興奮させる。
この場合に映画はホラーやサスペンス映画である必要はありません。
上段の例文では彼がドッキリやおもちゃのナイフで脅してくるようなまねをするわけでもなく、単純にプレゼントをくれるなどの意味でもあるのでexciteとほぼ同じ意味になります。
これは動詞のthrillだけの意味に限りませんが、海外の英英辞書を見ても恐怖に基づいた感覚ではないのは明らかです。
例えばケンブリッジの辞書には「a feeling of extreme excitement, usually caused by something pleasant:(極度な興奮の感覚、たいてい心地よい/愉快なものに引き起こされる」とあり、特に恐怖や身の危険については言及していません。
thrilling(スリリング)の意味
thrilling(スリリング)も同様にexcitingの意味です。日本語にすると「わくわくする、ぞくぞくする」という形容詞です。
She always tells us thrilling stories about her travels.
彼女はいつも私たちに旅についての興奮する話を教えてくれる。
There is a thrilling new ride at USJ.
USJに興奮する新しい乗り物がある。
この場合もthrillingが指しているのが絶叫マシンである可能性はありますが、そうとも限らないのであらゆるタイプの興奮するような乗り物を指しています。
thrilledの意味
これもexcitedと同じような意味で「(私が)興奮した、興奮している」という意味です。このあたりの扱いはexcited / excitingの関係と同じです。
I’m thrilled to hear he’s getting married.
彼が結婚すると聞いて興奮している。
Everyone is thrilled about the news.
みんながそのニュースに興奮している。
この場合など別に怖いわけでもなく、ネガティブな感情を抱いていないのは明らかです。
thriller(スリラー)の意味
thriller(スリラー)になると名詞でスリラー小説やスリラー映画を指します。ジャンルです。
Her latest film is a supernatural thriller.
彼女の最新の映画は超常現象のスリラーだ。
映画や小説のジャンルとしてのthriller(スリラー)は、horror(ホラー)とは区別されます。
ホラーは『13日の金曜日』のような殺人鬼が人を残酷な方法で殺していく直接的な暴力描写があふれる映画・小説です。
スリラーは日本でいう「サスペンス」に近く、人は死ぬかもしれませんがダークな雰囲気で心理的な駆け引きや状況の描写を繰り広げるタイプのジャンルです。
方向性としては確かに近いですが明らかに区別されています。
また「ワクワクさせるもの、ワクワクさせる人」といった使い方もあります。
The match between Brazil and Italy was a thriller.
ブラジルとイタリアの試合はスリラーだった。
ここまで書いて思ったのはthriller(スリラー)はマイケル・ジャクソンの歴史に残る大ヒット曲があります。ゾンビと踊るホラー系のミュージックビデオが非常に有名ですが、あのイメージがカタカナに与えている影響もそれなりに大きいのではないかと思います。
スリラー=ホラー=恐怖みたいな連想になってしまうのはあの音楽の影響もあるのかもしれません。