overcomeは「克服する、打ち勝つ」といった意味で登場します。ほかにもいくつか意味がありますが、元の意味の延長にある感じなので想像がつく範囲だと思います。
語源としては古い英語でreach(届く)みたいな意味があったそうです。活用はcomeの部分が変化するので不規則でovercame(過去形)とovercome(過去分詞)になっています。
ここでは類似表現のget overとの比較も記載しています。ほぼ同じ意味ですが、ニュアンスに差が出る場合があります。
overcomeの意味
もっともよく使われる意味では「克服する、打ち勝つ」で、問題に対処することに成功することを表します。この単語が登場したときはだいたいこの意味です。
物理的、精神的なものから病気、挑戦、性能などに使え、幅広い意味で日本語の「克服する」と近い関係にある言葉です。
He overcame great prejudice to become the leader of the nation.
彼は国民の指導者になるために多くの偏見に打ち勝った。
She said she will overcome the disease using a new therapy.
彼女は新しい治療を使って病気を克服すると言った。
Heartbreak is difficult to overcome.
傷心を克服するのは難しい。
敵を負かす
こちらはあまり使われない意味になりますが「敵を負かす」を表すこともできます。克服するの延長にあるような意味です。
The Yankees overcame the Angels in game six of the playoffs.
ヤンキースがプレイオフの第6戦でエンジェルスを負かした。
No matter how hard he trained, he couldn’t overcome Mike Tyson.
彼がどんなに一生懸命練習したとしても、マイク・タイソンを打ち負かすことはできなかった。
圧倒される、打ちのめされる
こちらもあまり使われませんが「圧倒される、打ちのめされる」の意味で、何らかの感情に覆われるようなことを指します。たいてい受け身、受動態の形です。
良い感情・悪い感情のどちらにも使えるのでふさわしい訳をつけてください。
She was overcome with grief when her pet died.
彼女は彼女のペットが死んだとき、悲しみに打ちのめされた。
She was overcome with joy when she won the lottery.
彼女はくじ引きが当たったとき、喜びであふれた。
これも他の誰か、他の何かに自分が「克服される」ことは、自分ではそれを抑えることができなかったと考えると意味はつながっています。
get overとovercomeの違い
どちらも似たような意味で、どちらを使っても極端に変になるケースは少ないです。
He overcame his cancer.
He got over his cancer.
彼は癌を克服した。
基本的にはどちらも問題ありません。ただ根本的なニュアンスの差としてovercomeは「win(勝つ、勝利、やっつける)」に近いニュアンスで、get overは「survive(生き延びる、乗り越える)」や「recover(回復する、正常な状態に戻る)」に近い意味があります。
「打ち勝って克服する」と「回復して克服する、正常な状態に戻せて克服する」はどちらも結果としては「克服する」といった同じ結論になります。しかし、その克服にいたる過程に少しニュアンスの差がでるときがあります。
◎ You’re going to overcome this cancer!
〇 You’re going to get over this cancer!
あなたはこの癌に打ち勝つんだ!
相手を力強く励ましているとするならば「overcome」を使ったほうが気持ちが入った感じ、戦って勝つ感じが伝わります。get overが悪いわけではありません。
また以下のような文章だと置き換えると変になります。get overは回復するのに近い感じで使われるときがあり、忘れる、諦めるといった意味で使われます。
I can’t get over her.
彼女を諦められない/忘れられない。
これは未練があって、彼女のことがまだ好きで忘れられないといった意味になります。
I can’t overcome her.
(この表現はしない)
これをovercomeで表現する人はおそらくいないだろうという意見で「打ち勝つ」「(相手を)やっつける」みたいな「勝利」のニュアンスが入ってきます。
かなり同じ意味で重なり合っていますが細部では微妙に差がでるケースがあります。