begin(ビギン)とstart(スタート)はどちらも中学校で習う基本単語です。この使い分けについては様々なサイトが意見を書いています。
当サイトでもあらためてオーストラリア人のカールと、カナダ人のスティーブに話し合ってもらい意見をまとめたうえでbeginとstartの違いを書いていきます。
結論を書くとbeginとstartは一緒で同じように使うことができますが、少し例外となるケースがあります。
beginとstartの違い
基本的には「begin」と「start」は同じ意味で置き換えが可能だと考えても問題はないと思います。
正確に書けば「beginとstartは同じ意味で置き換えて使うことができる。ただし、いくつか例外がある」と考えるのが言葉を運用するという面においては楽だといえます。
以下のように置き換えてもまったく問題ない文章、どちらでも可能な会話も数多く存在しています。
Let’s begin.
Let’s start.
さあ、はじめよう。
She began speaking when the music stopped.
She started speaking when the music stopped.
音楽が止まったとき、彼女は話し始めた。
beginは不規則変化の単語でbegan(過去形)、begun(過去分詞)になる点はいうまでもありませんが注意が必要です。
カールとスティーブの共通の見解として「begin」のほうがややフォーマル、堅い響きがあるためあらたまったビジネスシーンなどで使われやすい点では二人とも一致していました。だからといってstartが使えないわけではありません。
例えばすごい怒っている人がとっとと「始めろよ!」と怒って命令する場合には「Start!」という人が圧倒的に多いだろうという意見でした。「Begin!」は少しフォーマルな言葉であり、怒った状態でパッと出てくる言葉としては、そう言う人もいるかもしれませんが少なくなります。
こういったわずかな雰囲気の差はあるものの置き換え可能、意味としては同じで極端に変になることはほぼないので気軽に使ってみてください。これは日本語の「始める」と「開始する」のような違いに似ています。
対義語(stopやend)の視点やイメージで説明するのはありだと思いますが、あまりややこしく考えずに「基本的には同じ意味だ、開始と始めるぐらいの差みたいなものだ」と思って使っても問題ないと思います。
ネイティブスピーカーと「begin」と「start」の違いについて話していると、ひょっとしたらこの違いを必要以上に複雑にしているのは「日本人の日本語によるbeginとstartの違いの説明なのかもしれない」とすら感じます。
言葉の違いを突き詰める姿勢は必要で、日本人にとっては同じように見える英単語はいっぱいありこのサイトで取り上げていますが、こと「beginとstartの違い」についていえば、細かな違いを突き止めて使い分けたとしても相手への伝わり方に明確に差が出るケースがほとんどない感じがします。
言語学者や文学者、詩人を目指すならば必要かもしれませんが日常英会話レベルはもうちょっと簡略化した基準で言葉を使い分けたほうが現実的だと思います。
beginとstartの使い分け
しかしながら、beginとstartは「同じ意味で置き換えて使うことができる。ただし、いくつか例外がある」と書いたように、いくつか置き換えできないケースがあります。
そんなに多くはないので例外事項として覚えてもいいと思います。
しっくりくる、雰囲気にあっているといった個人の主観や感覚に左右されるレベルの問題ではなく、置き換えると明確に間違いに分類されるようなものです。
機械に対してはstart
まずstartのみが使われる代表が機械・マシンに関連する事柄です。機械を作動させるときにはstartのみが使えます。
I started the car.
車を発進させた。
I couldn’t start the car.
自動車をスタートできなかった。
My printer started by itself.
プリンターが勝手に動き出した。
この場合はbeginを使った表現に置き換えることができません。
× I began the car.
× I couldn’t begin the car.
× My printer began by itself.
ビジネス・商売
ビジネス、小さなお店などに対してもstartを使います。この場合はopenでも表現可能です。
He started his own computer shop.
彼は自分のPCショップをはじめた。
× He began his own computer shop.
(こういう言い方をしない)
ただし、かなり大規模なビジネス、ビジネスを超えたFacebookのようなカルチャーとも呼べるものならbeginもありです。
Mark Zuckerberg started Facebook.
Mark Zuckerberg began Facebook.
マーク・ザッカーバーグはフェイスブックをはじめた。
イディオム・熟語
イディオムになっているような決まった言葉の組み合わせによる表現は置き換えることができません。
わかりやすい例でいえば「start line(スタートライン)」をbegin line(ビギンライン)とは意味はわかるけど言わないといったことです。
他の例としては火をつけることは「start a fire」と表現しますが、これを「begin a fire」とは言いません。
The police arrested him for starting a fire.
警察が火事を起こしたことで彼を逮捕した。
× The police arrested him for beginning a fire.
(この表現はしない)
冒頭で、さあはじめよう、の意味で「Let’s begin. / Let’s start.」を紹介しました。この表現はどちらも可能です。しかし同じ意味でget startedもありますが、これはget begunにはなりません。
Let’s get started!
さぁ始めましょう!
× Let’s get begun!
(この表現はしない)
使い方の注意点
日本語からの翻訳の問題になりますが、beginもstartも以下のように直接目的語をとると変になるケースがあります。
She started Instagram.
She began Instagram.
(そういうサービス・ビジネスを開始した?)
上のような例文だと「インスタグラムというサービスを開始した」のように読めてしまうので、まるで会社運営をしているかのように感じます。
したがって「使うことを始めた」や「アカウントを開始した」のような表現に変える必要があります。
I started using Facebook.
I began using Facebook.
フェイスブックを使い始めた。
She started an Instagram account.
She began an Instagram account.
彼女はインスタグラムのアカウントを開始した。
もしくはbeginやstartを使わないで別の言い回しで対処するかです。joinやmakeでも似たような意味が作れます。
She joined Instagram.
She made an Instagram account.