「upon」はonと同じ意味で、会話表現ではあまり聞かれませんがニュース文ではときどき見かけることがある単語です。
特に文頭に来るuponは「~してすぐに」といった訳になります。何かが近いタイミングで起こっているイメージを伴います。
以下、ネイティブスピーカーにヒアリングを行いまとめてみました。人によって解釈の幅がある単語だといえます。
この記事の目次!
onとuponの違い
基本的には「upon」で表現できる文章のほとんどは「on」で置き換えても意味は通じます。またその逆もいえます。uponの方がフォーマルで華やかな響きがあり、文語・書き言葉でより見られます。
I put the pencil upon the table.
=I put the pencil on the table.
鉛筆をテーブルの上に置いた。
例文はどちらも可能ですが上のような普通の文章でわざわざuponを使ってフォーマルで華やかに響かせる意味がありません。また言葉遣いとしては場違いな奇妙さがありますが、文法上は問題ありません。
以下の文章は実際のニュースからです。
The Academy of Motion Picture Arts and Sciences will soon be bestowing the Academy Honorary Award upon(on) Hayao Miyazaki.
映画芸術科学アカデミーはまもなく宮崎駿監督にアカデミー名誉賞を授与する。
このような宮崎駿監督のアカデミー賞受賞を伝える文章の場合はテーマから考えてもuponを使ってフォーマルで華やかな響きを持って伝えることは意味があります。しかしこの場合でもonを使っても問題ありません。
スティーブに意見を聞いてみてもonとuponを置き換えて成立しないケースがぱっと思いつかないそうなので、基本的には同じものだと考えても問題ないと思います。
once upon a timeの意味
置き換えて成立しない例外として熟語、決まり文句になっているようなものは、さすがに置き換えると変です。
おとぎ話の「むかしむかし」に相当する「Once upon a time」ぐらいなるとonでは表現しません。
しかし、それ以外になると可能か不可能かでいえばonとuponは置き換え可能です。
I want to go to Namba upon Sunday.
日曜日に難波に行きたい。
このようなon Sundayをuponに置き換える必要性や意味があるのか? という問題をのぞけば文法上は可能な表現だとはいえます。
uponの意味と使い方
ニュースなどで使われるuponの多くは、基本的には「~してすぐに」と覚えておけば、そう大きく意味を取り違えることはないと思います。この使い方でさえもonで置き換えても意味は成立するので、かなりonとuponは近い意味の単語だといえるかもしれません。
ポイントは何かがかなり近い時間、似たようなタイミングで起こっていることを意味する点です。場合によっては「~した直後に」「~するとき」「~した後に」と考えることもできます。
Upon moving to the USA, Satoshi got a job with a law firm.
アメリカに引っ越してすぐに、さとしは法律事務所での仕事を得た。
Upon finishing her ice cream she felt sick.
彼女はアイスクリームを終えてすぐに気分が悪くなった。
どの程度の時間的な近さであるかは文脈によるので、秒単位で「すぐ」の場合もあれば月単位で「すぐ」の可能性もあります。
上段の例文ではアメリカに引っ越してから数日なのか数週間なのか数ヶ月なのかははっきりとは分かりませんが、話し手の感覚として「すぐ」だという意味です。
意味としてはwhile(~の最中か、~してすぐ)か? immediately after(~の直後)か? のどちらかです。確認した結果、ネイティブスピーカーにとっても少し曖昧、幅のある表現になります。
これは日本語でも同じ感覚があり「カレーを食べてすぐにお腹が痛くなった」の「すぐ」とは、カレーを食べ始めてまさに食べている最中にお腹が痛くなったのか? それとも、カレーを食べ終わってすぐにお腹が痛くなったのか? は読み方、文脈によって解釈が異なります。
こういった解釈の幅がuponにも感じられます。
「~してすぐ」の意味になるケース
uponの後ろに来る言葉によって少し解釈に幅が生まれます。例えば「eating」などのように動作に一定の時間がかかるようなものは、whileの意味が近くなります。
Upon eating I had an idea.
=◎ While eating I had an idea.
=〇 After eating I had an idea.
上のような例文の場合、私がアイデアが思い付いたのは「食後、食べた後すぐ(immediately after)」なのか「食事中、食べてすぐ、食べている最中(While)」なのかはっきりしません。どちらの解釈も可能です。
eatingがある程度の時間を伴う動作なので「食べはじめてすぐに」といった印象になり、まだ食事中(While)にアイデアを思い付いたことになります。
「immediately after(直後)」の意味になるケース
しかし、以下の例文の場合は明らかに「~の直後(immediately after)」と考えるのが自然です。
Upon landing they checked my passport.
=◎ After landing they checked my passport.
=〇 While landing they checked my passport.
上の場合はおそらく「着陸した直後にパスポートをチェックした」「着陸してすぐにパスポートをチェックした」です。
この場合はAfterの意味合いが強いです。高度を下げて着陸しようとしている最中にパスポートチェックしてくるケースは少ないからです。
文脈を見てどちらに解釈するかになりますが、読み手が違えば解釈も変わる可能性があります。
もし話の中でそこが重要な焦点になるならば、おそらくuponを使うのは避ける、または周辺の言葉選びを慎重になったほうがいいかもしれない、という意見でした。
後ろに来る動作の性質による
while(~してすぐ、~の最中)の意味になるか、immediately after(~の直後)の意味になるかは、その後に来る動作の性質によるといえます。
eatingのように動作に一定の時間がかかるようなものはwhile(~の最中に)に近くなりますが、finishing(終える)やbecoming(~なる)のような一瞬の地点を表す動作の場合には「直後に」の意味が強くなります。
Upon finishing her ice cream she felt sick.
彼女はアイスクリームを(食べ)終えてすぐに気分が悪くなった。
Upon eating her ice cream she felt sick.
彼女はアイスクリームを食べてすぐに気分が悪くなった。
上の2つの例文を比較すると、かなり微妙な差があります。上段は食べ終えてすぐに気分が悪くなったの意味ですが、下段は食べてすぐ、食べている最中に気分が悪くなったのだと判断できます。
以下の例文など、become「(大統領に)なる」は一瞬で起こるものなので「~した直後に」と判断します。
Upon becoming president he got rich.
大統領になった(すぐ)後に彼は金持ちになった。
大統領になるという一瞬の動作の最中にお金持ちになるとは考えにくいので、この場合は「大統領になった直後に」と考えるのが妥当です。
このように少し解釈の幅がある言葉ですが、何かが近いタイミングで起こっているイメージでとらえれば大きな混乱もないと思います。
whenでの置き換え
場合によってはwhen(~するとき)のような意味だと考えることができます。
Upon arrival they checked my passport.
到着してすぐに、彼らは私のパスポートをチェックした。
uponの後ろにはHe arrivedなどは置けないので文法上の扱いが異なりますがwhenでも同じ意味がつくれます。
When I arrived they checked my passport.
到着したときに、彼らは私のパスポートをチェックした。
ニュースでの実例
実際にアプリ内のニュースでuponが使われたケースをピックアップしてみました。
まずはスターバックスが新商品「シェイクン ウォーターメロン&パッションティー」を発売するニュースからです。
The drink is shaken by the barista upon ordering and will be sold until August 31st or until supplies last.
その飲み物はオーダーの後すぐにバリスタがシェイクしてくれ、8月31日まで売られている。もしくはなくなり次第終了する。
注文が入って「すぐに」バリスタがシェイクをしてくれるの意味です。2つの出来事が近いタイミングで起こっています。
歌手のプリンスが亡くなった時のニュースからです。文頭に来ています。
Upon news of his passing, other celebrities took to Twitter to offer their condolences.
プリンスの訃報を受けてすぐに、多くの有名人がツイッターで哀悼の意を表した。
これも訃報を聞いてすぐにツイッターで哀悼の意を表したといった意味になります。