英単語のpresentは大きく「贈り物、プレゼント」「出席する、その場にいる」「現在の」「プレゼンをする、何かを盛大に発表する」ぐらいに分かれます。
それぞれ品詞も名詞、形容詞、動詞とバラバラなので、順番にネイティブスピーカーに作ってもらった例文を交えながら使い方をご紹介していきます。
必ずしも間違いではありませんが、特にpresentを動詞で「プレゼントをあげる・贈り物をする」の意味で使うのは、あまり一般的ではありません。
少し触れていますが、これらはまったく違う意味に感じるようで語源的には共通する発想にたどりつきます。
以前にこのページで書いていた「Presented by / Powered by」の意味については『Presented by, Powered byの意味と使い方』に移動しています。
この記事の目次!
動詞:present
基本的にpresentを動詞で使うと、あらたまった、かしこまった形で何かを渡す、見せるといった意味合いになります。
名詞と動詞でアクセントの位置が異なり動詞は【prizént】とゼの位置にあります。一方の名詞は【préznt】です。
これは発表などのプレゼンテーションの意味を思い浮かべてもらえば想像がつくかもしれません。
辞書で調べてもらえるとわかりますが動詞では「見えるように~を示す、提示する」の意味があるので、何も考えずに使うとこの意味で受け止められる可能性が高くなります。
The company presented their newest line of cars.
その会社は最新の自動車のシリーズを発表した。
この動詞の使い方は「プレゼンをする、発表する」の意味とほぼ同じです。make a presentationでも同じ意味になります。
Tim Cook presented the Apple Watch at a conference.
ティム・クックはカンファレンスでアップル・ウォッチのプレゼン(発表など)をした。
= Tim Cook made a presentation of the Apple Watch at a conference.
(上と同じ意味です)
presentには「あげる、贈る」の意味も含まれているので間違いではありませんが、非常にかしこまった正式な形で授与することを意味します。
The president presented him with the medal of honor.
大統領は記念のメダルを彼に授与した。
The mayor presented the award to him.
市長は彼に賞を贈った。
以下の例文のように「贈り物をする、プレゼントを贈る」の意味で使うと文章が間違った形で伝わります。
▲ I presented my mother a watch.
▲ I presented a watch to my mother.
上の文章を「贈り物をあげた」の意味で使うのは一般的ではなく、どちらかといえば「さあ、お母さん、これが時計です!」と見せたか、盛大な式典を開いて授与したかのような意味になってしまいます。
しかも、この文章だと「あげた」とまで断定できません。かしこまって見せただけの可能性もあります。
辞書には他にも動詞で「芸術作品で人や人物を描く」「テレビ番組の司会をする」などもありますが、根本的な発想は同じで華やかな感じで人々に存在を見せること、披露することです。
動詞で使われた実例
実際のニュースからpresentが「贈り物をする」の意味で使われたケースを探してきました。どれも単純にあげるというよりも、正式であらたまった形での授与、寄贈に近い言葉です。
Since 1963, the Japanese government has presented citizens turning 100 with a silver cup called a sakazuki.
1963年より、日本政府は100歳になった国民に対して「盃」と呼ばれる銀のカップを贈ってきた。
以下は佐々木貞子さんという被爆者の折り鶴がアメリカにある第二次大戦の博物館に贈られた話からです。展示品にはプレートがつけられていました。
The plaque marking the exhibit says it is presented with “a hope for nations to resolve conflicts without having to resort to wars and the inevitable devastation.”
この展示品を示すプラーク(プレート)は「国々が戦争や避けられない破壊行為に頼らずに衝突を解決することへの希望」と共に贈られたと語っている。
贈り物・プレゼントをする場合
したがって日本語感覚の「贈り物をする、プレゼントをする」は以下のように表現します。普通に[give]を使えば済む話です。
I gave my mother a watch as a present.
私は母親にプレゼントとして時計をあげた。
I gave my mother a watch for her birthday.
私は母親の誕生日に時計をあげた。
名詞で使う分には、私たちがイメージするgiftと似た意味の「プレゼント」と一緒です。
I gave him a present for his wedding.
彼の結婚式で彼にプレゼントをあげた。
語源的には後に紹介する「出席する、その場にいる」「プレゼンをする、何かを見せる」と近く、どれが先なのか曖昧なところがありますが、発想としては同じ要素にいきつきます。
プレゼント・贈り物はpreがあるように、あげるときにあなたの前にモノを差し出すことです。
このプレゼントを差し出す時の動作は、華やかに「これがあなたへのプレゼントだよ!」と大げさにいいますが、これが動詞の意味やプレゼンテーションの意味になっています。
当然のように、ものを差し出したら、そこに存在していることになります。そこから現在の、出席しているといった意味に広がります。
語源としてどの意味が先だったのか曖昧な部分が残りますが、おそらく「贈り物」の意味が古いだろうといういちおうの見解です。
プレゼントを動詞で使った場合の例文比較
以下は似たような内容の文章をネイティブスピーカーがどう感じるかといった比較です。
presentを動詞で使うと「プレゼンを行う」「授与する」のように、モノを与えることよりも、華々しく発表すること、セレモニー、イベントに焦点があたります。
以下の3つの文章のニュアンスを比べてみましょう。
On your birthday, I will give you chocolate.
「あなたの誕生日に、チョコレートをあげるよ」というシンプルな意味です。モノを贈るときは普通は「give」を使えば間違いないでしょう。
On your birthday, I will present you with chocolate.
presentを動詞で使っています。これは大企業の社長さん同士が(孫正義がビル・ゲイツの誕生日を祝うような)、大勢の人を集めて大きなスピーチをしながら誕生日を祝っているかのようなイメージを連想するそうです。
「お誕生日おめでとうございます!チョコレートもご用意しているので、みなさんもお召し上がりください」といった感じでチョコにそこまで焦点があたっていません。
On your birthday, I will present chocolate to you.
チョコレートが直後に来ているので「あなたの誕生日にすごいチョコレート用意しました!みなさんご注目ください、ここに世界に1つの特製チョコをあなたの誕生日に贈ります!」みたいなチョコレートをフォーカスしたイメージです。
どちらにしろ、presentを動詞で使ってしまうと日本人が想像する意味とはかけ離れてしまうのでご注意ください。
present:出席している、存在している
形容詞でpresentを使った場合は「そこにいる、存在している」で会議などでは「出席している」となります。いうならば「be」です。
反対の意味の単語は「absent(いない、不在の、欠席して)」です。以下の例文を参考にしてください。
I was present at the meeting.
= I was at the meeting.
私は会議にいた。
I was absent from the meeting.
= I wasn’t at the meeting.
私は会議にいなかった。
A repair person will come today so someone has to be present.
= A repair person will come today so someone has to be here.
修理屋が今日くるので、誰かがここにいないといけない。
基本的には「be」の意味なので、presentを無理に使う必要もありません。
presence(存在・出席)
この「存在している、その場にいる、出席している」の名詞はpresenceになります。名詞なので「存在していること、存在、出席」です。
存在、存在感といった意味で何かの人物の重要さを表現している言葉です。以下のように使います。
Her presence at parties makes everyone happy.
パーティーでの彼女の存在がみんなを幸せにする。
I asked for his presence at the meeting.
= I asked him to be present at the meeting.
彼に会議に出席するように頼んだ。
Michael Jackson was a major presence in pop music.
マイケルジャクソンはポップミュージックにおいて大きな存在だった。
Michael Jackson’s presence in pop music could be felt around the world.
マイケルジャクソンのポップミュージックにおける存在感は世界中で感じることができる。
意味が派生して、お化けのような存在しているけども見えない何かにも使えます。
We felt a strange presence in the abandoned house.
私たちは廃墟で奇妙な存在を感じた。
When we called Kokkuri-san, a presence moved the 10-yen coin.
こっくりさんを呼ぶと、その存在が10円玉を動かす。
present:現在、現在の
品詞としては名詞または形容詞だと思いますが、「現在・現在の」といった意味にもなります。文法の「現在形」などは「present tense」と表現されます。
◎ Donald Trump is presently the US president.
ドナルド・トランプは現在、アメリカ大統領だ。
〇 Donald Trump is the present US president.
ドナルド・トランプは現在のアメリカ大統領だ。
どちらも間違いではありませんが、上の例文ならば副詞のpresently(現在は)を使ったほうが自然だろうという意見です。
Our company’s present situation is not good.
= Our company’s current situation is not good.
我が社の現在の状況は良くない。
この場合は「current」などが類義語にあたります。他にも以下のような使い方があります。at presentで「目下のところ、現在のところ」の意味です。
A diet version of this cola isn’t sold at present.
ダイエット版のコーラは現在のところ販売されていない。
他にも名詞で単純に「現在」の意味で使えます。
I don’t dwell on the past. I focus on the present.
私は過去にくよくよしない。現在に集中しよう。
This is a problem that only exists in the present.
これは現在にのみ存在している問題だ。