東京ハイヤー・タクシー協会が、英語で観光案内のできる能力がある運転手であることを認定する制度を導入したそうです。
オリンピックを控え、外国人と多く接することになるタクシー運転手に英語力のニーズが高まっていることを受けて導入されました。
認定にはTOEICで600点以上の英語力が必要で「Tokyo Sightseeing Taxi in English」を略して「TSTiE Drivers(タスティー・ドライバー)」と呼ばれるそうです。
それはいいのですが「TSTiE」という造語がネイティブには2つのものを連想させる可能性が高いそうです。
TOEIC600点超…東京ハイヤー・タクシー協会が五輪向けTSTiE(タスティ)ドライバー続々育成中(産経新聞)
testy(短気な)
testyで「短気な、怒りっぽい」といった意味になります。
My taxi driver was really testy so I didn’t tip him much.
(タクシーの運転手が本当に短気だったので、あまりチップを払わなかった)
たまたま調べた海外の辞書でも偶然に「a testy cab driver(短気なタクシー運転手)」が例文に出ていました。
こちらはまだマシなほうかもしれません。
testis(睾丸)
もう1つ似た響きの単語があり、こちらは「睾丸」つまりわかりやすくいえばキンタマみたいな感じです。
このニュースを準備しているときに、TSTiE Driversの名称を見てカナダ人のスティーブが驚いていて「本当にこの名前なの?」と確認して爆笑していました。
「金玉運転手」みたいに聞こえたら、確かに面白いでしょうね。
ネイティブ全員が連想するとはいえないと思うけど「ナレーションをイギリス人のダンがやってたら、絶対に彼も笑ってると思う」と、けっこう強く連想させてしまうそうです。
他の和製英語ならまだしも「英語ができる運転手」をアピールしてるだけに余計に気になります。
おそらく、タクシーに大きく「TSTiE Driver!」などと書いたりして、それを見た英語圏の人に、どっちに受け止められるのかはわかりませんが、どっちに転んでも失笑を買う様子がイメージできます。
スティーブは「タクシーの運転手はカナダでもいい英語を話す人ではないって見られるし、名称としては皮肉が効いてるかもね」と笑っていました。
海外でも頭文字をとって造語などを作るときは、既存の変な意味の言葉を連想させないか注意を払うそうです。
このあたり東京ハイヤー・タクシー協会はネイティブチェックを入れたのか、知っててやっているのか気になります。
タスティー・ドライバー制度概要
多くの外国人観光客から東京のタクシードライバーが提供するサービスのレベルは高く評価されていますが、言葉が通じないことが課題として不満が聞かれようです。
2020年までに300人のタスティードライバーの育成を目指しています。
なかなか難関で、まずは東京観光財団が実施する「東京シティガイド検定」に合格します。
そして「ユニバーサルドライバー研修」を修了して「東京観光タクシードライバー」に認定されます。
【東京シティガイド検定】
東京の魅力を自信を持って紹介できる人材を育成することを目的とし、東京が全国に先駆けて実施している制度。特にタクシー運転手だけを対象にしたものではありません。
【ユニバーサルドライバー研修】
高齢者や障害者などの多様なニーズや特性の理解、お客様との円滑なコミュニケーションの確保など、適切な対応ができるタクシー乗務員を育成する研修。
【東京観光タクシードライバー】
観光タクシードライバーに必要な基本的サービスや知識、言葉づかいや身だしなみなど、講義・ロールプレイングで行う研修を受けると認定されます。
観光タクシーは観光業務も兼ねているため、3時間で17000円程度の料金が設定されているようです。
ここからさらにTSTiEになるには、TOEIC600点程度、20時間の研修、スピーチテストに合格しなければなりません。ここで英語の素養を試されます。
初年度となる今年は15人が合格しており、約1800人いる東京観光タクシードライバーの約1%という難関になっています。
特におもしろニュースとして扱うわけではなかったのですが、名称の「TSTiE Driver」は気になるところですね。
タクシーに関連する記事がいくつかります。「hail」はほぼタクシーを呼び止めるときぐらいにしか使われません。他にも古い意味があったりします。
また配車の手配をアプリや電話でする場合には目の前に呼び出すという意味のsummonなども使えます。