以前にアメリカ人のスコットに「アメリカの保安官って何してるの?」と質問したことがあって、当のアメリカ人もあんまりはっきりとわかっていませんでした。
あらためて整理する意味も込めてアメリカの「sheriff(保安官)」について調べたことをまとめています。西部劇で銃をぶっ放して悪党を退治するのも保安官ですが、現代とはちょっと違います。
sheriff(保安官・シェリフ)とは?
「sheriff(保安官)」とはアメリカの「郡(county)」における警察のトップのような役職です。
アメリカには3000以上の「郡(county)」があり、大きさや人口もバラバラです。カリフォルニア州のロサンゼルス郡は1000万人を超える住民がいますが、数百人の人口しかない非常に小さな郡もあります。
カルフーン郡保安官事務所の制服を着たまま保安官がポケモンカードを盗んでニュースになっていましたが、アラバマ州のカルフーン郡は人口11万人、面積は浜松市と同じぐらいです。
したがって日本の感覚でいえば郡は「市区町村」ぐらいであり、あなたの街の警察のトップが「sheriff(保安官)」にあたる存在です。そして、このsheriffは郡の住人による選挙で選ばれるのが特徴です。
選挙で選ばれることは「最近は銃犯罪が多いから銃を取り締まって」とか「サイバー犯罪の取り締まりを強化してほしい」といった住民の希望が反映されやすくなります。
保安官の主な仕事は「刑務所の管理」「裁判所の保護」「選挙の監督」そして「犯罪の捜査、犯罪の防止、交通取締り」などがあって、この意味では警察と業務が重複している部分もあります。
保安官の下で働く人
「sheriff(保安官)」は選挙で選ばれる偉い人、政治色の強い役職であって、その人が直接的に刑務所の管理や交通違反を取り締まるのは不可能です。
そこで保安官の権限を分け与えた職種「Sheriff’s Deputy(保安官代理)」といった役職があります。保安官から権限を与えられ、巡回、犯罪捜査、逮捕などを行う実務を担います。
保安官の権限を持った代理の人であり、田舎の治安を担当する準警察、簡易警察みたいなものだと思います。
洋画などで田舎で警察っぽい人が犯罪捜査とかしていたら「Sheriff’s Deputy(保安官代理)」の可能性があります。有名どころでは『ウォーキング・デッド』の主人公リック・グライムズなどが保安官代理です。
警察と保安官の違い?
警察と保安官代理は「地域を巡回し、公の秩序を維持し、交通違反を取り締まる」みたいな部分では業務が重複している部分も多いです。
警察は主に特定の都市や町を管轄します。ニューヨーク市警やロサンゼルス市警などがわかりやすいです。都市部の警察は専用の交通部隊、麻薬対策部隊、殺人課など、特定の専門分野に特化した部署を持つことが一般的です。
保安官(保安官代理)は都市部以外での犯罪などを取り締まっているのですみわけができています。小さな町ではそもそも警察がいないので、保安官(保安官代理)が治安を担っていることになります。