respectの派生語は種類が多くてややこしいですが今回は副詞のrespectivelyと、形容詞のrespectiveの使い方について取り上げてみます。
ネイティブスピーカーに使い方を確認して、自然な例文を作成してもらいました。それでもなおrespectiveの使い方についてはややこしいといえます。
respectivelyの使い方
respectivelyは「それぞれ、各々」といった訳になりますが、使い方を言葉で説明するよりも、実際に例文を見てもらったほうがわかりやすいと思います。
The donut and coffee cost 130 yen and 150 yen respectively.
そのドーナツとコーヒーはそれぞれ130円と150円だ。
Mission Impossible and Die Hard star Tom Cruise and Bruce Willis respectively.
『ミッション:インポッシブル』と『ダイ・ハード』は、それぞれトム・クルーズ、ブルース・ウィリスが主演している。
Tom Cruise and Bruce Willis are two of Hollywood’s biggest stars, the stars of Mission Impossible and Die Hard respectively.
トム・クルーズとブルース・ウィリスはハリウッドの最大級のスターの2人だ。それぞれ『ミッション:インポッシブル』と『ダイ・ハード』の主演だ。
以下はイギリスのニュースサイトがビートルズの全曲をランク付けしたときの記事からです。
Hits Let it Be and Hey Jude were also highly ranked at 15 and 20 respectively.
ヒット曲の『レット・イット・ビー』『ヘイ・ジュード』もまたそれぞれ15位、20位と高い位置にランクされた。
このように文末に来ることが多く、その前の何かの順序を受けてその順序のまま「それぞれ」といった意味になります。
一文、一文個別に主語+動詞で同じ内容を繰り返さずに、1回で同じ内容を伝えられる点で便利だといえます。
3つ以上の場合
3つに限らず、いくつでも使うことができます。しかし、文章が長くなるのでどれがどれに対応しているのか読みにくくなります。
Tom Cruise, Bruce Willis and Keanu Reeves are three of Hollywood’s biggest stars, the stars of Mission Impossible, Die Hard and The Matrix respectively.
トム・クルーズ、ブルース・ウィリス、キアヌ・リーブスはハリウッドの最大級のスターの3人だ。それぞれ『ミッション:インポッシブル』『ダイ・ハード』『マトリックス』の主演だ。
これを4つでも、5つでも使うことは可能ですが、読んでいるほうが誰がどの映画か混乱するので、あまりこのような使い方はおすすめしないそうです。
respectiveの意味と使い方
respectiveは形容詞で「それぞれの、各自の、個別の」といった意味で使われ、直後の名詞は複数形を用います。
基本的には以下の例文のような使い方をします。
After the conference, the participants returned to their respective countries.
会議の後で、参加者達はそれぞれの国へと帰っていった。
Each country is proud of their respective traditions.
それぞれの国は、それぞれの伝統を誇っている。
The teacher was well aware of the students’ respective backgrounds.
その先生は生徒たちのそれぞれのバックグラウンドによく気が付いていた。
respectiveとeachの違い
この違いについては、同じ内容の文章をどちらの単語を使っても表現できる点においては同じ意味だといえます。
まず大きな違いとして、後ろにかかる名詞がrespectiveは複数形ですが、eachは単数形になります。
それから文法上の制約がeachにはありeachを形容詞で使う場合には、冠詞・代名詞の所有格・指示代名詞と一緒に用いることができません。
each her friend
(このような書き方をしない)
したがって上の例文に登場する「their respective countries」をeachで書き直した場合に「their each country」といった何も考えずに言葉を入れ替えるだけの置き換えができません。
そういった基本的な違いをおさえたうえで以下のように書き換えることは可能です。以下は対になる形でほぼ同じ内容です。
After the conference, the participants returned to their respective countries.
After the conference, each participant returned to their country.
The teacher was well aware of the students respective backgrounds.
The teacher was well aware of each student’s background.
Each country is proud of their respective traditions.
Each country is proud of their traditions.
上にあげた対になっている例文にはわずかにニュアンス・意味の違いがあり、respectiveを使うとそれぞれが異なっていることを明確に意味します。
つまり参加者がtheir respective countries(それぞれの国)に帰るならば、アメリカ、イギリス、中国、日本と全員が違う国に帰ったことになります。
一方でeachを使うとおそらく別々の国に帰ったと思われる可能性が高いですが、文章だけで判断すると全員がアメリカに帰った可能性もあります。
生徒のバックグラウンドでいえばrespective backgroundsだと、ある生徒はお金持ちの家で育ち、別の生徒は母子家庭だったのように、個々に違うことを意味します。
しかしeach student’s backgroundだと、それぞれが同じような「母子家庭」で育ってきた可能性などもありえます。
こういった意味で強引に日本語訳をつけるならばrespectiveは「それぞれに異なる」と考えてもいいような気がします。eachは単純に「それぞれの」です。