素材や原料に対して「~からつくられている」を表現する時にmade ofとmade fromのどちらを使うかは非常に複雑な問題だといえます。
日本人が書く説明とネイティブが書く説明で食い違いがあったり、またネイティブ同士でも人によって説明が異なっているケースがありました。
全般的にいえるのは解釈に幅があってネイティブでも人によって見解がずれる要素がある点と、これはmade ofでこっちはmade fromとすぱっと割り切れないグレーゾーンの部分があります。
長時間にわたってネイティブスピーカー(カールとスティーブ)にヒアリングをして意味を確認したものを整理しています。
突き詰めると微妙な差がありますが、受験英語や日常会話ではそこまでの知識や感覚を必要としません。ネイティブに共通していたのは「会話レベルでは誰も細かいことは気にしていない。どっちでもいいよ」という部分です。
以下は説明を「初級」「中級」「上級」に便宜的にわけているので、飽きた段階で飛ばしてください。上級編は整理しきれない部分もありますが、最後までお付き合いしていただける方は読んでください。
この記事の目次!
made of / made fromの違い
「made of」と「made from」に加えて「come from」の違いについては順番に初級編として書いていきます。
made of
made ofの後ろには「材料・材質」がきます。見た感じで何でつくられているか明らかなものです。英語で考えると「substance」にあたるものです。
This table is made of wood.
このテーブルは木から作られている/木製だ。
My jacket is made of leather.
私のジャケットはレザーでできている。
made from
一方で「made from」はある物体から別の何かに「変化」させた時に使います。
ブドウから作るワインや、米から作る日本酒などがわかりやすいです。何か元がよくわからない状態で、完全に別のものに生まれ変わっています。
英語では「object」にあたるものです。ある独立した物から、また別の物への変化です。
Wine is made from grapes.
ワインはぶどうからできている。
Sake is made from rice.
酒は米からできている。
Yogurt is made from milk.
ヨーグルトはミルクからできている。
例えば写真にあるジューサーで絞ったオレンジジュースなどはmade fromを使います。
The juice is made from oranges.
このジュースはオレンジからできている。
ジューサーを絞っているのを目の前で見ていたらオレンジジュースの材料がオレンジであることは明らかですが、物体・果実としてのオレンジがジュースという液体になっている点で、ある物からまったく別のもの物への「変化」であると考えmade fromになります。
どちらでもいけるパターン
中にはどちらでもいけるものがあります。
オムレツなど卵を材質・材料としてみるか、卵が別の物に変化しているものとして見るかで、少し解釈に幅が生まれます。
An omelet is made of eggs.
オムレツは卵でできている。
An omelet is made from eggs.
オムレツは卵でできている。
オムレツの素材・原料が卵であると考え「made of」を使うか、卵という物体がオムレツという別の物に生まれ変わったとみて「made from」と考えるか、これはどちらでも可能です。このあたりネイティブスピーカーでも解釈がわかれる要素です。
またチョコレートなども判断が微妙なところでどちらでもOKだといえます。
Chocolate is made of cocoa, sugar and water.
Chocolate is made from cocoa, sugar and water.
チョコレート、オムレツなどはカールもスティーブも共にどちらでもOKだろうと判断しています。
come from
come fromは意味そのままで「~から来ている」となり起源、源などを指します。
Milk comes from cows.
牛のミルクなどは、牛そのものを殺して加工して牛乳にしているわけではなく、牛が素材でもありません。牛が生み出したものです。
指している範囲が広いので一部で「made from」とも意味がかぶっています。
法則通りにいかないパターン
もう少しつっこんで書いてみます。ネイティブの感覚、言葉のとらえ方としては面白いですが、受験英語などにはあまり関係ありません。ただmade fromのとらえ方としては興味深い領域です。
たとえば、写真のような古いタイヤをテーブルに作り変えたものがあります。
この場合は以下のように表現します。
This table is made from an old tire.
素材が原形をとどめているし見た目にタイヤだとすぐわかるので木製のテーブルと同じ発想で「made of」ではないかと何度も確認したのですが、ポイントになる要素として使用目的の「変化」もmade fromに含まれているようです。
本来、車を走らせるためのタイヤが食事をするテーブルに置き換わっているため、外見では同じように見える場合でもある物からある物への「変化」をともなうのでmade fromを使ったほうが自然だという判断です。
これについてはカール、スティーブともに同じ意見でした。
また氷を表現する場合も以下の形になります。
Ice is made from water.
これも液体から固体へと変化している、異なるものになっているためだそうです。
異ならない部分をとるなら以下の表現は可能です。こちらは素材、材料としての表現です。
Ice is made of H2O.
made ofは姿・形だけでなく存在意義や役割も含めて「変化」していることを含む表現だといえます。
おそらく、このあたりも「変化」の解釈の幅に個人差があり、人によって説明が食い違ってくる部分が出る原因になっているのではないでしょうか。
全パターンを検証する
以下はどれが自然な英語になるのかを全パターンで検証してみました。ざっくりと以下のような前提があり、ネイティブスピーカーに文章を判断してもらいます。ここから上級編です。
come from
起源・源
made from
起源または原料、変化を伴うもの
made of
材料(見た目が明らかなもの)
以下の表現パターンを検証してみました。
◎ベストで正しい適格な表現、〇普通の正しい表現、△言う人はいるかもしれない、▲普通のネイティブならいわないけど間違いとは言い切れない、×明らかな間違いです。
牛乳は牛から来ている
先に紹介したように、牛乳は牛を殺して加工したようなものではないので起源・源を表す「come from」がベストです。
◎Milk comes from cows.
△Milk is made from cows.
×Milk is made of cows.
牛肉は牛からできている
◎Beef comes from cows.
◎Beef is made from cows.
△Beef is made of cows.
これを牛のひき肉(hamburger)に変えてみます。ここでのハンバーガーとは北米英語の牛のひき肉(ミンチ肉)です。
△Hamburger comes from beef.
◎Hamburger is made of beef.
〇Hamburger is made from beef.
後ろのbeefをcowに変えてみます。
◎Hamburger comes from cows.
◎Hamburger is made from cows.
▲Hamburger is made of cow.
本当はもっと複雑でcowを単数形にするか複数形にするかで少し意味合いが変わってきます。
トヨタの車
この場合などトヨタは別に車の材質でも原料でもないので明らかです。
◎These cars come from Toyota.
▲These cars are made from Toyota.
×These cars are made of Toyota.
もう少し他のネイティブスピーカーにもヒアリングなどしてみたいですが、突き詰めると複雑になります…。