2016年のはじめにアメリカの宝くじ「パワーボール」で史上最高の15億ドル(約1800億円)の当選者が出て話題になりました。
当選者(6桁全ての数字を当てた勝者)が一人だけの場合、29年に渡る分割支払い15億ドル(約1800億円)をもらうか、もしくは9億3000万ドル(1116億円)を一括でもらうかの選択肢を与えられます。
6桁全ての数字には、2億9千2百万分/1の確率で当選することがあります。
パワーボールの仕組み
日本のロトの当選上限額が8億円と決まっているのに対して、アメリカの宝くじはリミットがない上に当選者がいなければ賞金が繰り越しになるので、このような前代未聞の金額となっています。
ルールは、1~69までの数字から5つ、1~26までの中から1つ、計6つ(5つ+1つ)の数字の組み合わせを選ぶ仕組みで、6つ全ての数字が当たる(ジャックポット)確率は約3億分の1です。
6つ全て当たらなくても5つ、4つ+パワーボール(6つ目の数字のこと)、4つ、3つ+パワーボール、と言う風に小当たりで9賞まであり、それぞれに賞金が出るのも人気の理由の1つです。
ジャックポットが3名でたので、約1870億円を均等に分けて1人約620億円の配分です。
このクジは販売した店にも賞金がでるので、機械設置やメンテナンスなど費用がどれほどかかるのか分かりませんが、スーパーに限らずガソリンスタンドやコンビニまで置くのが当たり前です。
今回カリフォルニアのコンビニには1億1800万円が入りました。それだけでも膨大な収入なのがうかがえます。
外国人でも購入可能
日本現地では海外のクジを買うことは禁じられていますが、このパワーボールは海外からの観光者だけでなく非居住者ですら購入することができます。
つまり日本にいる人もアメリカに来れば買えるということで、現にカナダから入国して買う人達もいたためアメリカ国民を含んだ大量の購入者が殺到し、クジをプリントする用紙が切れた販売所が各地で出ました。
しかし外国人が当てると、アメリカのSSN(Social security number: 社会保障番号)を取得し、納税プロセスを開始しなければならず、色々面倒くさいことになるのは確実です。
日本は一括払いしかないようですが、アメリカでは一括か分割か選択することができます。一括だと賞金の60%ほどしか受け取れず、分割だと全額を30年ほどに渡ってもらうので分割の方が得なのですが、一括を選ぶ人が多いようです。
年齢や生活状況によっても変わると思いますが、いざ大金を前にすると一気に手に入れたい心境になるのかもしれません。
当選金に税金がかかる
また一番大きな違いが税金です。日本の宝くじは非課税対象なので、1億あたったらまるまる1億が手に入ります。
しかしアメリカは$600以上になると所得税が発生し、連邦税約35~40%+州税(3~11%)+地方税(地域によってある所と無い所があり、5%前後)、を差し引いたものを受け取り、それを収入として確定申告してまた税金を納めるので、手元に残るお金はだいぶ減ります。
上記で3等分して620億円と述べましたが、大まかな数字でそれが確定申告前で300億~370億円になるということです。
不幸になってしまうの?!
アメリカで宝くじに当選した人々のほとんどが数年で全額失って自己破産し、悲惨な経験を経て不幸になるのがお約束になっています。
家族がバラバラになり、友人を失い、自分が狙われるだけならまだしも家族や親戚も殺されるケースもあるので、最後には二度と億万長者になりたくないと口を揃えて言うようです。
それは日本が匿名で受け取れるのに対して、アメリカはほとんどの州が実名と住所の公開を義務付けており、顔写真まで報道されることもあるからです。身元確認とクジが偽物ではないことを公に証明する為でもありますが、それでは家族も苦労しますし強盗に狙われても当然です。
実例としてイギリスのケースですがニュースでも取り上げたことがあります。あわせて万が一、億が一で当たってしまった場合の対処も記事にしました。
今回の抽選終了から1週間経っても3人のうち1人しか名乗り出ていないのが理由を物語っています。
当選者の「その後の不幸な人生」はもはや常識なので、運営側も匿名にすれば良いことに気づいているはずなのですが、匿名だと夢の話なのか何なのか今いち現実味がありませんし、それでは購買者を刺激できずビジネスになりません。
現に、当選者の多くは経済的に不安定で仕事掛け持ちやバイトで繋いでいるなど、親近感が沸くというか現実的な存在になるため、一瞬にして億万長者になるというのはアメリカンドリームの1つと言えるのでしょう。
宝くじ以外の抽選やクジ引きも細かく分類可能なので上の記事にまとめています。