専門用語を意味する英語は「term」を使うのが無難です。医療用語ならば「medical term」となり、格闘ゲーム用語なら「fighting game term」といった組み合わせです。
それ以外にもlingoは「業界用語」といった意味で、みんな知ってはいるけれど使うのはその業界に所属する人ぐらいのイメージです。jargonは「高度な専門用語」「隠語」みたいな感じで、普通の人は知らないものや聞いてもわからないものに使われる傾向があります。
lingoとjargonの境界線などは曖昧ですが、ネイティブスピーカーに聞いてみた「専門用語」という英語の使い方をまとめています。
term(ターム・用語)の意味と使い方
termは単純に日本語の「用語」と考えてもいいと思います。〇〇 termでさまざまな特定の業種・業界・産業の用語を表すことができます。
medical termといえば「医療用語」であり、police termで「警察用語」となります。いろんな専門用語、業界用語、隠語まで含めて表すことができる無難な表現だと思います。
This term is often used in America.
この用語はしばしばアメリカで使われる。
The book uses a lot of medical terms.
その本は多くの医療用語を使っている。
termについてはwordなどとの違いをまとめた記事があります。
lingoの意味と使い方
lingoは「業界用語、専門用語」のような意味で、特定の分野・世界・職業における専門用語、仲間内で使われるスラングのことです。
lingo【líŋgou】
感覚的には一般人でも映画やドラマなどを通して知っているけれども、その業界の人以外はあまり使わないような用語です。警察が犯人を「ホシ」と呼ぶことなどです。
M.O. is police lingo for the way a criminal behaves.
MOは警察用語で犯罪者の行動様式/やり方だ。
M.O. はラテン語の「modus operandi」からきている言葉で「犯人は犯行現場にバラの花を置く」とか「この犯人は必ず風呂場の窓から侵入する」といった特徴づける行動を指す用語だそうです。ドラマなどでよく登場する単語です。
Break a leg is actors’ lingo for “good luck.”
「足を折れ」は俳優の用語で「グッド・ラック」だ。
ショービジネスの業界では古くから「Break a leg. (足を折れ、骨折しろ)」が「Good luck」の意味で使われています。一種の迷信で逆のことが起こるので、悪いことをいっておけば、その逆の良いことが起こるだろうといった話です。
jargonの意味と使い方
jargonも似た意味ですがこちらはより「高度な専門用語」「隠語」のような意味で、その職業・業界の人以外には意味も理解できないようなものを指します。
先の「足を折れ」「M.O.」などはみんな知っている有名な言葉なので、こういうのはあまりjargonとは呼ばない傾向があります。
jargon【dʒɑ́rgən】
The doctors were talking but I couldn’t understand all the jargon they were using.
医者たちは話していたが、私は彼らが使っている(高度な)専門用語がぜんぶ理解できなかった。
“623” is fighting game jargon for a shoryuken stick movement.
昇竜拳のレバー操作の「623」は格闘ゲームの用語だ。
格闘ゲームではレバーの操作の方向を電話機のパネルのような感じで「5」を中心とした9つの数字で説明する時があります。これらはtermであり、lingoでもありますが、jargonであると考えてもいいと思います。
その業界にいないとチンプンカンプンな言葉であり、日本だと昔のプロレス業界で相手を流血試合にすることを「ジュース」と呼んだような使い方です。
term, lingo, jargonの違い、使い分け
厳密な使い分けのルールはないので、ネイティブスピーカーに聞いた感覚として使い分けの参考にしてください。
感覚的には「term(用語・専門用語)」「lingo(業界用語)」「jargon(隠語・高度な業界用語)」みたいな感じぐらいでしょうか。
The book uses a lot of medical terms.
The book uses a lot of medical lingo.
The book uses a lot of medical jargon.
その本には多くの医療用語/隠語が使われている。
medical termは医療用語です。medical lingoだと医療関係者しか使わない医療用語や業界用語がいっぱい、medical jargonだと医療関係者しか使わず普通の人が読んでもわからない最も難易度が高そうな感じはします。
具体的な用語を取り上げて比べてみます。以下の例文もどれでもOKです。
“623” is fighting game jargon for a shoryuken stick movement.
“623” is fighting game lingo for a shoryuken stick movement.
“623” is a fighting game term for a shoryuken stick movement.
昇竜拳のレバー操作の「623」は格闘ゲームの用語だ。
先ほどの格闘ゲームのレバー操作ではどれを使っても問題ないと思います。
〇 “Yield” is a farming term for the amount of crops.
△ “Yield” is farming lingo for the amount of crops.
△ “Yield” is farming jargon for the amount of crops.
「Yield」は作物の収穫高を表す農業用語だ。
yieldはもともと「収穫高」のような農業用語の意味があります。これをtermで表現するのは問題ありません。
しかし、lingo(業界用語・専門用語)と呼ぶにはすでに普通の人も使っている言葉です。jargonと呼ぶには、みんな理解できます。lingoやjargonと呼ぶほどではないという意見です。
〇 “M.O.” is a police term for the way a criminal behaves.
〇 “M.O.” is police lingo for the way a criminal behaves.
△ “M.O.” is police jargon for the way a criminal behaves.
MOは警察用語で犯罪者の行動様式/やり方だ。
これもtermは事実なので問題ありません。lingoも業界人のみが使い、みんな使わないけれど意味はわかるぐらいのレベルです。だからといってみんなわからない高度な専門用語のjargonと呼ぶほど大げさではないといった話です。
日本の警察用語で「ホシ」「ガイシャ」などはもうすでに隠語ではなくなっているので、それと同じ感覚でjargonと呼ぶほどでないのが「M.O.」です。このあたりは人によって許容範囲が違うと思います。