「in the course of」と「over the course of」は「~の過程で、~の最中に、~の途上で、~の間に」であり基本的にはどちらも意味は同じです。courseは行程、経過、進路などのコースのことです。
あまり会話では見られない表現だといえ、単に「during」「in」「over」などで置き換えても意味は同じです。
絶対に使わないといけない理由がさほどない感じはあります。ここでは使い方や他の表現との違いなども含めてまとめました。
in the course ofの使い方
「~の過程で、~の最中に、~の途上で、~の間に」の意味で、後ろに続く出来事の途中でといったことを表します。
In the course of this project, I learned a lot about insects.
このプロジェクトの間に、昆虫について多くのことを学んだ。
In the course of eating dinner, I noticed several famous people eating in the restaurant.
夕食を食べている間に、何人かの有名人がレストランで食べていることに気づいた。
フランス料理のコースなどもcourseで料理の文章と一緒に登場すると少し混乱するかもしれません。
over the course ofとの違い
「over the course of」の表現もまた一般的です。この違いについてネイティブスピーカーに確認すると感覚的には「in」も「over」も大きな差は感じられないといった意見でした。
確かに一般的にoverのほうが「全体に渡って」のイメージがあるので、そのコース全体・過程全体で何かがあったことをイメージさせるという理屈はつきます。
しかしながら、inとoverを置き換えたところで、overの意味が強調されるかといえばそうでもないといった意見です。
In(= Over) the course of this project, I learned a lot about insects.
このプロジェクトの間に、昆虫について多くのことを学んだ。
上の例文の場合には指している内容は基本的には同じです。
overだと「そのプロジェクトの過程全般で昆虫について学んだ」、inだと「そのプロジェクトのある部分で昆虫について学んだ(別の部分では魚について学んだ)」といった差があるのかといえば、あまり出ていないという意見です。
もしそのコース・過程の「全体」を強調したいならばthroughoutなどを使うことができます。
Throughout the summer I worked as a cook.
夏の間ずっと、料理人として働いた。
これらもduringやinで言ったほうが簡単で、会話では一般的です。以下の例文のように使えます。
During summer vacation, we visited the beach.
= Over the course of summer vacation, we visited the beach.
夏休みの間に、私たちはビーチに行った。
In my life I have never eaten natto.
= Over the course of my life I have never eaten natto.
私の人生の中で、納豆を一度も食べたことがない。
overとover the course ofの違い
over the course ofは基本的にはoverと同じような意味になります。overだけでも同じ意味になるので無理に使う必要もありません。
Over the summer, he worked in a steel factory.
= Over the course of the summer, he worked in a steel factory.
夏のあいだ、彼は製鋼工場で働いた。
We talked about life over lunch.
= We talked about life over the course of lunch.
私たちはランチのあいだ、命/生活について話した。
ただoverは意味が広いため、over the course ofを使うほうがより意味が明確になる場合があります。
They made the movie over the course of ten years.
彼らは10年の間にその映画を作った。
10年という期間にわたって映画を作ったという意味です。
They made the movie over ten years.
(10年の間? 10年以上?)
overには「〜を超えて、〜より多く」の意味があるので「10年以上かけて」映画を作ったのか「10年という期間にわたって」映画を作ったのかがあいまいです。
以下の例文でも同じ構造になります。
We talked about Thursday over the course of the rest of the week.
私たちはその週の残りの日々で、木曜日について話した。
木曜日に何かイベントがあって「木曜日どうしようか?」と金曜日~水曜日に話したことになります。
We talked about Thursday over the rest of the week.
(木曜日以外の日に? 木曜日が好き?)
上の例文だとover the course ofの意味にくわえて、もう1つ「ほかの曜日をこえて、いかに木曜日がいいのか? ほかと比べてなぜ木曜日がいいのか?」みたいな解釈もできます。
overは特に意味がいっぱいあるので解釈に幅が生まれる点は注意が必要です。
duringとの違い
基本的にはduringと同じ意味で「〜の間に」を表します。in the course ofはあまり会話では使われない表現であり、理由は単純にduringのほうが短く言いやすいからです。
in the course ofは何らかの行動や活動など、時間的にそんなに長くない期間に対して使われる傾向があります。
○ During summer vacation, we visited the beach.
夏休みの間に、私たちはビーチに行った。
△ In the course of the summer vacation, we visited the beach.
夏休みの間に、私たちはビーチに行った。
下段の例文はやや自然さに欠ける部分がありますが間違いではありません。summer vacationのような期間の長いものにはduringが使われやすい程度です。
そもそもこの場合も「in the summer vacation」だけで十分に伝わる話であり「the course of」をつけないといけない理由がさほどありません。