in case (of)や just in caseは大きな意味としては「~に備えて、~の場合に備えて」といった意味になります。
しかし「~の場合には」の意味にもなります。それぞれ近い意味ですが少し文法上の扱い、用法が異なります。
in the case ofのtheのあるなしなど、少し日本人にはなじみの薄い部分もありますが、例文を交えて順番にご紹介します。
この記事はネイティブスピーカーのカナダ人のスティーブにヒアリングを行いながら書いています。
後半少しややこしい内容になっているので必要のない方は読み飛ばしてください。
in case
「~に備えて、念のため~に備えて」を意味しますが、後ろに節(主語+動詞)をともないます。文章が続くと思ってください。
I brought a lot of snacks in case you get hungry.
私はあなたがお腹が空く場合に備えて軽食をたくさん持ってきた。
She always carries a knife in case someone attacks her.
彼女はいつも、誰かが万が一襲ってくるのに備えてナイフを持ち歩く。
in case of
こちらも意味は同じく「~に備えて、念のため~に備えて」ですが、後ろに名詞をともなう場合にのみ使われます。
She wants to get insurance in case of an accident.
彼女は事故に備えて保険に入りたい。
Break this glass in case of fire.
万が一火事の場合にはこのガラスを割りなさい。
just in case
in caseと日本語訳としては同じですが、何に備えるかというはっきりとした理由がない場合にはjust in caseが使われます。
I always keep extra batteries in my home just in case.
もしものときに備えて、私はいつも家に予備のバッテリーを保持している。
具体的には何とはわからないけれど、地震や停電などの非常事態に備えて家に予備のバッテリーをいつも置いているということです。
「~に備えて」なのか「~の場合には」なのか?
以下、少し複雑な話になっているので必要のない方は読む必要はないと思います。
基本的には上にご紹介した「~に備えて」の意味ですが、状況によっては「~の場合には」の意味になります。
この区別が時制と文脈によって影響されます。境界線はカジュアルな会話表現では特に曖昧になります。スティーブとも1時間以上話し合っていましたが、それでも整理しきれないぐらい難しい問題です。
in caseそのものが会話表現で使われ混同しやすい傾向もあるため、「~の場合には」を表したいならば(when / if / in the event of)などを使ったほうが無難かもしれません。
以下の4つの例文を比較してみます。以下はネイティブスピーカーが自然に読んだときの解釈です。
In case of emergency the shutters will close.
緊急事態の場合には、シャッターが閉まるだろう。
In case of emergency the shutters (can) close.
緊急事態に備えて、シャッターが閉まる。
①は緊急事態になった場合にはシャッターは閉まるという意味です。こちらはWhenの意味です。
②は緊急事態に備えて、シャッターは閉まる機能があるといった意味です。canを入れるとより明確です。こちらは緊急事態が原因にもなっているのでbecauseの意味です。
ただどっちにしろ緊急になったらシャッターは閉まるので、結果としては近いことが起こります。
このようにちょっとした時制の違いで解釈が少し異なりますが、そもそも同じ表現なので解釈に幅があるともいえます。
使い方の例文
もう1つ例文を取り上げてみます。
In case of emergency I will save money.
緊急事態になった場合には、私はお金を貯めるだろう。
In case of emergency I save money.
緊急事態に備えて、私はお金を貯めている。
③は緊急事態になってから貯めはじめるダメな感じの計画ですが文章としては可能です。
このように時制によって解釈が変わってくるので非常に扱い難い言葉だといえます。
しかしこういった解釈の幅や会話表現の崩れ方を抜きにすれば基本的には「~に備えて」の意味で問題ないと思います。
I will bring a jacket in case it is cold.
寒いことに備えて、ジャケットをもっていくだろう。
上の例文の場合には100%ジャケットを持っていきます。その時の状況は関係なく、寒いことに「備えて」持っていきます。
これをifやin the event(of)で書くと「~の場合には」の意味になり「寒い場合には持っていく」となり、温かい場合にはジャケットをもっていかない可能性があります。
I will bring a jacket if it is cold.
I will bring a jacket in the event it is cold.
(寒くなかったらジャケットは持っていかないことを意味する)
他の表現(if / when / in the event of)との比較については長くなるので別記事にまとめる予定です。しばらくお待ちください。
in case ofとin the case ofの違い
これはどちらでも良いパターンと、置き換え不可能なパターンの両方があります。
まずそれが一般的な状況について話しているならば冠詞の有無はどちらでも問題ありません。一般的なよくあることなので、雨、風、災害などがそうです。
I’m carrying an umbrella in the case of rain.
I’m carrying an umbrella in case of the rain.
I’m carrying an umbrella in the case of the rain.
I’m carrying an umbrella in case of rain.
雨に備えて、傘を持ち歩いている。
In case of emergency the shutters will close.
In the case of emergency the shutters will close.
In case of an emergency the shutters will close.
In the case of an emergency the shutters will close.
緊急事態の場合には、シャッターは閉まる。
ネイティブスピーカーに確認してもらいましたが4パターンで変わりはありません。しかし「in the case of the rain. 」といった冗長な言い回しが必要かどうかは議論があります。良い文章とはいえません。
置き換えられないパターンは具体的なケースについて話している場合で「〇〇の場合には」の〇〇に特定の誰かが明確に入る場合には、冠詞の省略などができません。
There are many countries with prime ministers, but in the case of the USA, they have a president.
多くの国々には首相がいる。しかし、アメリカの場合には、彼らは大統領をもっている。
Many people like different types of music. In the case of me, I like rock.
多くの人々が異なるタイプの音楽が好きだ。私の場合には、ロックが好きだ。
上の例文の場合にはin case of USAやin case of meとすることができません。
In the case of… = In 〇〇’s case..
=There are many countries with prime ministers, but in the USA’s case, they have a president.
上のような書き換えが成立してしまう場合には、必ずin the case ofを使う必要があります。