すでにカタカナでも広く使われているdark(ダーク)は名詞と形容詞で「闇」「暗い」といった意味を表す言葉です。darkness(ダークネス)は名詞で「闇、暗闇」です。
単に光がないことの意味の他にも、邪悪なことや、何もわからない状況を指して広くイディオム、熟語としても用いられる言葉です。
代表的なdarkとdarknessの使い方を例文にまとめています。発音・読み方は以下の音声ファイルを参考にしてください。
dark【dɑ́ːrk】
darkness【dɑ́ːrknəs】
この記事の目次!
darkの名詞での意味
明かりが少ない、もしくは明かりのない場所を指し、名詞で「闇、暗闇、暗がり」です。
My son is afraid of the dark.
私の息子は暗がりを怖がる。
She looked around in the dark for her smartphone.
彼女は暗闇でスマホを捜して周囲を見回した。
pitch dark(真っ暗闇)
「ピッチ(pitch)」とは日本でも工事現場などで見かける真っ黒なタールに似た物質です。正確にはコールタールなどを蒸留した後に残る黒褐色の粘質物のことです。
しばしば、このpitchが黒系(blackやdark)を強調して使われるので「真っ黒、真っ暗闇」といった意味になります。
The power went out, so I sat in the pitch dark for two hours.
電源が切れたので、私は真っ暗闇で2時間座っていた。
She wore a pitch black dress.
彼女は真っ黒なドレスを着ていた。
日暮れ
夜の始まりのことで名詞で「日暮れ」の意味もあります。
Be home before dark!
日暮れまでには家に帰っておきなさい!
暗くなる前に帰っておきなさいと親が子供に言うような言葉です。
He always gets home from work after dark.
彼はいつも日が暮れてから仕事から帰ってくる。
before darkで夜の始まりの前、after darkで夜の始まりの後のことです。after darkは村上春樹が地下鉄サリン事件を取材した作品のタイトルにもなっています。
darkとdarknessの意味の違い
名詞で使った場合にはどちらも闇、暗闇といった意味では同じで、置き換えても問題ないケースもあります。
感覚的にdarknessのほうが重々しい感じ、表現としては詩的、文芸的な感じがします。以下の文章などは同じです。
She woke up in the dark.
She woke up in the darkness.
彼女は暗闇(夜)で目覚めた。
いくつか置き換えられないケースもあり、色の程度を指して「暗さ」といった意味の場合です。
I like the darkness of that color.
あの色の暗さは好きだよ。
I like the dark of that color.
(この言い方をしない)
また次に紹介する「暗い」といった意味では当然、darkを使います。
His shirt is dark blue.
彼のシャツは暗い青だ。
His shirt is darkness blue.
(この言い方をしない)
これ以外にも熟語・イディオムになっているものは置き換えることは普通はしません。
darkの形容詞での意味
形容詞では日本語と同じような感覚で黒が入ったような暗い感じを指します。
He wore a dark blue tie to the meeting.
彼はミーティングで暗い青のネクタイをしていた。
Her hair is dark brown.
彼の髪の毛は暗い茶色だ。
邪悪な、悪意に満ちた、不快な
「邪悪な、悪意に満ちた、不快な」なども意味します。こちらも形容詞です。
That was a dark time in the country’s history.
あれはその国の歴史の中で悪意に満ちた時代だった。
That family hides a dark secret.
あの家族は邪悪な秘密を隠している。
in the dark
in the darkで何かを知らないことを表します。形容詞で「何も知らない、秘密の」といった意味です。
I’m totally in the dark about politics.
私は政治についてはまったく何も知らない。
She kept her boyfriend in the dark about her family.
彼女は彼氏に、自分の家族について秘密にしていた。
この「何も知らない」の意味で使う場合は通常はbe in the darkかkeep in the darkになります。
普通に動詞と一緒に使うと単に「暗闇で」の意味にもなります。
He plays golf in the dark.
彼は暗闇でゴルフをする。
shot / leap / stab in the dark
これらの形で、ほとんど手助けされることなく成功する可能性も低い何かを試みたり推測したりすることを表します。「向こう見ずな行動、一か八かの行動」といった意味です。
それぞれの意味としてはshot(発砲・射撃)、leap(跳ぶこと・跳躍)、stab(刺すこと)ですが、実際に撃ったり跳んだりするわけではなく暗闇である必要もなく、こういう比喩表現です。
shot / leap / stabのどれを使っても同じ意味を表せます。
The city took a leap in the dark and elected someone with no political experience as their mayor.
市は向こう見ずな行動をとり、政治経験のない人を市長として選出した。
I don’t know her, but I’ll take a shot in the dark and say she is an artist.
私は彼女を知らないが、当てずっぽうで彼女は芸術家だと言うだろう。
He knew nothing about microwaves, but he took a stab in the dark and tried to fix it.
彼は電子レンジについて何も知らなかったが、一か八かそれを修理しようとした。
dark horse
その実力がよくわからない挑戦者を指し、「ダークホース、未知の実力を持つ競争相手」などを意味します。
The actor was a dark horse in the election.
その俳優は選挙でダークホースだった。
There are a few dark horses in this year’s tournament.
今年のトーナメントには何人かのダークホースがいる。
dark side(ダークサイド)
カタカナのダークサイド(暗黒面)のイメージでも使え、良さそうで楽しそうに見えるけれども内心では気落ちしている、あるいは悪意に満ちている人物や状況を表します。
Many comedians appear happy on stage but have a dark side in their personal lives.
多くのコメディアンは舞台では楽しそうだが、私生活ではダークサイドを持っている。
コメディアンは楽しそうに見えるけど私生活では実は気落ちしていたりするといった意味です。
The idol’s book exposes the dark side of the music industry.
そのアイドルの本は音楽業界のダークサイドを暴露している。
単なる例文ですが、音楽業界ではドラッグやセクハラなどが蔓延していて崩壊しているといったことを暴露しているという意味です。
dark side of the moon
地球から遠いほうの月の側面、月の裏側を指します。
「dark side of the moon」のdarkは「no light(光がない状態/暗闇)」よりもむしろ「unknown(知られていない、未知の)」を意味します。
かつては地球からは月の表側しか見えておらず裏側を見ることができなかったため、月の裏側は「dark/unknown side」と呼ばれていました。
しかし1959年に旧ソ連が月の裏側の写真を撮ることに成功し、それ以来、多くの写真を通して裏側の様子も分かるようになりました。
No one had seen the dark side of the moon until 1958.
1958年まで月の裏側を見たことがある人はいなかった。
The dark side of the moon has many craters.
月の裏側には多くのクレーターがある。
写真が撮られる前までは裏側は確かにunknownでしたが、今ではunknownの状態ではありません。また太陽は月の裏側も照らしています。
「dark side of the moon」は裏側は光が当たらず暗いと誤解させてしまうこともあり、少しややこしいです。
もうunknownではないという状況も含め、「far side of the moon(月の遠いほうの面)」の表現に変えたほうがいいと考える人もいるようです。
BBCやワシントン・ポスト紙など英語のニュースサイトをいくつか確認しましたがdarkもfarもどちらも見られました。
The far side of the moon has many craters.
月の裏側には多くのクレーターがある。
dark chocolate
日本チョコレート・ココア協会によるとダークチョコレートはビターチョコレートとも呼ばれ、基本的にはミルク(乳製品)が入らない、カカオマスが40~60%のチョコレートのことです。
ミルクが少し入っていることもあるようですが、糖分や乳製品分が少なく苦味の多いチョコレート全般を指すようです。
カナダ人のスティーブはdark chocolateは他の種類のチョコレートと比べて砂糖がかなり少ないもの、もしくは無糖のもので、結果的には味も苦くなる(bitter)と言っていましたが、どういった成分のものをダークチョコレートと定義するかは国によって異なります。
dark humor(ダークユーモア)
dark humorあるいはdark jokeは人の死やgrim(冷酷な、残忍な、ぞっとするような)な話題をユーモアとして扱うことです。意味合いとしてはブラックユーモアと同じです。
しかしアメリカ、北米でblack humorに限らず「black」といえば「黒人の」を指す傾向があります。誤解が生じないようにdark humorと言うことができます。
black humor(ブラックユーモア)は決して和製英語ではなく、イギリスでもシェイクスピアの時代から使われている言葉ですが、今日のイギリスでも「黒人のユーモア」と解釈される可能性が高いそうです。