although / though / even thoughの違いについては、それぞれに共通する意味「~にもかかわらず」があるので、この意味で使っていれば置き換えることが可能です。
しかし、thoughは使い方が多いため、特定の役割で使われているthoughを、他の言葉に置き換えることができないと考えることができます。
ここではthoughを中心の軸として「thoughとalthoughの違い」と「thoughとeven thoughの違い」に焦点をあてて解説しています。
同じような意味の前置詞については『despite / in spite ofの違いと使い方』をご覧ください。
この記事の目次!
although / though / even thoughの違い
この3つの表現は共通する意味もあるので置き換えが可能です。しかし、それぞれにしかない意味・使い方があるためその場合は置き換えることができません。
少しややこしいので整理するために、意味を簡略化した図にしました。
例えば真ん中の3つの円が重なりあう部分は品詞は違いますが「despite(~にもかかわらず)」に近い意味です。この場合は3つに共通した使い方なので置き換えできます。
Even though it was winter, he went to the beach.
= Though it was winter, he went to the beach.
= Although it was winter, he went to the beach.
冬にもかかわらず、彼はビーチに行った。
しかし、それぞれにしかない使い方があるため、その場合は置き換えることができません。また少しニュアンスや細かな言葉の雰囲気の差もあります。
ややこしいのでまずは情報を整理しながらまとめました。ネイティブスピーカーに確認しても、この3つの差は簡単には分類できない難しさがあります。
特に会話だとコンマがどこに打たれているかわからないのでよけいに話し方や前後の物事の関係性が重要になります。ここでは順番に違いをとりあげてみます。
発音については以下の音声ファイルをご確認ください。
although【ɔː(l)ðóu】
though【ðóu】
thinkの過去形の「thought」と、スルーの「through」も間違えやすいですね。
thought【θɔ́ːt】thinkの過去形
through【θruː】スルー
althoughとthoughの意味と使い方
文頭に来た場合どちらも同じ意味で「~という事実にもかかわらず、~ではあるが、~だけれども、とはいえ、しかし」として使われます。
一般的にはalthoughのほうが書き言葉で、thoughは話し言葉で用いられる傾向があるとされますが、この境界線が曖昧になってきているため基本的には置き換えても問題ありません。
単純に考えると意味合いとしては「despite(~にもかかわらず)」「but(しかし)」と同じ役割でalthough / thoughを使わずにbutを使っても少し構造は変わりますが同じ意味はつくれます。
Although I went quickly, I was late.
I went quickly, but I was late.
急いで行ったにもかかわらず遅刻した。
Although she didn’t try, she won.
She didn’t try but she won.
彼女は努力しなかったけれども、勝った。
以下の様な使い方ができalthough / thoughを入れ替えてもらっても大丈夫です。
Although(=though) it rained that day, the opening ceremonies were very successful.
その日は雨だったけれども、オープニングセレモニーはとても成功しました。
The opening ceremonies were very successful, although(=though) it rained that day.
オープニングセレモニーはとても成功しました。その日は雨だったけれども。
これもbutでも同じようなことは表現可能です。
It rained that day, but the opening ceremonies were very successful.
その日は雨だった。しかしオープニングセレモニーはとても成功しました。
しかしthoughには、次に紹介するいくつかのalthoughにはない意味・使い方があるため、その場合は置き換えることができません。
althoughとthoughの違い
thoughは文章の最後でも使えますが、althoughは文章の最後では使えません。この場合のthoughは「however」に近い意味になります。
文法上の扱いはalthoughは接続詞のみ、 thoughは接続詞と副詞の使い方があります。
副詞で使っている場合は置き換えられません。
It was raining. I went to the beach though.
雨が降っていた。ビーチに行ったんだけれども。
× It was raining. I went to the beach although.
(*この使い方ができない)
以下「ステーキは好きだけどベーコンは嫌い」と同じことを言っていますので使い方の参考にしてください。
I like steak, but I hate bacon.
Although I like steak, I hate bacon.
Though I like steak, I hate bacon.
I like steak. I hate bacon though.
I hate bacon, but I like steak.
Although I hate bacon, I like steak.
Though I hate bacon, I like steak.
I hate bacon. I like steak though.
even thoughの意味と使い方
even thoughも「~にもかかわらず」の意味で、despite(前置詞)と同じ意味で使うことができます。冒頭に紹介した例文もそうです。
Even though it was winter, he went to the beach.
= Despite it being winter, he went to the beach.
冬にも関わらず、彼はビーチに行った。
Everyone likes that restaurant even though it’s expensive.
= Everyone likes that restaurant despite the fact that it’s expensive.
値段が高いにもかかわらず、みんなあのレストランが好きだ。
even thoughとthoughの違い
even thoughとthoughはすでに紹介した置き換えられるケースもありますが、置き換えると意味が曖昧になるケースが存在します。
I’m fat even though I diet.
私はダイエットをしているにもかかわらず、私は太っている。
上の例文はダイエットがあまり痩せることに貢献していないことになります。
これを単純にthoughに置き換えてしまうと、thoughの持つ他の意味も交じって複数の解釈が可能になります。
I’m fat though I diet.
① 私はダイエットをしているにもかかわらず、私は太っている(despiteの意味)
② 私は太っているけれども、ダイエットをしているよ(butの意味)
このように二通りの解釈ができてしまうため、even thoughの使い方によっては置き換えることができません。
I have two cars though one is broken.
私は2台の車を持っているが、1台は壊れている(butの意味)
I have two cars even though one is broken.
(この使い方は変です)
また副詞での使い方がthoughにはありますが、これもすでに紹介したように置き換えられません。
I’m fat. I diet though.
私は太っている。ダイエットをしているにも関わらず。
I’m fat. I diet although.
I’m fat. I diet even though.
(間違いです)
even thoughとthoughのニュアンスの差
結局のところ重要なのは2つの物事の関係性だといえます。2つの物事の関係が明確な場合は置き換えても問題ありません。
Though he might die, he climbed the mountain.
= Even though he might die, he climbed the mountain.
死ぬかもしれないにもかかわらず、彼は山に登った。
上の場合は「山に登る」と「死ぬかもしれない」が強く関係があります。
しかし、関係がはっきりしない場合には少しeven thoughとthoughでニュアンスに差がでます。
It’s sunny now, though it might rain later.
今は晴れている。後で雨になるかもしれないにもかかわらず。
上の例文だと単純に天候の変化を表しています。今は晴れているけれども後で雨になるかもという考えです。個人のカンや予測であり、背後にある感情はあまり読み取れません。
ここで「even though」を使うとより2つの物事に関連があることをニュアンスとして出します。
It’s sunny now, even though it might rain later.
今は晴れている。後で雨になるかもしれないにもかかわらず。
この場合にeven thoughを使うと「後で雨になるだろう」という根拠が感じられます。例えば天気予報がそういっていた、けれども今のところ空は晴れている意外性や驚きが含まれています。
もしくは、公園に行く予定があって後で雨になりそうだ。後で雨になるだろうけれども、それでも計画通りに私たちは公園に行くといった決意のような解釈も可能です。
もう1つ例文を書きます。
Everyone likes that restaurant, though it’s expensive.
みんなあのレストランが好きだ。高いにも関わらず。
上の例文の場合は値段が高いことと、みんなが好きな理由にあまり関連が感じられません。
Everyone likes that restaurant, even though it’s expensive.
みんなあのレストランが好きだ。高いにも関わらず。
この場合にはより強調・逆説の意味が強まり「高いにもかかわらず、品質がいいためそれを払ってでも食べたいぐらいにみんな好きだ(一般的にはみんな高いレストランは敬遠する)」みたいな意味が感じられます。
値段と好きなことに強く結びつきがある感じが出ます。