address(アドレス)といえば「住所」の意味で知られています。もちろん住所・アドレスとしての使い方が英語にもあります。
動詞でaddressを使った場合に「取り組む、対処する」の意味でも登場します。「issue」「problem」といった単語に対して用いられ「問題に対処する」となることが多いです。
他にも「挨拶をする、演説をする」といった使い方もあります。大統領や国王など偉い人の公式な場でも演説・挨拶に用いられます。これらの意味をまとめました。
住所を意味するアドレスと意味がまったく違うように感じますが、語源をたどってみるとわりと納得できる理由が見つかります。
住所・アドレス(名詞)
まず名詞での使い方は特に問題ないと思いますがカタカナでも使われる「アドレス、住所」のことです。addとも省略され、複数形はaddressesとなります。
I know her address.
彼女の住所を知っている。
She found his address from the video.
女性はその動画から彼の住所を割り出した。
He found my address through the office computer system.
彼は私の住所をオフィスのコンピューターシステムを通して見つけた。
現実世界の住んでいる家の住所以外にも「email address(メールアドレス)」のような使い方も可能です。もう少し広く「アカウント、アカウント名」ぐらいまでを指して使われるケースがありました。
日本語の会話でも「LINEのアドレス教えて?」がIDやアカウント名を指して使われますが、英語でもこれぐらいの感覚で使われています。
以下はアメリカのある女性がツイッターで大昔に「@DietDrPepper」というアカウントを作っていましたが、飲料のドクターペッパーを作る会社が買い取りたいといった希望を出しました。ここではツイッターのアカウントにaddressが使われています。
In January, the company that makes Dr. Pepper approached her to negotiate getting the address back.
1月にドクターペッパーを作る会社がアカウントを手に入れる交渉をするために彼女に接触した。
郵便物を人にあてる
名詞の住所の意味から、動詞で郵便物を人にあてるといった使い方もできます。この動詞での使い方はそのままの意味なのでわかりやすいです。
She addressed the letter to the president of the company.
彼女はその会社の社長への手紙に宛名を書いた。
The letter was addressed to me.
その手紙は私宛だった。
The package was addressed to the accounting department.
この小包は会計部宛だ。
動詞での使い方「取り組む、対処する」
ニュースでもよく動詞でaddressが登場して「取り組む、対処する」の意味になります。政治系のニュースなどに多く見られますが、issueやproblemなどと一緒に使われることが多いです。
We have to address the problem of climate change.
我々は気候変動の問題に取り組まなければならない。
She addressed the issue of gambling in Osaka.
彼女は大阪のギャンブル問題に取り組んだ。
My university thesis addresses several possible counterarguments that people may make.
私の大学の論文では、人々が抱くであろう、可能性のあるいくつかの反論に対処している。
They have also vowed to address the shortage of nursery schools by raising staff salaries.
彼らは保育園の不足についても、保育士の給料をあげることで対処することを明言している。
例文の雰囲気からも感じられるように少し堅い言葉で社会問題やビジネスの課題などによく使われます。
以下は実際に配信したニュースからで、ストーカー被害を警察に訴えていたにもかかわらず刺殺事件が発生したことで警察から正式に謝罪があった事件です。
The Tokyo police issued a formal apology to stabbing victim Mayu Tomita for failing to address her complaints that a stalker was threatening her.
警視庁は冨田真由さんが刺された事件に対して公式に謝罪を発表した。これは彼女のストーカーに脅されているという訴えに対処できなかったことによるものだ。
この意味ではdeal withなども近い意味になります。
動詞での使い方「話しかける、演説する」
もう1つ変わった意味があるなら「声をかける、話しかける」があります。これもある地点に向かっているイメージと共通します。
しかし、かなり堅苦しい言葉なので日常使いではありません。
The president addressed the nation.
大統領は国民に向けて話しかけた、演説をした。
The president’s address to the nation was moving.
大統領の国民への演説は感動的だった。
日本語の「話しかける」のカジュアルなイメージではなく、例文のように大統領が国民に対してといったレベルの雰囲気の話しかけるなので、ちょっと感覚が違います。誕生日に天皇陛下が行う談話なども「birthday address」と呼ばれたりします。
有名なリンカーンの人民の、人民による、人民のための統治で知られるゲティスバーグ演説も英語では『The Gettysburg Address』です。これは名詞でも使えます。
The Gettysburg Address is one of the most famous speeches in US history.
ゲティスバーグ演説はアメリカの歴史の中で最も有名なスピーチの1つだ。
あまり見かける使い方ではありませんが使い方としては存在しています。
話しかける / 呼びかける
個人が人に対して話しかけるという意味でも使えますが、やはりフォーマルな表現です。
You need to address your teacher as Mr. Smith.
あなたは先生をミスタースミスと呼びかける必要がある。
The shop clerk addressed me as “sir.”
その店員は私に「サー」と呼びかけた。
addressの語源
ネイティブスピーカーにaddressの感覚を聞いてみると「ある地点に向かっていく」というイメージがあります。
語源から考えるとaddressの「ad」の部分は前の方向に向かっていくイメージなので「to, toward」のような意味になります。
dressは大元の意味は「make straight(真っすぐにする)」で、語源としてはdirect(真っすぐな)などに突き当たります。
現在のdressには真っすぐにするという意味は失われていますが、軍隊用語の「dress up(整列する)」や現代でもまれに使う「(料理の)下ごしらえをする」などに大昔の意味が残っています。
服装のdress(ドレス)よりも動詞での「真っすぐにする」の意味のほうが古いです。真っすぐにすることは「整えること」でもあるので、このあたりからきちんとした服装のドレスにつながっています。
結果的に「ある地点に向かっていくイメージ、集中する感じ」「ある地点に人々の注目を集める行為」などでそこから派生したイメージがaddressを作っています。
確かにaddress(住所)もある地点に向かっているという点は共通しています。あわせてdressの使い方もご覧ください。