moral / morale / motivation / motiveの違い

moral / morale / motivation
 

公開日: 最終更新日:2021.10.12

moral(モラル)とmorale(モラール)は発音もスペルも似ていますが意味が異なる単語です。語源は同じラテン語になりますが、年代を変えて2回英語になった言葉で、そのたびに意味が少し違って用いられました。

私達がカタカナで使う「あいつはモラルがないよな~」がどっちを指すのか? という問題にもつながります。

他にも「やる気」などを意味するmotivation(モチベーション)やmotive(モーティブ)についても解説しています。

moral(モラル)の意味

発音は【mɔ́(ː)rəl】なのでカタカナにすると「モーラル/モラル」でしょうか。

moral 【mɔ́rəl / mɑ́rəl 】

名詞では「教訓、格言、金言」の意味があります。形容詞では「道徳的な、教訓的な、道徳上の、善悪の判断に関する、良心の、精神的な」の意味があります。

おそらく私たちが使っている「モラル」は道徳意識みたいなことなので、こっちの意味が近いはずです。

例文

The moral of the story is: Do not steal.

その物語の教訓は「盗むな」だ。

このように名詞で使うと「教訓」みたいな意味になるので、カタカナのモラルとは意味がずれている感じがします。

例文

He is a moral person.

彼は道徳的な人間だ。

以下のような使い方だと日本語の「道徳」に近くなります。

例文

Her parents raised her to be a moral citizen.

彼女の両親は彼女を道徳意識の高い人に育てた。

この信号無視をしない、ポイ捨てをしないといった道徳意識が高いような人を指します。形容詞だとカタカナに意味が近くなります。

道徳意識が高いこと、良いmoralに対して使われている形容詞は「good」「high」「strong」があります。一方で低い、悪いことには「loose」「bad」「low」あたりの言葉がよく使われます。

morale(モラール)の意味

発音は【mərǽl】と違いますがアクセントの位置も違います。カタカナにしてしまうと限界がありますが「モラール」が近いです。

morale【mərǽl】

名詞のみ存在しており辞書では「(同じチーム・組織などに属する人たちの)やる気、気力、士気、モラール」とあります。元々は軍隊でよく使われていたこともあったそうですが、今日ではビジネス用語としてよく見かけます。

例文

Morale is high in the company after the dress code was loosened.

服装の規則がゆるくなった後は、会社の士気は高い。

例文

We need to do something to improve morale.

我々はやる気を改善するために何かする必要がある

例文

They organized company events to increase morale.

彼らは士気を高めるために会社のイベントを企画した。

良い状態に使われる形容詞は「high」「good」あたり、悪いことには「low」「poor」がよく使われている単語です。

モラル(moral)とは意味が異なるので以下のような文章はややこしいですね。

例文

Our company has good morals.

わが社のモラル(道徳意識)は良い。

例文

Our company has good morale.

わが社のモラール(士気)は良い。

motivationとmoraleの違い

カナダ人のスティーブに「moraleって要するにmotivation(モチベーション)と一緒じゃないの?」と聞いてみましたが明らかに別だそうです。

彼の言葉をそのまま使うと以下のとおりです。

例文

Motivation is low.

=People aren’t working hard enough.

(人々は必死に働かなような状態)

例文

Morale is low.

=People aren’t happy.

(人々が幸せではないような状態)

moraleのほうがもっと全体的で土台にあるような感じのものだそうです。

例えば厳しい管理体制で重労働の会社があるとします。怒号が飛び交いますが、結果として従業員はテキパキと働いています。

こういう状態の会社は、従業員は働く気(motivation)はあるけれど幸せだとは思っていない(moraleがない)といった状況です。

極論するとムチでビシビシ叩いて「働け~、働け~」と脅した場合に、従業員は「働かないと殺される!」と思って働きます。

この手法はある意味で「motivationを高めている、motivationが高い」ともいえます。働く気を起こさせており、実際に働かないといけないと思っているからです。

しかしこういう人達は「moraleが高い」とはいえません。自分たちを幸せだとは思っていないからです。

日本語でモチベーションが定着してしまっているので、英語の単語を感覚で理解するのが非常に難しいです。

motivationとmotiveの違い

ややこしいことにmotiveという言葉もあり、同じく名詞で「動機、真意」として使われます。motivationとの違いがややこしいです。

motive【móutiv】

一般的にmotivationは普通はポジティブなことに使われるのに対して、motiveはネガティブなことに使われる傾向があります。

例文

Police arrested him for murdering his co-worker, but they don’t know his motive.

警察は同僚を殺したことで彼を逮捕した。しかし、動機はわかっていない。

例文

Police arrested him for murdering his co-worker, but they don’t know his motivation.

(こういう言い方をしない)

またどちらでも成立する文章はありますが、ニュアンスが違って伝わります。

比較例文

My motivation for studying English is to live in Switzerland.

My motive for studying English is to live in Switzerland.

私の英語を勉強する動機はスイスに住むためだ。

一般的にはこの場合はmotivationを使います。motiveを使うと何かやましいことや、不誠実な感じ、たくらんでいるような感じで伝わってしまう可能性があります。しかし文章としては間違いではありません。

motivational speaker

人に人生を良くしようという気持ちを起こさせるような演説をする職業の人で「やる気を起こさせる演説家、やる気を起こすのがうまい演説家」を表します。

例文

After retiring from basketball, Magic Johnson became a motivational speaker.

マジック・ジョンソンはバスケから引退したあと、やる気を起こさせる演説家になった。

例文

Nick Vujicic is one of the biggest motivational speakers in the world.

ニック・ブイヂは世界でもっともやる気を起こすのがうまい演説家の一人だ。



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