toを2、YouをUと書いて、「2 U(to you)」と表記するケースは歌のタイトルや歌詞でもよく見かけます。ほかにloveをluvと書いたり、古くから「IOU(I owe you)」で借用書などの意味で使われてきた言葉もあります。
数字やアルファベットで単語を置き換える手法は携帯電話やスマホの登場とは無関係に古くから英語圏で存在しています。
CとKの置き換えや車のナンバープレートの略字なども含めて代表的な英語のアルファベットの置き換えを整理してみました。
代表的な英語の置き換え
主に発音の類似をとって以下の様な置き換えがされます。有名なものではおもちゃの「Toys R Us(トイザらス)」などもそうです。
1 = won
2 = to, too
4 = for
8 = -ate
C = see
R = are
U = you
Y = Why
8はHと一緒にh8 = hate、Lと一緒にl8r = laterで使われることが多いです。
日本がガラケーだった時代、海外ではメッセージがテキスト量で料金が変わる従量課金だったこともあり、テキストを少なくするため(あるいは打つのが手間)に、このような表現が特に発達した背景もあるようです。
バンド名、曲名などでもこのような省略は見かけます。
2 Live Crew (Too Live Crew) やBoyz 2 Men (Boys to Men) などが該当します。
曲名では1980年代にプリンスがザ・ファミリーに楽曲提供して大ヒットした曲『Nothing Compares 2 U(Nothing Compares to you)』や、カナダの女性シンガー、アヴリル・ラヴィーンのヒット曲『Sk8er Boi(skater boy)』などがパッと思いつきますが、探せばいくらでも出てくると思います。
KとCの置き換え
英語では音が同じなのでKとCの置き換えが、何かの理由で言葉遊び的に使われることがあります。これは有名なドーナツショップの「Krispy Kreme(クリスピークリーム)」などです。
クリームのスペルが「Cream」ではなく「Kreme」であるのは、残したレシピにそう書かれていたため、そのまま使い続けているという理由です。クリスピークリームの創業者は高校にも行かずに働いていたため、本当にスペルを間違えていたといった背景があるみたいです。
他にもquick(速い)をkwikと置き換えたような看板はよく見かけることができます。
Loveとluvの置き換え
Loveとluvの置き換えなども古くから使われています。「I luv u.(I love you)」などの書き方です。
昔からのバンド名にもありますが、歴史としては数百年レベルで古く、イギリスで恋人に対する呼びかけに使われたそうです。
love, dear, honey, sweetheartあたりの「ねえあなた」という愛しい人への呼びかけです。
Can you get me a drink, luv?
飲み物をくれるかい?
ネットでも見かけますが実際の使用例、使われてきた歴史としてはかなり古いみたいです。
ナンバープレート
また国によっては自動車のナンバープレートに追加料金を払うと文字を選べるのでユニークなメッセージを込める人もいます。
T4 TWO
= Tea for two
「二人でお茶を」の意味ですが、ジャズのスタンダードナンバーとしてフランク・シナトラなどのカバーで知られる古いヒット曲です。
YRU L8
= Why are you late?
「なんで遅れた?」の意味でしょう。
IH8MYX
= I hate my ex (wife or husband).
元嫁・元旦那が嫌いだ、といったジョークっぽいメッセージになっています。
画像検索してみるとけっこう出てきて面白いです。何か過去にあったんでしょうね。
ナンバープレートの場合はおそらく数字とアルファベットを絶対に組み合わせる制約があるので「SM1LE」のように「I」と数字の「1」を置き換えるケースなどが見られます。
また本題から少しそれますがアメリカ人はよく文字を省略したがるので「through」を「thru」と書いたりします。「Drive-thru(ドライブスルー)」みたいな表記や「night」を「nite」と書くのはけっこうなアメリカ式で、雑なアメリカ英語だと嫌う人もいるかもしれません。
IOU(I owe you)
70年代から使われており、今日でも見かけるもので「IOU」があります。貸しがあることで、借用書を意味する言葉でした。
A:Can I borrow $500?
500ドル借りれるかな?
B:Sure, but I’ll need you to sign an IOU.
いいよ、けどIOUにサインをしてもらうよ。
以下の例文のように使えます。
I don’t have any cash to pay for this today, so I’ll make an IOU.
今日、支払う現金がないんだよ。だからIOUを作るよ。
このような会話表現は今日でも普通に見かけるものです。
このような使われ方が古くからありました。70年代以前にあったのかは未確認ですが、それ以前にあってもぜんぜん不思議ではありません。
いわゆるパソコン通信やネットでaを@で置き換えたりするLeet/leetspeakと呼ばれるハッカー語や、2chなどのネ申(神)、ギャル文字に代表される「ォ八∋(オハヨ)」とは、またちょっと違う話になります。
Numeronym / ヌメロニム(数略語)という言葉もありますが、これともまた少し違うのかと思います。
Numeronym
ニュースなどで警察犬を表現する時に「K9」と書いたりしますが、これは「犬の」を意味するcanineをK9に変換したものです。この表記はCNNでも見かけたので、このあたりになると普通に使われています。
ネット時代の新語としては辞書にも登録されたTMIやICYMIなどもあわせてご覧ください。またこれもちょっと系統の違う話です。