元〇〇、前〇〇を表すformerとex-の違い

formerとex-の違い
 

公開日: 最終更新日:2020.09.23

formerとex-はどちらも「元〇〇、前〇〇」を表す言葉で、今は違うけど前の役職や人間関係を表す言葉です。元彼、元彼女、元上司、元社長、元大統領などさまざまな言葉に使われます。

formerとex-の違いについては「違いがある」と主張する人がいる一方で、違いはないと考える人もいるので、厳格に使い分けされているわけではありません。ちょうど日本語の「元社長」と「前社長」のような違いがあると考える人もいます。

一般的に考えられている違いを記載しますが、そうは思わない人も中にはいるという前提でお読みください。

previousにも近い意味がありますがお探しの方は『previousの意味と使い方』もあわせてご覧ください。

formerとex-の意味と使い方

formerとex-の意味と使い方

どちらも「元〇〇」を意味します。例えば元カレ・元カノなら「ex-boyfriend / ex-girlfriend」となり、元夫・元妻なら「ex-husband / ex-wife」となります。

これらはそのまま「former girlfriend」や「former boyfriend」のように置き換え可能で、どちらも「前の〇〇、元〇〇」を表しています。exの読み方は「エクス」なので発音は音声ファイルを参考にしてください。

「元カノ」の意味
ex-girlfriend
former girlfriend

「元大統領・元社長」の意味
ex-president
former president

人によってはexにはネガティブな感覚が伴うと言い、formerは堅いフォーマルでポジティブな響きがあると言います。

例文

My ex-boss…

(たぶん、あまり上司のことが好きではない)

例文

My former boss…

(たぶん、元上司のことが好き)

しかしこれは感覚の話になるので、この意見に同意しない人もいるのが予想されます。なぜネガティブになるのかは原因らしいものが考えられるので後ほどご紹介します。

元〇〇と表現するのはけっこう限られてくるので、1つ1つどちらが使われているか見ていきましょう。

元大統領・前大統領(former president / ex-president)

最近は政治家などの元大統領、元首相を表す際には「former president」「former prime minister」が一般的に用いられます。formerがフォーマルに聞こえるからでしょう。

しかし100年ぐらい前は「ex-president」「ex-prime minister」のほうがよく使われていたので時代によって変化しているといえます。

以下は書籍に登場する回数をグラフにしたものです。1910年頃以前にはex-president(青色)がよく用いられていましたが、1910年頃を境にformer president(赤色)が逆転しています。

formerとexのグラフ

exはラテン語で少し古臭い響きがあるので、1900年代初頭にモダンな感じのformerが使われるようになったのも、ある程度納得できる話だそうです。

exを使う人も大勢いるので間違いではなく普通ですが、先に書いたように現代ではformerが好まれています。

例文

〇We met with former US president George Bush.

私たちは元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュに会った。

例文

△We met with ex-US-president George Bush.

(使われなくなっている表現)

former(元)とex-(前)の違い

これは大統領だけではありませんが、exは直前の1つ前のものを指すのが正しいと主張する人もいます。

例文

We met with ex-president Barack Obama.

私達は1つ前の元大統領(前大統領)、バラク・オバマに会った。

例文

We met with former US president George Bush.

私たちは元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュに会った。

ご存じのようにブッシュ→オバマ→トランプ(現大統領)の順番でアメリカ大統領は移り変わっています。現時点ではトランプ大統領だという前提で書いています。

トランプの1つ前がオバマなのでオバマに対してはexを使う、2つ前のブッシュはformerを使うのが正しいとする意見です。

しかしこれも論争のある分野なので、あくまで主張の1つに留めておいても問題ないと思います。

日本でも新聞報道などでは「前社長」と「元社長」は習慣的に使い分けがされているようです。「前」は直前の社長を表し、「元」は2つ以上前の社長です。

しかしこれらも報道の習慣的なルールなので、2つ前の社長に「前社長」と言うのが日本語として間違いかどうかは見解がわかれます。

個人的には「前社長」ならば確かに直近の1つ前の社長のように感じますが、「前の社長」なら以前の社長として受け止める感じがあります。

「元カノ」と「前カノ」は区別されているのか日本語でも微妙ですが、英語でも微妙なところがあります。

元夫(ex-husband)・元妻(ex-wife)

しかしながら、離婚問題についてくる元夫(元だんな)、元妻(元嫁)についてはex-husbandやex-wifeがよく使われています。

特に自分の元妻、元夫ならばやex-wifeが一般的でformerはあまり使われません。

例文

〇My ex-wife is getting remarried next month.

私の元妻は来月に再婚する。

例文

△My former wife is getting remarried next month.

(あまり使われない表現)

しかし、第三者・他人の元妻、元夫について話す場合にはformerも登場します。

例文

〇Lisa Marie Presley is Michael Jackson’s ex-wife.

〇Lisa Marie Presley is Michael Jackson’s former wife.

リサ・マリー・プレスリーはマイケル・ジャクソンの元妻だ。

言葉の使われ方を見ると1970年代にex-husbandex-wife(赤と青の線)の使われる頻度が急上昇しています。former wifeformer husbandについては横ばい、微増ぐらいです。

ex-wife / ex-husband

また同じ頃にアメリカで離婚制度の改定(養育費制度を創設/1975年)が行われています。従来より別れた後の父親への責任がより厳しくなったような制度(参考:アメリカにおける養育費政策の現状とその作用)だそうです。

これらに関連があるのかは定かではありませんが、exに少しネガティブなイメージが付いているのは、このアメリカの離婚法案が影響を与えてしまっている可能性は十分に考えられます。

たまに車のナンバープレートを「IH8MYX」にしている人がいます。

例文

IH8MYX

= I hate my ex (wife or husband).

発音が似ているので「元嫁・元旦那が嫌いだ」といったジョークっぽいメッセージになっています。

ih8myx

元カレ・元カノ・元上司

その他のケースではどちらも使われています。しかし上に書いたようにexはネガティブな意味を感じるとする人もいます。

例文

I saw an ex-girlfriend at the movies last night.

昨夜、映画館で元カノを見た。

上の場合は「元カノにネガティブな感じをもっている」と解釈する、または「1つ前の彼女」を指していると解釈する人もいる可能性があります。

例文

I saw a former girlfriend at the movies last night.

(意味は同じです)

この場合は「元カノにポジティブな感じをもっている」と感じ、または「ずっと前の彼女」を指していると受け止める人もいます。

上司についても同じことがいえます。

例文

Her ex-boss eats at that restaurant.

彼女の元上司はあのレストランで食事をする。

例文

Her former boss eats at that restaurant.

(意味は同じです)

この場合も同じで最初に書いたようにexだとネガティブで、1つ前の上司になる可能性があります。またformerは前々以前の上司または今でも好意的に思っている可能性があります。

しかしこれらの定義に全員が納得しているわけではないので、ご注意ください。そう考える人がわりといるといった程度です。

物に対して使う

物、物体に対してはformerがよく使われます。exを使っても間違いとはいえませんが一般的ではないだけです。

例文

〇My former car was a Mazda.

私の前の車はマツダだった。

例文

△My ex-car was a Mazda.

(あまり一般的ではない)

例文

〇His former home was in India.

彼の前の家・拠点はインドにあった。

例文

△His ex-home was in India.

(あまり一般的ではない)

これらが一般的な使い分けです。中にはそうではないと考える人に出会うかもしれませんが、使われ方の多数派にあわせておけば無難かもしれません。

previousにも似たような使い方があるのであわせてご覧ください。



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