2016年の都知事選は、選挙前から小池百合子氏への非難が話題になりました。
特に目立ったのは「厚化粧」発言です。
BBCなどでは小池氏への「厚化粧」などの発言について「ここ数年の日本で最悪の選挙活動」ときつく非難しています。
政策よりも候補者の私生活や子どもじみた言い争いがクローズアップされた都知事選のようにも感じましたが、ニュース等で騒がれたキーワードを英語から考えてみます。
厚化粧は英語でどう言うか?
小池氏が言われたのが「厚化粧」です。
厚化粧は「too much make-up」が適切だろうというネイティブの見解です。化粧が濃い、量が多いことですが、裏の意味を読むと「そこまでやる必要のないこと」という部分が雰囲気として読み取れます。
heavy make-upの言葉もありますが、こちらは厚化粧ではありますが、どちらかといえば俳優さんなどが職業柄やらざるを得ないような「重いメイク」を指すそうです。
She wears too much make-up.
(彼女は化粧をしすぎる)
Actors have to wear heavy make-up.
(俳優は重いメイクをしないといけない)
小池さんの場合は顔にあざがあるそうで、それを隠すためにも化粧を濃くしていると語っています。
①I have a bruise on my face so I have to wear heavy make-up.
(私は顔にあざがあるので、重い化粧をしなければならない)
②I have a bruise on my face so I have to wear too much make-up.
②はやらなくてもいい、状況に似つかわしくない多すぎる化粧を指します。
したがって、やらざるをえない理由があるならば①が適切だろうと判断できます。
化粧そのものについての和製英語ぎみの「メイク(make)」と「make-up(メイキャップ)」については以下の記事にまとめています。
また基礎化粧品の「ファンデーション」には「設立」の意味もあるので以下の記事をご覧ください。
癌サバイバー / 病み上がり
都知事選関連では鳥越氏が言われた言葉として、本人もよくこの問題を取り上げていました。
癌を克服した人として「癌サバイバー」はそのまま英語になるみたいです。
He is a cancer survivor.
(彼は癌サバイバーだ)
病み上がりですが、ニュアンスを取ると以下の様な表現になります。
He is recovering from cancer.
(彼は癌から回復している)
病気などから回復する「recover」が進行形で使われているので、病気ではなくまさに回復中であり、しかし完全に回復したとはいっていない状態です。
辞書で病み上がりを調べると「convalescence(回復期)」という言葉がありますが、医療関係の専門用語であって日常で使うような言葉ではないそうです。
小池百合子知事の英語力
本題からはそれますが語学堪能で知られる小池百合子知事の英語を動画で見ることができます。
小池氏の英語でのインタビューを見ることができます。
(1:30から話し始めます)
都知事選では石原慎太郎元都知事が小池氏について「大年増の厚化粧」と言ったかと思えば、同じ女性議員の福島瑞穂氏も「外は女装してても中身がタカ派の男性」と発言しています。
さらに尼僧で小説家の瀬戸内寂聴さんが増田氏の応援演説の際、「厚化粧の人に都知事になってほしくない」とメッセージを送ったという話も話題になりました。
今、世界では女性リーダーが台頭してきています。
米国ではヒラリー・クリントン氏が次期大統領候補を目指していて、ドイツではメルケル首相や韓国の朴槿恵大統領がすでに活躍しています。
7月には英国でメイ首相が誕生しましたし、台湾でも5月に蔡英文氏が初の女性総統に就任しています。
またパリのイダルゴ市長も女性で、さらにローマでも6月にラッジ氏が初の女性市長となったそうです。
このような状況ですから、軽率な「厚化粧」発言が女性蔑視ととられやすくなっているのでしょう。