カタカナの「ポスト」もイメージするものが異なりますが、英語でも大きくわけると郵便関係、何かを投稿すること、棒や柱の意味、それから役職や地位としてのポストがあります。
かなりバラバラな意味になっていますが、語源としてはそれぞれ大部分が異なっているので、たまたま別の意味が同じ言葉になってしまったと考えるほうが妥当かもしれません。
それぞれに動詞、名詞の使い方が存在していたりするので非常に分類が難しいですが、大きな意味ごとにわけて考えてみます。発音は【póust】なのでポウストが近いです。
post【póust】
郵便関係のポスト
ポストオフィス(郵便局)のような言葉があるように何か郵便物を投函することを意味できます。しかしこれはイギリス英語だとされています。post関係はけっこう地域差がでる表現です。
I tried to post a letter but it came back because I forgot to put a stamp on it.
私は手紙を送ろうとしたが返ってきた。なぜなら切手を貼り忘れていたからだ。
上の文章も北米ならば「mail a letter」といった表現がされます。
もちろんsend(送る)を使っても大丈夫ですが、この上の例文の場合は「ポストに投函する、郵便を投函する」といった動作によった話なのでその場合は北米ではmail、イギリスではpostが使われやすいです。
英:I posted you an invitation.
米:I mailed you an invitation.
(郵便で招待状を送った)
I sent you an invitation.
(Eメールなどあらゆる可能性がある)
上のように書くと「郵便、郵送で送った」という意味が明確になりますが、sendを使うと「送った」としか言っていないのでE-mailを含めてあらゆる可能性が考えられます。
名詞では「郵便物、手紙類」のことですが、これも辞書にはイギリス英語と書かれており、カナダ人のスティーブの経験の範囲内ではpostで「郵便物」を指すことは北米英語ではないそうです。
She was opening her post when the phone rang.
彼女は電話が鳴ったときには郵便物を開けているところだった。
手紙については「correspondence」といった古臭い言い方も存在しています。
postal
形容詞のpostalが「郵便の、郵送の」といった意味になります。
Japan has a private postal service.
日本は私設の郵便サービスがある。
The Prime Minister wants the postal service to become a part of the private sector.
首相は郵政公社に民間企業の一部になってほしいと思っている。
Back in 95 I was a postal worker.
95年には、私は郵便局の職員だった。
街中の赤い郵便ポスト
街中の日本では赤い郵便ポストをなんというか? については北米ではmailboxが一般的です。これは街中にある手紙を投函する公共のものと、個人の自宅の玄関にある郵便受けの両方を指せます。
Where is a mailbox?
郵便ポストはどこですか?
あの赤いポストについてはイギリスでは「postbox」呼ばれています。他にも「letterbox」といった表記もありました。
オーストラリア人のカールは「postbox」といえば路上にある公共の赤いポストを、「mailbox」といえば個人の郵便受けをイメージするといっているので、これも地域差が出る単語だといえます。
投稿する、掲示する
postはツイッターなどに「投稿する」の意味でよく使われるので最近は日本でも広く知られた言葉です。
ネットに載せる画像や文章を「投稿する」ことです。これはツイッター、YouTubeへの動画投稿などに幅広く使えます。
Website Mode posted a video on YouTube which fast-forwards through a century of women’s fashions in a couple of minutes.
ウェブサイト「モード」は、レディースファッションの100年間を数分にまとめて早送りした動画をYouTubeに投稿した。
The official Twitter account for McDonald’s posted a message criticizing US President Donald Trump.
マクドナルドの公式ツイッターアカウントがアメリカ大統領のドナルド・トランプを批判するメッセージを投稿した。
これはposter(ポスター)などの言葉があるように貼る、掲示することであり、投稿するとあわせて「広く公の場に知れ渡るようにすること」の全般を指せます。
The mayor posted a “no smoking” sign on the door of City Hall.
市長は市役所のドアに「禁煙」の看板を張り出した。
McDonald’s Japan posted their highest profits ever.
日本マクドナルドは今まででもっとも高い利益を掲げた。
job postingといえば「求人票」を指す言葉です。今は紙で貼りだすことも少ないので企業の公式サイトの求人ページが「job posting page(求人ページ)」となります。
投稿・新聞
このpostは名詞で個々の投稿を意味することができます。
The company apologized in a post on Facebook.
その会社はフェイスブックの投稿で謝罪した。
Many people demanded he remove the racist post.
たくさんの人が彼に人種差別主義の投稿を取り下げるようにと要求した。
「新聞」の意味もありますが、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・ポストのように新聞の名前でだけ使われます。
There was a great article in the Washington Post.
ワシントン・ポストに素晴らしい記事があった。
ハフィントンポストは実際の新聞ではありませんが、こういった伝統的な名前を選択しています。
地位、立場、職
「地位、立場、職」のことですが、カタカナでも「君に新しいポストを用意している」のように使われています。
The CEO accepted a post in the government.
CEOはその政府での職を引き受けた。
Her post as chief engineer was in danger.
チーフエンジニアとしての彼女の地位は危険にさらされていた。
働いている場所のことで「持ち場」も意味します。これは特に軍隊で使われる表現です。
The guard fell asleep at his post.
その警備員は自分の持ち場で寝てしまった。
My son is a soldier and his post is in Japan.
息子は兵士で、彼の持ち場は日本です。
これはそのまま動詞で誰かに仕事や任務を与えることも表現できます。
She was posted in a branch downtown.
彼女は繁華街の支社での仕事を与えられた。
My son is a soldier posted in Japan.
私の息子は日本に配置された兵士です。
「appoint」や「appointment」にも近い意味があります。
くい、棒、柱
地面から上に突き出ている木や金属の長い形状のもので「くい、棒、柱」のことです。pole(ポール)のようなものです。
I chained my bike to a post.
私は柱に自転車を鎖でつないだ。
She was using a smartphone while walking and bumped into a post.
彼女は歩きスマホをしていて棒にぶつかった。
He took a shot, but the ball hit the goalpost.
彼はシュートをしたが、ボールはゴールポストにぶつかった。
北米で「Where is a post?」と質問すると「ポールはどこですか?」と受け止められる可能性が高いです。
post-(接頭辞)~の後
「post-」は何かの言葉の前にくっついて「〜の後」を意味します。これも「ポスト安倍は誰だ?」といったカタカナの使い方も見られます。ラテン語で「after」の意味です。
Post-war Europe was heavily damaged, but recovered.
戦後のヨーロッパはかなりのダメージを受けたが、復活した。
She is doing very well post-operation.
彼女は術後とても良い状態だ。
post-truth
2016年の英語圏での流行語大賞のようなものに選ばれた言葉が「post-truth」でした。真実の後、真実の向こう側といった意味合いです。
スティーブとも確認してみましたが、意味が漠然としている感じもして人によって解釈の幅がある新しい言葉ですが、おおよそ以下のことを意味します。
ここでのpostはラテン語で「~後」「~の次」を意味する言葉です。ポスト安倍政権、ポストモダンなど、何かの次、後に続く概念を指します。
2016年に話題になったトランプ大統領の選挙やEU離脱問題では、真実が何であるかより、言葉がどう伝わったか? に重きがおかれて、真実が軽視されていく時代だったという意味です。
ドナルド・トランプがわかりやすい扇情的な言い回しで人々を煽り、人々は事実がどうであるかよりも、言葉に動かされてしまう。また読む人にとって読むのが心地良い偽のニュース(フェイクニュース)が広まったきっかけでもありました。
こういった真実を越えた世界、真実が重視されてきた過去の時代からその次の時代に入っているのではないか? といった部分が大賞の選出理由になっているようです。
We live in a post-truth era.
我々はポスト真実の時代にいる。
The opposition complained about the use of post-truth politics.
反対者達は、ポスト真実の政策を選挙活動に使うことに不満をいった。