疑問文で「on earth」や「the hell」などが使われているのを見かけたことがあるかもしれません。
それぞれ「地球、地上」や「地獄」などの意味がありますが、本来の言葉の意味を失って強調するためにだけ使われています。
場面によってはあまりそぐわないケースもありますので順番に取り上げていきます。
疑問文での強調のon earth
この文字通りの意味とは別に会話表現の疑問文で、意味を強調する際によく用いられます。無理に日本語にすると「いったい、まったく」などの意味です。
What on earth are you doing?!
いったい何をやってるんだ?!
Why on earth did she marry him?
いったい、なぜ彼女は彼と結婚したんだ?
別になくても意味は通るので強調しているだけです。しかも地球や地上の意味がなくなっています。
地球の意味でのon earth
場合によっては強調の表現ではなく、本当の意味での「地球・地上」を指している可能性はあるので、文脈で判断してください。
19世紀に始まり150年近い歴史を持つ伝統あるアメリカのサーカス団『Ringling Bros. and Barnum & Bailey(リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー)』が2017年の5月の公演を持ってサーカス団の歴史に幕を下ろす方針を発表しています。
このサーカス団の有名なキャッチフレーズが「The Greatest Show on Earth」でした。
「地上最大のショー」などといわれていましたが、この場合は本当に言葉の意味で地上・地球上で最大のショーだと謳っています。
the hell / the heck
on earthの代わりにthe hellやthe heckも用いられます。
hellは地獄などの意味のラフな言葉遣いになるため場面的にふさわしくない場合には婉曲のheckが使われます。意味はon earthと同じです。
What the hell are you doing?!
いったい何をやってるんだ?!
Why the heck did she marry him?
いったいなんで彼女は彼と結婚したんだ?
What the heck
What the heck単独で用いられることもあり、この言葉そのものは驚きや怒り、困惑などを表現しています。
Why not?(なぜダメなのか?)と似たような使い方で「なぜダメなんだ?」「ダメなわけあるか!」「なんだこりゃ」といった意味になります。
全体的に「What the heck is this?(いったいこれはなんだ?)」の省略した形だともいえます。
A: Do you want another beer?
A: もう一杯、ビールはいる?
B: What the heck, sure.
B: いらないわけあるか。もちろん。
I wasn’t going to join the party, but then I thought “what the heck,” and went.
パーティーに行くつもりはなかった。しかし「なんでダメなんだ?」と考えて、行った。
以前にご紹介した答えを求めていないレトリカル・クエスチョンでもあります。
日本語の「なんだこりゃ?」「おいおい、どうなってんだよ?」「どうなっちまってんだ?」などと同じで、疑問文のようで答えを求めていません。自分の感情を表しているだけです。
「ビールをもう1杯飲む?」と聞かれて答えるのは「おいおい、そんな質問はなんだよ?!当たり前だろ」といった感覚で使っています。
from hell
「最悪の、最低の」などの意味で使われます。こちらもひどいことを強調している点では同じですが、どちらかといえば文字通り「地獄から来たようなひどさ」といった意味が近いかもしれません。
I quit my old job because I had a boss from hell.
古い仕事はやめた。ボスが最悪だったからだ。
He is in an restaurant from hell.
彼は最悪のレストランにいる。