ニュースで「make a comeback」の表現が登場したときに、通常のcome backとの意味の違いを比較する解説を書きました。
どちらにも共通する意味もあれば、片方しか使えないケースもあるので例文付きでまとめてみました。
今回は動詞、動作として扱っていますが「comeback」単体で名詞としても存在しており「復帰、返り咲き、再起、回復」などの意味があります。
カタカナでも「カムバック」はすでに認知されている言葉ですね。
come back
文字通り人間の動作としての「(行って)戻ってくる」はcome backしか使えません。
I’m going out. I will come back at 6:00.
× I’m going out. I will make a comeback at 6:00.
「出かけるので6時には戻ってくるよ」の場合はcome backのみです。こう書くとすごく当たり前の話です。
make a comeback
「何かを取り戻す、復帰する、復活する、返り咲く」などの意味では両方が使えます。この意味の場合はmake a comebackのほうが強い意味、スペシャルな感じがするそうです。
以下、どれも同じ意味ですがニュアンスや話し手の気持ちの度合いなどが変わります。
Culottes came back this year.
(今年、キュロットが復活した)
Culottes came back again this year.
(今年、キュロットが再び復活した)
Culottes made a comeback this year.
(今年、キュロットが復活したよ)
Culottes made a comeback again this year!
(今年、キュロットが再び復活したよ!)
キュロットは女性用のスカート式ズボンです。何かのブームが戻ったといった意味で「make a comeback」を使ったほうが、驚いている感じや特別感があります。
スポーツの試合
スポーツの試合でも使え「逆転する、勝ち越す」などの意味になります。この場合もcome backとmake a comebackの両方を使うことができます。
The Yankees came back in the seventh inning to win 6-5.
(ヤンキースは7回に勝ち越して6対5で勝った)
The Yankees made a comeback in the seventh inning to win 6-5.
(ヤンキースは7回に勝ち越して6対5で勝った)
この場合もやはりmake a comebackのほうがスポーツの展開を伝えるにはドラマティックな感じが出ています。
さらに強調するにはamazingを入れることができます。
The Yankees made an amazing comeback in the ninth inning to win 9-8.
(ヤンキースは9回に脅威の勝ち越しで9対8で勝った)
The Yankees amazingly came back in the ninth inning to win 9-8.
(*悪い表現ではないけれど上の表現がより適切)
この場合、以下のようにも表現できますが動詞でcome backよりも、何かを強調したい場合はmake a comebackを使ったほうが自然です。
日常で見かける有名なカムバック
スポーツなどでは長期離脱していたプレイヤーが復帰して活躍した場合などに「カムバック賞」が設定されています。
「Comeback Player of the Year Award」が一般的な名称ですが、各スポーツ団体が個々の名前を設定していたりします。
1953年の古いガンマン、西部劇の映画「Shane」では、馬で旅立っていくシェインを「Shane, Come Back! 」と呼びかけるシーン(2:00~)が有名です。
ここでのカムバックは戻ってこい、といった具体的な動作なので「come back」のほうです。
どうでもいい話ではガッツ石松が監督・主演をつとめたボクシング映画のタイトルは「カンバック」でした。「ん」になっている点がガッツ石松のこだわりがあるのでしょう。
引退した元ボクサーのやきとり屋が再びリングにあがることを決意するという意味では復帰としての名詞「comeback」だと思います。
映画としてはなぜ作ったのか? といわれるぐらいわりと酷評されていました。